複雑・ファジー小説

Re: 「死ぬな」なんて聞き飽きた僕ら ( No.15 )
日時: 2019/05/26 08:23
名前: Nahonn (ID: 3nlxUYGs)


 ゆっくりと重い瞼を開けた。そこは、真っ白な部屋だった。

 目につく物といえば、天井からぶら下がった首をつるための縄と、その下にある白い椅子位だ。

 あとは何もない。正方形と思われる部屋は何も無さすぎる。日用品すらない。

 でも、今は情報収集が一番大事だ。私は壁もみっちりと探索した。無数の切り込みがある。

 きっと何処かに隠しカメラや盗聴機もあるだろう。

 『おはようございます。お目覚めですね。』

 ボイスチェンジャー音にビックリして辺りを見渡した。

 音が反響してスピーカーの位置が確定出来なかった。

 『神崎汐里さん。貴女は私たちが"誘拐"しました。』

 "誘拐"にしては私はなんの恐怖も抱いていなかった。

 それが不思議であったと共に謎の安心感が込み上げてきた。

 『神崎汐里さん。貴女はここで少しの間過ごしてもらいます。』

 ガコン、と壁からモニターが出てきた。

 『外の様子はこのモニターで見れます。

 それで、もしも死にたくなったら死んでもいいということになっています。』

 私は上を見た。無機質にぶら下がっている縄が目にはいる。

 『好きな死に方があるのでしたら、こちらで用意しますよ。』

 スピーカーの奥でこの人が笑った気がした。

 『知りたいのでしょう?。周りの人間が自分をどう思っているのか。』










 『自分は本当に死ぬべきなのか。』