複雑・ファジー小説

Re: AnotherBarcode アナザーバーコード ( No.23 )
日時: 2020/12/07 16:17
名前: ヨモツカミ (ID: 6fVwNjiI)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19508

【コラボ】 No.02 〜継ぎ接ぎの系譜〜

(銀竹さんの『闇の系譜〜サーフェリア編〜』とのコラボ企画です)

ジン「久しぶりのコラボ企画だよ。台本書きとか、本編外のキャラのやり取りが苦手なヒトは注意してね。さて、今回は、銀竹さんの書く「闇の系譜」からすごい美人さんが来てくれるらしいよ」
ニック「はっ。何言ってんスか。こっちからだって絶世の美女が参戦するッスよ。てか何司会進行してるんスか、目障りなんだけど」
ジン「いや僕主人公だし、司会進行は僕が適任だから……君、何しに来たの」
ニック「司会補佐ッスよ。まさかアンタと一緒になるなんて聞かされてなかったから、マジ殺意ブチコロ5秒前って感じなんスけどね」

ジン「本編のいざこざをこういう番外編に持ち込まないでよ、メンドクサイ」
ニック「ンだとゴラ、ボクはアンタに本編で裏切られたこと許してねぇんだよ、やっぱり殺すなら今しかねぇみたいッスね?」
ジン「あーもう、どうせ君は勝てないんだから諦めてくれる?」
ニック「はー? 本編でもボクが優勢だったでしょ!」

マリアナ「こらニック! こんな場所で喧嘩しないの!」
ニック「わ、もう来たんスか、マリアナ先輩」

 マリアナを見てギョッとするジン。

ジン「ま、マリアナ……え? 君、ここに来て平気なの? 本編的にどうなの……?」
マリアナ「うふふ。本編は本編、番外編は番外編よ! 本編での出番はもう無くなっちゃって、出演料出ないなーって思ってたけど、アナザーバーコードで出番があるなら新しい仕事探す必要もなさそうね!」
ジン「マリアナっ、出演料とか、裏の話はしちゃ駄目だよ」
ニック「出演料、ジンだけ主人公なのに時給1000円スッもんね」
ジン「僕のギャラが安くて困ってる話はするな!」
ニック「ぞんざいに扱われ主人公め。しかも最初の頃はアンタが主人公だと思われてなくて、あのトカゲ男が主人公だと思う読者が何人もいたそうッスね、主人公向いてないんじゃないスか?」

ジン「よし、表でなよ、その自慢の金髪全部削いで丸刈りにしてやる」
ニック「へえ? 死ぬ覚悟はできたみたいだな?」
マリアナ「ああもう! ニックもジンも喧嘩やめなさい! それに今回は私とゲストさんのコーナーなんだから荒らさないでよ! 二度と喋れないようにするわよ!」
ニック「ヒエッ」
マリアナ「司会進行役もいらないから2人とも帰って」
ジン「あ、うん、じゃあマリアナ、頑張ってね……」

 退室していくジンとニック。

マリアナ「ふう。さて、ニックとジンがごめんなさいね。お待たせしました、青系美人……ちょっと自分で言うのは恥ずかしいけど、そんな2人のトークショー、始まります! ゲストのアレクシアさんお入り下さい」

アレクシア「全く、開幕までに随分時間がかかったじゃない。いつまで貴方たちの無駄なおしゃべりが続くのかと思ったわ」
マリアナ「あぅ、ごめんなさい……ちょっと仲の良くない2人が揃っちゃってね。昔はああじゃなかったんだけど、今では同じ空間にいるだけであんな感じなのよ。
さて、はじめましてね、アレクシア……さん? あら、なんて呼べばいいかしら。えーと、おいくつだったかしら?」
アレクシア「アレクシアでいいわ。年齢なんて聞くまでもなく、どう見たって私の方が年下でしょう? まだ十六ですもの」

