複雑・ファジー小説
- Re: 今日の宿題:明日までに人間を殺してください ( No.2 )
- 日時: 2019/06/07 17:18
- 名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=1174.png
第1章開幕記念イラストをURLで貼っておきます。
よかったら見てください。
☆第1章 シニガミガッコウ 第1話
ガシャン。グシャン。ドシュアアアン。
「五月蝿いッ」
「あーごめんごめん。ちょっと練習してたんだけど、うまくいかなくって」
寝起きの頭で確認する。
広大な屋敷の中で最も大きい応接間。その中央で、白い髪の美少女がグランドピアノを弾いていた。一見、幻想的なものがあるが、音がピアノのそれではない。
「どうやって弾くんだろ、これ」
首を傾げる美少女ーーファミを軽く睨む。
一週間前、ファミの弟子にされてからというもの、俺はこの屋敷で寝起きしていた。一応健全な十二歳であるし、美少女とひとつ屋根の下、というものにドキドキしたのも事実だ。
ーーしかし。
ファミがこんなんである以上、ドキドキするようなことはおこらず、やぼったいオーバーオール姿で毎夜「ちょっくら人狩ってくるわー」なんて言いながら出かけていく彼女を見送るだけが俺の仕事である。
弟子らしいことは何もしていない。
掃除洗濯料理など、家事はファミ曰く『使用人』の幽霊たちがしてくれる。無口で無表情なため、遊び相手にはならない。
なんとなく屋敷から出るのも嫌だったし、俺は一週間ほんとうにゴロゴロと過ごしただけである。
「貸してみ」
ポロン、ポロロン。
指をはしらせ、ピアノを弾く。
普通の音が出た。やはり、ファミが悪いだけで、ピアノに異常は見られないようだった。
「すごいな」
ファミは感嘆のため息をつく。
素直な言葉に俺は居心地が悪くなって目を背けた。
「これくらい、誰でもできる」
「ピアノは習っていたのか?」
「……今思えば、俺が家にいるのが目障りだったからなんだろうが、習い事だけはたくさんさせられていたからな。ピアノもある程度は弾ける。下手だけどな」
ファミがあまりに期待のこもった目で見てくるので、試しにふと浮かんだ曲を弾いてみる。物覚えは悪い方で、長く習っていたというのに暗譜している曲は多くない。迷う時間はあまり必要としなかった。
柔らかい春のはじまりを喜ぶ曲で、温かい気持ちになれるメロディ。自然のいきいきとした姿を描いた歌詞に引き込まれたのを覚えている。
お気に入りの曲のひとつだ。
弾き終えると、ファミはパチパチと拍手を送ってくれた。
「すごい、すごいよ。キミは才能がたくさんあるんだねぇ」
照れ臭くなって顔を背ける。
褒められるのは苦手だ。
「買い物に行こうか。楽器も買ってあげるよ」
買い物。
どこからその発想が出てきたのかと問い詰めたくなるほど唐突だが、ずっと出かけていなかったため、その提案は魅力的に感じた。
「うん」