複雑・ファジー小説

Re: 運命を変えたその先は。 ( No.1 )
日時: 2018/05/27 17:30
名前: ピオーネ (ID: sNU/fhM0)







日曜日。それはせつなトラベルが週に一度開く日。
その日を銀髪の齢16くらいの少女—フェイニスは心待ちにしていた。


「おはようございます。マスター」




Prolog『Sunday』


「あのさ、マスターって呼ぶのいい加減にやめてくれないかな。俺はキミの主人になった覚えはないし」

マスター、と呼ばれた齢16くらいの少年ハウルはせつなトラベルの店主的存在であり、廻りの樹海で倒れ衰弱していたフェイニスを助けた命の恩人でもある。


「一応、店主ですし…」


「俺は店主なんかじゃないし、アレは店ってよりかは俺に助けてもらいたい後悔者がやってくるより所みたいなものさ」


「後悔者とは…?私はまだ見たことがないのでいまいちピンと来ないです」


「過去に大きな後悔することをしでかした人のことを俺がそう呼んでるだけ。まぁ毎週毎週来るわけじゃないし」


「はぁ…」

せつなトラベル。それは過去に大きな失敗や未練—つまり大きな後悔したことを店主であるハウルの力を借りてやり直す場所である。


「…マスターは、そのような人達を助けるのがお好きなのですか?」


「別に。単に助けを求めてくる奴らが鬱陶しいから仕方なく助けているだけ。そいつが過去でもっと大きな後悔を生んでも俺は助けるつもりは無いし、まぁ自己責任ってところさ」


「…そうですか」


「さて、そろそろ向こうに行くか。今日は来るかもしれないし」


「はい、わかりました」


「お前、同い年なんだからその敬語やめてくれよ…」


「ついつい敬語で話しちゃうので…。これはまだ譲れません」


「はぁ、分かったよ」


せつなトラベルは今週もひっそりと開く—