マリアナ「あ! そうよね、ごめんなさいね、なんだか大人びて見えたからそんなに年下だと思わなくて。私はマリアナよ。好きに呼んでくれていいからね。よろしく」
アレクシア「私が老け顔とでも言いたいのかしら、マリアナおばさん? まあ、呼び方なんてものはどうでも良いのよ。早く話を進めてちょうだい。私は何のために呼ばれたの?」
マリアナ「お、おば、おばさん!? うっ、私今日この子とやっていけるかしら……いや、がんばるのよマリアナ。
えっとそうね、今日はアレクシアと私で色んな質問に答えていくわよーっていうトークショーよ! “どんな質問にも”2人で全力で答えるわよ、準備はいい? アレクシア」
アレクシア「仕方がないわね……。さっさと始めて」

Q「マリアナさん、アレクシアさん、こんにちは! 継ぎ接ぎバーコードと闇の系譜、いつも楽しく読み書きしています。
美人といえば、やはり人生得するイメージがありますが、一方で根拠もなく性格が悪いと思われたり、同性に嫌味を言われたりすることも多いかと思います。お二人は、美人であるがゆえに損したことってありますか? エピソードが聞きたいです!」

マリアナ「質問ありがとうございまーす。そうねー、確かに私は男性に親切にされることが多い気がするわ。かと言って女の子に嫌なことされたことはないわね。自分で言うことでもないけど、私カイヤナイトの中でも実力を買われてる方だから、周りにはちょっと怖がられてるんじゃないかしら」
アレクシア「ふーん、貴女って控えめに見えるけれど、案外おめでたい思考をしているのね。親切に見える男は、大抵胸に垂れ下がってる脂肪の塊しか見ていないし、怖がられてるっていうよりは、引かれてるんじゃない? 無害そうな顔して、そんな胸元の開いた白い服着て、似合ってないわよ? 清純気取っているようで痛々しいわ」
マリアナ「う、……アレクシア、言い方ってものが……あるでしょ……そういう男性もいるかもしれないけど、親切にしてくれることはありがたいことだし……引かれてるのかもしれないけど、そうだとしたら仕方ないことだし、この服だって別にそういう……。アレクシアは友達少なそうね……」

アレクシア「なぁに? 友達が少なそうで哀れねって言いたいわけ?」
マリアナ「そういうわけじゃないわ! 色んなことマイナスに考え過ぎなんじゃない? アレクシアは魅力のある女の子だから、そういう考えとか発言とかを直せば、友達たくさんできると思うわよ……て、言ったら、いらないなんて言われちゃうのかしら」
アレクシア「ふふ、分かってるじゃない。生憎、友達が欲しいなんて思ったことないのよね。群れて楽しいなんて思う感覚が分からないわ。まあ、私の言うこと何でも聞いてくれるって言う人なら、仲良くしても良いけれど」
マリアナ「私も友達はいないけど、仲間はいるから、そういうヒトとの繋がり大切よ。
そんな都合の良いヒトは、いざって時に裏切りそうじゃない? だから持つべきものは自分と対等な関係の人物だと思うわ。アレクシアにもそういう関係のヒト、いつかできるといいわね」

アレクシア「いきなりなによ、説教臭いおばさんは嫌いだわ。それより変顔でもしてみなさいよ。どんなに面白くなくても笑ってあげる」
マリアナ「突然の変顔!? えっ……できるかなあ。変顔より、気持ち悪い魚になるのなら得意なんだけど、気持ち悪い魚、興味ないかしら?」

アレクシア「あら、やるのね。気持ち悪い魚? なにそれ。やってみてちょうだい」
マリアナ「え……ホントに見る? いいけど、気持ち悪いとか生臭いとか言わないでね! 行くわよ! 〈ダゴン〉第二形態!」
(※本来は変身まで10分ほど時間がかかりますが番外編時空なので省略しております)

(本編の描写より抜粋)
 顔の側面についた丸い目玉。横に大きく裂けた口から覗く、ノコギリのように鋭い牙。てらてらと淀んだ光を放つ滑った鱗。
 魚か。もしくはその長い胴と口の上から伸びる細長い髭で、水竜のようにも見える。体長は6メートルはあるだろうか。体中から鼻の曲がるような生臭さを放っていて、胸鰭の代わりに水掻きのある前脚を携えており、腹の終わりには蛙を思わせる後ろ脚が備わっている。
 先程の可憐な女性の姿からは想像もつかない変わり果てよう。皮膚が全体的に湿っているせいか、屈強な手足に携えられた鋭利な爪がぬるりと艷やかに煌めいている。長々と説明したが、マリアナの言うとおり、キモい魚だ。

