複雑・ファジー小説

Re: ただ、それだけのこと。(短編集) ( No.2 )
日時: 2018/09/07 05:50
名前: 麗楓 ◆F.XzXC1pug (ID: u/mfVk0T)


やっと電気復旧...(北海道住み)
私は道東に住んでいるので、地震の被害はありませんでしたが、停電なので情報元はラジオのみ...。
正直まだ、どれだけ酷い地震だったのか理解出来ていない状況です。
とりあえず、過去の小説載せておきます。



なので私は彼を殺します。


 彼氏が浮気をしている現場を目撃してしまいました。
 なので私は彼を殺します。
 「ちょ、待てよ何だよコレ?」
 まだ状況を把握しきれていない彼の両手両足はガムテープでグルグルに巻き付けてあるので、暴れてガタンゴトンと電車のように左右に揺れている。
 本当は口にもガムテを付けたかったのですが。

 「......何って貴方を殺害する準備に決まってるでしょう?」
 「へ、......殺......はぁ!!?」
 「何か問題でも?」
 「何でそんなすっとんきょうな顔で言うんだよ!?」


 私、そんな間抜けな顔で発言していたかしら?
 ここは密室で鏡が無いので、自分が彼の目にどう写っているのか、よく分からないんです。
 ただ彼の瞳を覗き込むと、いつもの私が居ただけ。そして彼の手足が拘束されているだけ。体の自由が効かないだけで、いつも通りではありませんか。
 「大体、何で殺されなきゃならないんだよ!」
 「この期に及んで、すっとぼけるなんて」
 「すっとぼけてねぇよ!」
 「この写真を見ても私に口答えするつもり?」
 すっと彼の目の前に現れたスマホの画面には、彼と他の女性が一緒に歩いている画像を突きつけてみた。
 「あ......これ友達だよ。誕プレ買うのに付き合わされてただけで」


 「じゃあこれは?」


 横に画像をスライドすると、彼と女性が抱き合っている画像が表示される。さすがにこの画像は効いたのか、彼の顔がサーっと青ざめていく。この表情を見ていると、思わずプッと吹き出してしまった。
 さて、彼はどう言い逃れをするのでしょう?
 「いや......これは、......その」
 「さっきと同じ服着てるから、同じ女性だよねぇ〜?」
 「......はい......」
 「へぇ〜凄いベタベタくっついてるよねぇ〜?」
 「えっとぉー......」
 「じゃあ殺しまーす」
 「ちょっタンマァァァー!!!」

 シャキーンと効果音がつきそうな、鋭い刃を彼に向ける。先程研いだばかりの包丁は、ほんの少し触れるだけで切れる。つまり、何が言いたいか分かるだろう。
 「何を怖がっているの、研いだばっかりだから痛くないですよ?」
 「そういう問題じゃねぇ......」
 「さーんにーいーち」


 「もう浮気しません女と話しません合コンとか誘われても行かないしチョコとか貰っても拒否するからぁ!!!」


 彼と刃との距離、わずか1㎝。
 まあ、それだけ聞けたら十分ですよね。
 「2度目は許さないからね?」
 「す、すみませんでした......」


 背後に回り込み、彼の大きな手を見つめる。ふふふ〜♪と鼻唄を歌いながら、耳元でそっと呟いた。
 「浮気も認めたし、他の女の子と話をしているのも聞けたし、合コンに行ってるのも分かったし、本命チョコも沢山貰ってるんだねぇ〜」
 ニッコリ彼の前で微笑むと、彼の顔は更に血の気が引いていく。きっと私には内緒で、何か色々な事情があるようです。
 しまったバレた、と顔に思いっきり書いているではありませんか。
 「はい殺しまーす」
 「話を聞いてェェェ!!!」


 彼の手足のガムテープが取れるまで、あと何時間かかるでしょうか?