複雑・ファジー小説

Re: 何回目かの初めまして。 ( No.9 )
日時: 2019/05/28 04:58
名前: 白刃 さとり (ID: 3nlxUYGs)


 [前世:朔目線(youという歌の歌詞を使わせてもらいます)]


 ああ、もう朝だ。

 悠長な鳥のさえずりが聴こえてくる。昨日は一睡も出来なかった。そのせいか、やけに頭が冴えている。

 眠れない日は、いつも君の腕の中で寝た。今はもう、その温もりすら見当たらないのだ。昨日、最愛の君がいなくなったのだから。分かっていても、頭では分かっていても、まだ何処かに生きていると信じてしまう自分がいる。



 貴女は今、何処で何をしていますか?。

 この空の続く場所にいますか?。

 いつものように笑って過ごせていますか?。



 それとも、今も俺の傍にいますか?。

 もしそうなら、俺は君の為ならば心臓だって捧げよう。君の為ならばなんだってするから。もう、失わせないでくれ。俺から最愛の人を奪わないでくれ。

 なのに何故、君は死んでもいいなんて言うんだ。何で逃げられないなんて言うんだ。たった十八年の命なんて、悲しいだろう?。

 何で俺ばかり辛い想いをするんだ。










 「朔。」

 ふわりと頬を撫でられる感覚。それと共に漂う甘い香り。楓だ。俺は目を開けた。今は、楓はここにいる。
 「どうしたの?。ニヤニヤしちゃって。」
 憎まれ口がかえってくると思ったのか、スタンバイをする楓。
 「俺、スッゲー幸せだなって。」
 楓の頭を撫でると、楓は頬を赤らめてポカンとした。

 そんな貴女が大好きです。

 言えない言葉を心の中で囁いた。