複雑・ファジー小説

Re: 何回目かの初めまして。 ( No.8 )
日時: 2019/05/28 00:02
名前: 白刃 さとり (ID: 3nlxUYGs)


 「今日から副担任をやらせて頂きます。萩原轆轤です。担当教科は国語です。宜しくお願いします。」
 営業スマイルを盾に、轆轤さんはそう言った。その容姿や、甘いボイスから女子は虜になっていた。

 「轆轤先生って彼女いますか!?。」
 早速男子からの質問が入った。轆轤さんは笑顔を崩さず、
 「はい。少なくとも一生を誓い合った女性ならいます。まだ結婚はしていませんが。」
 と言った。わぁ、と教室が騒がしくなる。そのなか一人だけ真っ赤な顔を必死で隠している叶ちゃんがいたことは、私と朔と轆轤さんの秘密だ。
 「それじゃあ、その彼女っていくつですか!?。」
 「写真ありますか!?。」
 「彼女とどこまでいってますか!?。」
 「彼女の身長は!?。スリーサイズは!?。」
 「彼女との出会いは!?。」
 「交際期間はどれくらいですか!?。」
 追及するように男子が質問をいれた。こうゆう所に抜かりのない男子達は私から見ても勇者だ。轆轤さんが静かに、と合図をした。教室が静まり帰る。
 「彼女とは数百………ごほん………十数年の付き合いで、交際を始めたのはつい三年前です。あとですね、彼女の魅力を話したいとこなのですが、彼女の魅力は俺のみが知っていればいいことなので、話したくありませんよ。」
 にこり、と微笑んだ轆轤さんであったが、女子はもちろん男子の心もぶち抜いたのであった。

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 轆轤said

 楓さんと朔が"繰り返しの呪い"に呪われたように、俺と叶も"永遠の呪い"に呪われていた。その呪いはあまりにも残酷だった。朔達の呪いが"愛し合うと死ぬ呪い"に対し、俺達の呪いは"愛し合っても対立する呪い"だった。今はもう前世の朔と楓さん達のお陰で何とか解くことが出来たのだ。
 でも、呪いの解けた直後、楓さんが朔を庇い、死んでしまった。
 そこで俺達は理解した。



 彼らの終わりの見えない呪いのことを。