複雑・ファジー小説
- Re: 晦き運命に響いた囁き ( No.50 )
- 日時: 2019/08/09 18:06
- 名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)
晦き(くらき)運命に響いた囁き
第1章「義賊への道」第1話『運命の戦い』
【朝鮮の王宮】
「大卒些(おおそつさ、デチョルジャ)城が倭国の手に渡っただと!」
中宗の怒鳴り声が勤政殿に響き渡る。中宗は日月五峰図の前にある御座から立ち上がり…
「私が直々に倭国へ参ることとする。倭国の天皇と後柏原天皇と対面することとする。」
【京畿道・楊州】
王宮の従事官がやって来る。
従事官は小さな声で武官にバンモン(後のコッチョンの父、イム・サホンの捨て子)を指差し、「あの者を王様の護衛に命じよ。」と悪巧みでもしてそうな顔をして言う。
武官はバンモンの腕を掴み、連れて行く。
バンモンは従事官にこう言われる。「そなたが王様の護衛をする。王様の身に何かあればそなたの命に保障はない。」と。バンモンは嫌々従事官に付いて行く。
【倭国の道中】
不安そうな顔をして王の乗る輿の横を刀を持って歩くバンモン。
そこに、刀を抜いて襲ってくる刺客が現れる。従事官も刀を抜き、王の首に刀を向ける。その時、バンモンは刀を抜いて、従事官の腰をスパッと斬る。従事官は刀を落とし、倒れる。刺客らはその様子を見て驚くが、バンモンに刀を向け、襲いかかる。バンモンは中宗に襲いかかろうとする刺客らを次々と倒す。
そして、バンモンは刺客を全て斬り倒す。それを見た中宗はバンモンの肩に手を置く。
「この様な武術に優れた者を京畿道の楊州で白丁として隠していたとは。全くだ。この者を朝鮮に帰国した時に従事官に任命する。」
と中宗がバンモンに言う。すると、バンモンは跪き、中宗に言う。
「しかしながら、王様。私は…奸臣であるイム・サホンの庶子です。朝鮮の政治を乱した者の息子が従事官となるとは…」
すると、中宗は驚いた顔をしてバンモンを見る。
「何だと?ハッハッハ。まあ別に良い。余の存位中は先代と共に暴政を働いた者らの子孫らには罪を問わず、普通に生活できるよう既に命じたのだ。そなたにどうしても従事官を命じたい。」
と真剣な顔をしてバンモンに話す。その龍顔を見たバンモンは(王様が承諾を真に願っている)と感じてバンモンは「聖恩の限りでございます。」と承諾の意を示す。
【倭国の王宮】
後柏原天皇(ごかしわばらてんのう、室町~戦国時代の104代目の天皇)が中宗に言う。
「大卒些城の件か?」と後柏原天皇が。
拳を握り、中宗が言う「はい。天皇陛下。大卒些城を返城してください。」
後柏原天皇は立ち上がり、天劔(ていけん、天皇の劔)を中宗に向ける。そして中宗はそんな後柏原天皇を下から冷徹な目で見つめる。
第2話「大卒些城の運命」
終