アレクシア「……気持ち悪いし生臭いわね。しかも思ったよりでかいから部屋が狭くなったわ。早く戻りなさいよ」
(元の姿に戻り)
マリアナ「あ! 気持ち悪いとか生臭いとか言わないでって言ったのに! 酷い!」
アレクシア「気持ち悪いおばさんに気持ち悪いって言って何が悪いのよ。ところで、巨大化したから服が破れて、ほぼ全裸になってるわよ。そういう趣味なの?」

マリアナ「もー! おばさんとか気持ち悪いとか全裸とか! 全裸で何が悪いの!!」
アレクシア「何が悪いって……嫌だわ、貴女痴女なの? 別にこのまま全裸で続けたいって言うなら構わないけれど、私まで痴女と並んで変態扱いされるのはごめんよ。ほら、ちょうど銀竹からの質問が書かれた台本がそこに落ちてるじゃない。とりあえず紙でも纏えば?」
マリアナ「……ああ、私としたことが冷静さを失い掛けていたわ。こんな女に負けないわ……しっかりしなさいマリアナ。とりあえず紙纏うのはあり得ないわね、スタッフさん、変えの服をよろしくお願いします……」

 スタッフ(アケ)が新しい服を渡したので、それに着替えるマリアナ。

マリアナ「さて、質問の続きだったわね。ん? というかさっきの美人で困ること、アレクシア答えてたっけ?」
アレクシア「ああ、そういえば質問されていたんだったわね。急に貴女が巨大化して全裸になるから趣旨を忘れていたわ。
美人で困ることねえ……何かしら。よく性格が悪いとか、ひねくれてるとかは言われるけれど」
マリアナ「美人で困るっていうか事実を言われてるだけよねそれ……。うん、次の質問行きましょっか」

Q「お二人の活躍いつも楽しみにしています。あ、マリアナさんはもう……。
それは置いておいて、うちの地域ではそろそろ巨大な台風が来ます。(収録日2019/10/10)多分家から出ることもできません。お二人は家に一人でいるときは何をして過ごしますか?」

マリアナ「“マリアナさんはもう”とか言わないでほしいわね! お察しの通り多分もう出番ないけど」
アレクシア「出番がないなら、これからはずっと自宅待機ね? 私はまだ出番あるけれど」
マリアナ「あなたは良いわね……未来編まで出番が約束されてるんだものね。
いやまって、私もまだこうやって番外編での出番とかたまーにあるはずだから、自宅待機じゃないわよ!」
アレクシア「たまにでしょ? それ以外の時間は自宅待機じゃない。で、家では何してるの?」
マリアナ「自宅待機……。
家でのしてることねえ。私そもそも家がないんだけどね」

アレクシア「奇遇ね。私も今は寮住まいだから、自分の家はないわ。家にこもっているより、外にいる方が好きだし。でもそうね……一人で室内にいるときは、大抵他人の弱みでも探ってるわね」
マリアナ「他人の弱みを? やっぱりアレクシア、性格良くないわね……。というか、ヒトの弱みなんて、ヒトと接することで握れるものじゃないの? 一人で部屋でどうやってそんなことするの?」
アレクシア「馬鹿ね、それを明かしたら、貴女の弱みを握れなくなるじゃない。……なーんて、冗談に決まってるでしょう? 部屋にいながら誰かの弱みを探るなんて、出来るわけないじゃない」

マリアナ「あら……? じゃあさっきの発言はどういう意味なのかしら。何か特別な力でも持っているの?」
アレクシア「さあ? 少なくとも、貴女みたいに生臭い力じゃないわよ。ところで、この部屋暑いわね。何か冷たい飲み物でも持ってきなさいよ」
マリアナ「生臭⁉ ああもう、自由なんだから……じゃあスタッフさん、アレクシアに氷水でも出してあげて」

