◆プロローグ◆暗い部屋の中、やけに鮮やかな血の赤だけが輝いていた。誰の血かは分かっている。だが、思考が受け入れる事を拒否している。たった一人の家族、妹が殺された。そして、残された自分も銃口を向けられている。両腕に乗っている妹の体は、とても冷たくて、それでいて動かない。自分の体も、恐怖と怒りに支配され石のように動かない。ただ涙で濡れた瞳で、目の前で嗤う集団を睨む事しかできなかった。──────殺してやる。銃声が、静かに木霊した。