よく晴れたアスファルトの上、白い腹を見せた蝉が転がっていた。 まだ生きている、と鳴こうとする。自分はまだ果てないと叫んで見せる。 でも、一向に声は出ないままで。 そこを一台のトラックが通り過ぎた。 ばり、ばり、と音を立てて。バラバラになった蝉が、灼熱のアスファルトの上に転がっていた。 飛んでヒに入る夏の虫【完】