 少し待つと、スタッフ(アケ)がお盆に水を乗せてやってくる。

アレクシア「なにこれ、水? ケチ臭いわね。ていうか、ゲストを呼ぶなら普通は飲み物くらいは事前に用意しておくべきでしょう。誰よ、この企画したの」
マリアナ「……企画したのはヨモツカミだけど……事前にゲストにそういう気配りをしなかったのは私の責任ね。悪かったわね。でもアレクシアも招待された先でそんな態度を取るなんて、相当酷い作者の元で育ったんじゃないかしら、お気の毒だわ」
アレクシア「ふふ、随分言うようになってきたじゃない? まあ確かに、私も作者に対しては不平不満が溜まってるのよね。どうやったら報復できるのかしら。……ねえ、貴女も今後の出番を無くされて、作者には不満があるでしょう? そこの、さっき水を運んできた赤毛の子も、思うところがあるんじゃない?」

突然話を振られて驚くアケ「わたし……? うん、たしかにわたしたちカイヤナイトにたいするあつかいは、あんまりよくない気がする。年はもいなないわたしを、いきなりスタッフとしてつかいはじめるとこも、ざつなあつかいのひとつだよね」
マリアナ「え、結構すんなり話に入ってきたわねアケ。自分で年端も行かないとか言うし。うーん、アケの言う通り、私やアケは主人公グループじゃないから出番は少ないし給料も控えめだし、それに対する不満はあるかも……」

アレクシア「やっぱりね。どこの物語でも、少なからず作者に対する不満ってのはあるものよ。特に、主人公以外のキャラは、色々鬱憤が溜まるわよね。ほら、主人公って、少なくとも最終回までは活躍するわけじゃない? それに対し、私達みたいな立場のキャラは、途中で死にかけたり、最悪退場することもある訳じゃない。そんな思いをしているのに、主人公よりも給料が低いって、フェアじゃないと思うのよ」
マリアナ「ホントよ! ていうか私もアケも主人公からしたらヒロインポジションでもいいくらいの設定してるのに給料低いし途中退場したし、物語が進行さえすれば脇役の気持ちはどうでもいいの? って思ったりするわね」
アケ「わたしは、べつにマリアナやアレクシアさんみたいにびじんじゃないからし、子どもだからおこづかい少なかったり出番少なくても、しかたないって思う」

アレクシア「アケちゃんだったかしら? 貴女、そういう問題じゃないのよ。子供だからとか、容姿がどうとかっていうのは、賃金に関係しないの。物語に与えた影響とか、受けた身体的・精神的苦痛に応じて報酬は上乗せされるべきなのよ。そのあたり、ちゃんと決めてほしいわよね。労働基準法もへったくれもないわ。例えば死亡した場合、読者には多大なインパクトを与えることになるわけだから、死亡手当てをつけるべきよね。ある種退職金みたいなものだけれど」

マリアナ「あれっ、さっきまで私に割とひどいこと言ってたのにアケにはまともな話するのね!? まあ、そうよね、高校生の時給は安かったりするけど、物語の1キャラクターとして出演してる時点で立派な登場人物なんだから、それ相応の金額を払うべきだもの。だから退場したキャラである私に高額支給求むって感じ」
アレクシア「ひどいことなんて何も言ってないわよ、私は本当のことを言ってるだけ。細かいことグダグダ言ってないで、作者の首を狩りに行くわよ。正当な報酬を要求しに行くの」
マリアナ「この娘、最後の最後まで……もう気にしないけどね! さあ! 行くわよ、アケ」
アケ「わ、わたしも行くの…………?」

 こうして銀竹さんとヨモツカミは自分の小説キャラに狩られたのである。

Fin

***
なんかめっちゃひどい終わり方をしましたが、銀竹さんの闇の系譜とのコラボでした(笑)
闇の系譜〜外伝〜の方で以前クラウスとサミルさんでコラボしたことありますので、そちらもよかったら見てくださいね。