複雑・ファジー小説

Re: 我らの訓音 ( No.39 )
日時: 2019/08/04 21:32
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

我らの訓音:プロローグ

時は1422年(世宗5年)世宗が集賢殿を宮中に学問研究所として設置して2年有望な儒学者や外国人らを登用し、研究を次々と行った。集賢殿は政策会議機関として朝廷から優遇されるようになり、朝鮮文化と朝鮮発展のため集賢殿は力を注いだ。また、紙幣経済の浸透までを検討し、朝鮮を盛んにさせた。

【朝廷】
咳き込む太宗は雨の降る中、内官に支えてもらいながら立つ。
太宗「昌慶宮の先を出た藩村(ごちょん、はんむら)で疫病が流行っているのだとか。」
内官「上王様はご自分の体調だけを置きになさって下さい。」
太宗「私が崩御し死んで霊となった時には神に余の民を助けてくれと。頼もうではないか。」
内官「上王様…」
太宗「そなた、そなたは余が死んだ時には王様に忠誠を捧げなさい。」
内官「上王様。そのような不吉な事は仰らないでください。」
太宗「私の死が…民のために捧げられるならば…死など怖くもない…」
太宗は倒れ、手を落とす。
内官「上王様!なりませぬ!まだ…逝ってはなりませぬ!」
上王の衣服にポタンッと雨の水が垂れる。

西暦1422年5月10日、雨の中崩御した太宗の命日には毎年雨が降った。それ故「太宗の雨」と言われ続けている。15世紀中期から20世紀初期まで批判続けられていた太宗だが、後に息子の世宗イ・ドと共に全盛期を築き上げた父子として歴史に刻まれた。 御陵は献陵にある。
西暦1422年6月18日にイ・ドは初の親政を行うようになる。

Re: 我らの訓音 ( No.40 )
日時: 2019/08/04 21:32
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

登場人物

世宗イ・ド 国王、ハングル創作を目指す。

チョン・インジ 集賢殿 殿真馬部ジョンチンマウィ、ドの補佐官吏

ソン・サムムン 集賢殿 殿真員ジョンチンウィン、ドの部下

ワン・ジャギョン 高麗氏族残党、恭譲王の孫息子、ハングル創作に協力

チャン・ヨンシル 元奴婢、免賤ミョンジョルした殿真員。

昭憲王后 シム氏 ドの妻、ハングル創作に協力

パク・イムニョン ジャギョンの部下、ドへ復讐心を抱くが、ジャギョンの朝鮮への忠誠心を知り、思い留まる。

パク・ガンスク イムニョンの異母兄弟、高麗残党・鮮襲団せんしゅうだんの首長、世宗へ逆心を抱く

チ・ハン ドに協力、チャン・ヨンシル の親友、司憲府の府員



Re: 史伝 ( No.41 )
日時: 2019/08/04 21:04
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

我らの訓音:第1話

(1422年6月18日)
【勤政殿】
チョン・インジ「王様。親政への昇進を心よりお祝い申し上げます。」
世宗「早速だが、余の義父上である元領議政シム・オンの名誉回復を行う。」
チョ・マルセン「王様。シム・オンは王様と先の上王様のお命を狙い謀反を企てました。我々朝廷としてもシム・オンの名誉回復には賛成することができません。」
世宗「では、宮中から出て行くがいい。」
チョ・マルセン「王様?」
ファン・ヒ「王様。いい判断でございます!王様に従わぬ奴は粛清して下さいませ。」
チョ・マルセン「右議政 大監!何をおっしゃるのですか!」
ファン・ヒ「吏曹判書。王様親政後の初の王命です。宮中から追い出されたくなければシム大監の名誉回復に賛成するのです。」
チョ・マルセン「私は!決して賛成しませんぞ!決して宮中から追い出されても!いや、死んでも賛成は致しません。」
ファン・ヒ「王様。吏曹判書の罷免をご命じくださいませ。」
世宗「チョ・マルセン!私を軽んじておるのか!私が長い間名ばかりの王だったからと私を見下すような真似をするとは!吏曹判書の流刑を命ずる。」
ファン・ヒ「賢明なご判断でございます。」
チョン・インジ「王様。私は罷免はこのような罪状にして下すのは重い罰だと思います。」
世宗「そなたまで…」
チョン・インジ「吏曹判書様を殿真員に格下げし、国に役立たせてはいかがでしょう。」
世宗「殿真員に?殿真馬部。良い案だ。罪人を国に役立たせるという訳か。」
チョン・インジ「はい。王様。」
世宗「直ちに集賢殿に連れて行け!」

Re: 神の史伝 ( No.42 )
日時: 2019/08/04 21:19
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

我らの訓音:第2話

(1422年6月20日)
【集賢殿】
チョン・インジの話を聞く殿真員たちの元に、手錠と足錠をつけたチョ・マルセンが入ってくる。
ソン・サムムン 「彼は?誰ですか?」
チョン・インジ「新たな殿真員だ。」
ソン・サムムン 「だいぶ老けているな。ハッハッハ。」
チャン・ヨンシルがチョ・マルセンを見つめている。
チャン・ヨンシル 「ん?吏曹判書様?」
チョン・インジ「もうそやつは吏曹判書ではない。新たな殿真員だ。そやつはもう一生宮中に出仕する事はない故、媚を売っても無駄だ。」
チョ・マルセン「殿真馬部!私は…必ず宮中に再出仕してやる!」
チョン・インジ「貴様!私を呼び捨てするとは!不届きな奴め!そやつを叩け。」
武官・ハンソル「殿真馬部様。良いのですか?」
チョン・インジ「ああ。そやつは私の部下だ。もちろん部下故躾をせねばな。」
ハンソルはマルセンを叩く。
チョ・マルセン「殿真馬部!覚えておれ!」

【王の神殿】
チョン・インジ「今、吏曹判書に体罰を与えております。」
世宗「やりすぎは良くないぞ。吏曹判書は出仕しようとすれば簡単にする男だ。十分に用心せよ。」
チョン・インジ「肝に銘じます。」
そこに…内官「王様。王妃様です。」
世宗「謁見か?通せ。」
そして神殿に王妃が入ってくる。
昭憲王后「殿真馬部殿は下がりなさい。」
チョン・インジ「はい。王妃様。」