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複雑・ファジー小説
- Re: 何回目かのサヨウナラ。 ( No.4 )
- 日時: 2019/06/19 18:56
- 名前: 白刃 さとり (ID: bb2N.JWt)
[轆轤目線]
叶に剣が振りおろされている。私は、私の過ちに気が付いた。
そう。もうとっくのとうに気が付いていたはずだ。
私には呪いが掛けられていた。そう"永遠の呪い"が。それは、永遠に生きる呪い。だから。私は、ヒトとは分かり合えない。
今までにヒトには石を投げつけられ、蹴られ、散々痛め付けた癖に「神だ」と謳われ、挙げ句の果てに「自由だ」何て言われた。馬鹿馬鹿しい。どれだけ従えば許してもらえる。どれだけ我慢すれば死ねる。
そして、とうとう私はヒトを見捨てた。何時になったら過ちに気付くのか、
そう考えていた。
でも違った。人間は間違ってなどいなかった。
暖かい心の人間もいれば、ある人を拒絶し、酷く憎んでいる人間もいた。いじめをしている人間も、人を殺した人間も、欲に溺れた人間も、偽善を掲げる人間も、努力を憎む人間も、人の痛みを嬉しむ人間も。
全ては、一つの愛と、一つの優しさが原因だった。
そう。人間はただの優しく暖かい生き物だったのだ。俺をいじめた奴だって妻子を守ろうとして私に殺された。
間違っていたのは私だった。
分かっていたのに人間を否定し続けた私が一番馬鹿だった。
叶の事も一種の罪滅ぼしのようなものだった。最初は。
でも、いつの間にか彼女にどんどんと惹かれていき、仕舞いには這い上がれないほど深くまで堕ちていた。だからこそ、彼女のために姿を消して人間に二度と合わない所で死ぬまで過ごそうとしていた。
「叶!!。」
彼女が刀を見て目を見開いた。此方を見てはおらず、一直線に叶へと飛び込もうとする刃先を諦めの表情で見つめていた。
叶が助けをこう様子もなく、私は立ち尽くしていた。しかし、体が、心が、彼女の元へと動いていた。
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