複雑・ファジー小説

Re: 「死ぬな」なんて聞き飽きた僕ら ( No.7 )
日時: 2019/04/23 19:48
名前: Nahonn (ID: 3nlxUYGs)


 [全員揃ったみたいだし、そろそろ初めましょうか。]

 スマホからはそんな声の電子音が聞こえた。

 その言葉に、鹿山くんが苛立ちを隠せていない笑みを浮かべ、

 「ええー、俺は目的を聞いたんだけど。」

 と言った。電子音は聞こえず、その代わりか、

 「教えるつもり、どうせ無いでしょ。それくらい分かりなさいよ。」

 と畠中さんが言った。はあ?なんて言いそうな眼で鹿山くんが畠中さんを見た。



 「まあまあ、その人何か言いかけてたし...」

 何か険悪なムードに耐えきれず、比留間さんは言った。

 「俺も、一回きちんと話を聞いた方が良いと思う。」

 その後、山澤くんが言った。キッと畠中さんが、山澤くんを見た。


 「何よ、あんたまで。」

 畠中さんが、ふいっとそっぽを向いた。

 しばらく、静かになる。

 [さて、もう噺は済んだかな。]

 その人が、そう告げると鹿山くんがため息を吐いた。




 [うん。済んだみたいだ。]



 [それじゃ、あの手紙、とどいたんだ。]

 手元に出せ、とでも言わんばかりに、その人は言った。

 僕は、手紙を出す。そう思ったのは、僕だけではない様で、皆も出していた。

 [それじゃあ、写真を手紙と皆の、両方撮ってくれない?]



 言われた通りに、僕らは撮った。その間は2分程度。僕たちは一言も、言葉を発さなかった。


 まるで、何か大事なものを噛み締めるように。