複雑・ファジー小説

Re: 何回目かの初めまして。 ( No.10 )
日時: 2019/06/11 23:25
名前: Nahonn (ID: bb2N.JWt)


 「朔。」

 机に顔を突っ伏していた俺は顔を上げた。俺を呼んだ本人である楓は、じっと此方を見つめる。
 「あんだよ。俺の顔に何か付いてんのか?。」
 それでも、楓は答えなかった。また、この前みたいに不安にさせたんじゃないか、やっと前世を思い出したのか、何て色んな考えが頭をよぎった。
 「おい?。楓?。」
 「ねぇ、朔。朔ってカッコいいの?。」
 俺の心配する言葉を遮りながら、予想外な言葉を吐いた楓。安堵と呆れの混じった溜め息が知らず知らず俺の口から零れ出た。何故かそこに楓が反応する。
 「はぁ、じゃ無いわよ!。真面目にかんがえてるんだかんね!!。」
 「へいへい。怒った顔も可愛いですよー。楓チャン。」
 本心混じりの憎まれ口を叩く。楓はいつものように頬を膨らませた。本当に可愛い。

 「楓は、十八年しか生きられないって嫌か?。」

 さりげなく、不自然じゃないようにそう言った。楓は首を傾げる。

 「んー。死にかたにもよるかな?。でも、それが誰かの為になるならそれでいいかも。」

 変わらないな。そうゆうとこ。
 もういっそ、このまま俺だけの檻に閉じ込めて自分だけのモノにしたい。
 十八歳を迎えた日に一緒に死のう。そしてまた生まれ変わったら、次の世界で愛し合おう。


 でも、それでも君との未来を諦められない。

 だから、またこうやってもがいている。

 「私、朔の為なら死んでもいいよ。」



 こうして、天国のような地獄の日々が始まった。