複雑・ファジー小説

Re: 飛んでヒに入る夏の虫【完結】 ( No.12 )
日時: 2020/08/20 17:53
名前: 今際 夜喪 (ID: 6hC8ApqV)

 よく晴れたアスファルトの上、白い腹を見せた蝉が転がっていた。
 まだ生きている、と鳴こうとする。自分はまだ果てないと叫んで見せる。
 でも、一向に声は出ないままで。
 そこを一台のトラックが通り過ぎた。
 ばり、ばり、と音を立てて。バラバラになった蝉が、灼熱のアスファルトの上に転がっていた。





 飛んでヒに入る夏の虫【完】