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第０話　トモエ、掲示板にて


『初めまして。私は”トモエ”と言います。名前の由来は本名です。私は訳あって自殺をすることにしました。ですが、最期の我が儘にと、こうして書き込みをしています。
ここが自殺サイトで、心中する仲間を探すために、あらゆる条件でも必ず仲間が見つかるというこの掲示板で、私は一緒に死んでくれる仲間を探しています。
その仲間である条件とは【私と同じ『トモエ』が本名であること】です。
本名であるトモエという名は私の両親がつけてくれた名前です。私はこの名前が好きですし、誇りに思っています。ですので、同じ『トモエ』という名前の人と最期を迎えたいと思い、こうして仲間を探しています。一度きりの人生なので、最後にこれくらいの我が儘はいいかなと思っています。仲間が現れてくれることを期待しています』

とある掲示板に、とある書き込みがされた。書き込みの最後にメールアドレスが添付されている。
そしてこの書き込みに対して返答が次々とついていく。

『同名で同盟を組んで同命運を辿る……ってかそんなに死にたいトモエさんがいるかどうか』

『これで世の中のトモエという名前の人数が減ってしまうんですね。同じトモエとして見過ごすわけにはいきません』

『やっぱり身分を証明できるものは当日持参は絶対でしょうね』

『連絡の際でも身分の証明は必要じゃない？　偽物でも困るでしょ』

『初めまして。私もトモエと言います。私も死のうと思っていたんですが中中勇気が出なく、行動を起こせませんでした。けれども、同じ名前の人となら……と思います。ご一緒してもいいですか？』

『どうせ死ぬのなら、せめて死ぬ前に思い出作りをするのもいいと思いませんか？　このような機会は絶対にないと思いますよ』

『前にもなんかあったよね。心中する前に思い出作りしましょうみたいなの』

『傷心旅行ならぬ心中旅行ってやつ？』

『最後の我が儘に付き合ってくれてありがとうございます。旅行……思い出作り、いいですね。参考にさせていただきます』

『こんな我が儘見たことないｗ』

『中中洒落たことするね。具体的には何をするの？』

『悲痛な思いで死ぬよりかはいくらかまともになるかもしれませんね』

『私もいいと思います。少しでも未練をなくしてから死ぬというのはいいことだと』

『それと、当然ですが身分証明の協力をお願いします。当日は絶対持参でお願いします』

賛同する書き込み、批判する書き込み、適当な書き込みが入ってくる。
”トモエ”はそれを眺め、そして心の中で待っていた。
『仲間』が現れてくれることを。
ふと、傍に置いてある自分のスマホをみる。いつの間にか数件、メール通知が来ていた。