複雑・ファジー小説
- Re: 今日の宿題:明日までに人間を殺してください ( No.5 )
- 日時: 2019/06/15 01:45
- 名前: 塩鮭☆ユーリ (ID: 7/pkw8b6)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
☆第1章 シニガミガッコウ 第4話
たくさんの買い物袋を抱えて、俺とファミは死神の鎌の店を後にした。
この紙袋のほとんどが俺のために買ったものなのだと聞かせられ、驚きと申し訳なさが押し寄せてくる。年上ならまだしも、見た目は同じくらいの少女に買ってもらってばかりで、しかも居候しているような状態だ。
図太い方だと思っていたが、流石にこれは流せない。
「こんなに……いつか、お金返すから」
ファミは軽く笑って首を振った。
「返す必要なんてないよ。これを買うのは師匠の義務みたいなものだから。弟子はみーんなしてもらうの。遠慮しすぎ」
そうなのだろうか。
どちらにしろ、しばらくはその言葉に甘える他ないのだが。
「でも、こんな大量の荷物必要なのか?」
衣類はわかる。死神の鎌もわかる。
楽器もわかる。そもそもそれが目的だったからな。今思えば楽器って高いしやっぱり買ってもらうべきじゃなかったと後悔しているが。
「これは何なんだ?」
よくわからない言語で書かれた本のようなものが十冊程度、筆記用具とカバン、おまけに見たことのない制服。さっき確認したが、サイズは合いそうである。つまり、俺が着るものなんだろうけど……。
「死神学校に行くために必要なものだ」
……死神学校。
そういえば、さっきの店長もそんなことを言ってたが。
「死神学校っていうのが必要なのか?師匠と弟子でやっていくんじゃないのか?」
「だいたい一年間で卒業できる。そっからは本格的に師匠と弟子の二人三脚だが、命を扱うからな。とりあえず最低限のルールや知識を詰めこまないと悪い師匠にひっかかったとき大変なことになるからな」
一年間。
学校に行くことが特に嫌だというわけではないが、どうしてもそういった『以前の生活』に近いものは、『あの日』を連想してしまう。
壊れかけていた家族が決定的に、致命的に、壊れてしまった日。
そして俺がーー人間を、やめた日。
それがほんの一週間前のことだというのはなんだか不思議な気分だ。
「そうなのか……」
「全寮制というわけでもない。こっちに帰宅するといいよ。勿論、寮がいいなら寮でいいが……コネをつくるチャンスでもあるし、死神学校に通うことは決定事項だ」
俺が乗り気でないことは察しているらしい。
「こっちに帰りたいかな」
その理由に少し、ファミに会いたいからっていう理由が含まれることは口が裂けても言えないが。
「あぁ。いつでもおかえりと言ってやるさ」
帰り道、人々が自分達を無視することに慣れ、俺はまたひとつ人間らしさを失った気がした。けれど、それは寂しいだけのものではなく、誇らしくもあった。
まだ俺の名前をニュースキャスターが連呼していたが、よほどニュースがないのか、平和だな、と。
ただ、的外れなことを考えながら帰路についた。