複雑・ファジー小説

Re: 「死ぬな」なんて聞き飽きた僕ら ( No.22 )
日時: 2019/07/07 16:41
名前: 白刃 さとり (ID: DLaQsb6.)


 真実を知ることは、それに伴って不幸を呼び寄せる。


 昔読んだ本にそう書いてあった。

 けれども僕らは"真実"を知りたい。

 そのためにここに来た。




 「えーと。人見さん。あの。」

 僕は人見さんに声をかけた。

 「あっと、司君?。なに?。」

 人懐っこい可愛いげのある声で、人見さんは振り返る。

 「来てくれないかな?。部活の物置小屋に用があって。開けてくれないかな?。」

 この学校は大きな部活の物置小屋があり、そこのなかにいくつかの部屋がある。

 その部屋のひとつひとつは各部活が物置小屋として使っていて、鍵がそれぞれにある。

 しかし、小屋の玄関口の鍵は各部活になく、一ヶ月ほどで代わる代わる管理しているのだ。

 そして、今月はバドミントン部。

 好都合なので使わせてもらった。


 このゲームは内容的に"一人"で捜査するのが目的のようだ。

 捜査の結果は"王"に知らせ、"王"が解決する。


 「司君。空いたよ。」

 鍵を人差し指でクルクルと回しながら人見さんはそう言った。

 「ありがとう。あぁ、そういえば。」

 僕は人見さんとなかに入るとゆっくりとドアを閉めた。