複雑・ファジー小説
- Re: 命を賭けてまで人を愛したくない!! ( No.56 )
- 日時: 2019/06/16 22:40
- 名前: 通りすがり (ID: pymfwt0Q)
-その後-
あれから月日が経ち、夏休みに入った。
私は毎日、彼女の家へ向かった。
彼女はいつも、私を手厚くもてなしてくれる。私もそれに応えなくてはならない。
だから.....
坂野
「おーい!!由緒〜、おるか〜?」
立見
「.....!!はーい!!!今、開けるね!!」
ガチャンとドアが開くと、満面の笑みで迎えてくれた。
立見
「おかえりー!!」
坂野
「おう、ただいま。」
彼女はテーブルに冷えた麦茶を置いた。
立見
「暑かったでしょー?エアコンは無いけど、扇風機買ったから点けるね。」
坂野
「ンッンッンッ.....ハァ!!.....おう、頼むわ。」
彼女は私に今日の勉強の内容を聞いてきた。
だが、今日は勉強を教えに来たのでは無い。
坂野
「今日は勉強を教えに来たんとちゃうんよ。」
立見
「えっ?んじゃあ私と過ごしに来たの??」
彼女はとても幸せそうにしていた。
坂野
「いやいや、まぁ...ソレモアルケド。実は!!今日の夜に近くのA神社で夏祭りがあるんや。」
立見
「も、もしかして.....。一緒に行くの?!」
坂野
「そう、それを誘いに来たんや。行く?」
立見
「もちろん!!」
彼女は目を輝かせ、もはや上の空だった。こんなに目を輝かせて喜ぶ彼女を見たのは久し振りだ。
誘拐されて始まったこの生活。今じゃ私から来るとは、変わった物だ。
その夏祭りの時間までは雑談や、私が連れていかれたあの公園で野良猫を触ったりして過ごした。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎて行き、夕方になった。
猫
「ゴロゴロ.....」
坂野
「もうこんな時間や。もうすぐ夏祭りが始まるで。」
立見
「早いねー。一旦、家に戻ろ?」
坂野
「ん?ええけど.....」
そして家に戻ったら、彼女は「ちょっと待ってて」と言い、私を家の前に留めた。
それから数分後。彼女は浴衣姿で出てきた。
その浴衣は花柄で、彼女にはとても似合っていた。
恐らくこれ以上に、美しい人間は見た事無いだろう。
坂野
「おー!!可愛いやんか〜!!似合っとる似合っとる!!」
彼女は褒められた事にとても照れて、顔を赤くしていた。
立見
「そ、そんなに可愛い?」
坂野
「めっちゃ可愛いで!!良くそんなん買ったなぁ。」
立見
「実はこう言う日の為に買ってたんだ〜。んじゃ、行こ!」
坂野
「そんじゃ行こか」
私達はそのままA神社へ向かった。
そこでは沢山の屋台が開かれており、賑やかだった。
坂野
「色々開かれとんな〜」
立見
「何か欲しい〜?」
坂野
「いやいや、ここは男が奢るんや。」
立見
「別に良いよ〜。そこまでしなくても!!純君には迷惑かけたくないし.....」
坂野
「大丈夫!!大丈夫や!!いつも世話になっている分のお返しやって!!」
彼女はそれを聞き、「んじゃ.....綿あめ.....欲しいな〜?」と言って綿あめを欲しがった。
私は屋台の中から見つけ出し、綿あめを一つ買った。
坂野
「はい、綿あめ。デカイな、これ。」
立見
「うん、一人じゃ食べきれないや。」
つまり、「一緒に食え」と言う事か。
だが私はあえて、どうするのか聞いた。
立見
「.....えっ!.....うーん.....捨てちゃもったいないよ〜」
「出来れば一緒に食べて.....」と彼女は小声で言った。
坂野
「え?何やって?」
ニヤニヤしながら言った。
立見
「もー、いじわるだよ!一緒に食べてよ〜!」
坂野
「最初からそう言えば良いんや。」
立見は私には微笑みかけ、私と一緒に綿あめを食べた。
素朴な味で美味かった。
私達はしばらく屋台並びを歩き回り、花火大会があると聞いたので、見に行った。
坂野
「さぁ、もうすぐやで。」
立見
「うん。」
彼女は私に寄りかかり、待っていた。
最初の花火が打ち上がった。
ドーンと大きな花火から始まった。
観客は皆、拍手をしており、私と彼女も自然と拍手をしていた。
立見
「おっきいねぇー!!」
坂野
「せやなー!!」
しばらくその、花火に見とれていた。
花火大会も終わり、私達は家に帰る途中だった。
坂野
「どうやった?」
立見
「楽しいかったねー!」
そのまま何事も無く帰ろうと思ったが、後ろから突然声をかけられた。
???
「おい!!あんたらちょーと待てや。」
坂野
「.....!お、俺らか?」
立見
「見たいだね.....」
???
「おい、無視すんなや!!」
坂野
「な、何やお前。何か様か?」
そいつは同じ中学生位の男だった。
体格は強そうに見えた。銃剣があれば私は勝てただろうが、置いてきた。
???
「お前ら見とったら、イチャイチャしよってムカつく。しばいたる!」
そして殴りかかって来た。
私はまともに食らって倒れた。
坂野
「う.....何やねん.....」
彼女の方へふと、見てみると、その目は怒りに震えていた。
あの時と一緒で光も無かった。
???
「何や?やんのか?」
立見
「私の純君をいじめるなんて許さないよ!!そんな奴は死んでしまえ!!」
そして彼女は飛びかかっては首を締めに入った。
「ウグッ!!.....」その男はうめき、そのまま倒れた。
なんて握力だろう。
立見
「純君!大丈夫だった?あいつは私が倒したよ!!」
坂野
「ゆ、由緒.....ありがとさ〜ん.....」
彼女は私に肩を貸し、そのまま家に帰った。
やはり彼女は強かった。
私も見習おう。
今日の夏祭りは楽しかった。
恐らく、最高の思い出となるだろう。
私は「これからも彼女の事を大切にしていこう」そう思った。