複雑・ファジー小説

Re: 将軍の銃口 ( No.4 )
日時: 2019/09/20 10:00
名前: 渾身2 (ID: Xr//JkA7)

【西人派の集まる流刑地】

杖をつき、何者かがその場所へ歩いて来る。

「チョン・チョル(西人派の臣領)そなた、何をしておる?」と笑いながら質問するソン・インピル(西人派の臣領)

「ソン殿か?」と不思議そうな顔でインピルを見つめるチョン・チョル。

「ああ。そうだ。チョン・チョル。久し振りだ。」とソン・インピルはチョン・チョルと握手する。

将軍の銃口〜英雄の戦い〜第3話「究極の選択」

1589年10月

【チョン・ヨリプ(西人派の武官)の屋敷】

チョン・ヨリプの屋敷に流刑を解かれたチョン・チョル加えたソン・インピルらがやって来る。

「ヨリプ殿。我らがやって来たぞ。」とヨリプに笑顔で話しかけるインピルたち。

ヨリプは歓迎するような言調で言う。

「ソン様。チョン様。お越しですか。」とヨリプが言う。

1589年10月25日、チョン・ヨリプは''大同契テドンゲ''を率いて王宮に進撃をしろとソン・インピルらに脅されたと後に判明する。10月26日、反乱を知らされた宣祖はチョン・ヨリプの屋敷に1000の兵を向かわせる。しかし10月27日に到着した兵士らはチョン・ヨリプの遺体を確認した。ヨリプの手に力強く握られていた遺言書には「大同契はこれまで倭寇を倒し続けた王様の忠臣だ。そんな倭寇を率いる獣より恐ろしい豊臣秀吉と手を組むなど…あってはならぬ事だ。東人派はこのまま豊臣との国交を結ぶ気になっているのだろう。いつかは東人を倒すものが現れる事を信じあの世へ向かう__」と記されている__その遺言書を読んだ宣祖は机を叩き、こう命ずる。

「そうだ。その通りだ。獣の国の倭国とは手を結んではいけない。そうだ。その通りだ。余はこう命ずる。西人を朝廷に登用せよ。」と。

1589年11月の初め、ソン・インピルを始めとした西人派は宣祖の命令で朝廷への出仕を果たす。西人派はその後、チョン・ヨリプの親族のチョン・ハボン(東人派の臣領)らを始めとした東人らの臣下が粛清を召され、処刑や流刑を強いられた。東人派のイ・サネやリュ・ソンリョンらも立場的には危機に迫られた。

数ヶ月後…1590年3月(宣祖23年)

【倭迎館】

リュ・ソンリョンは力強く言う。

「玄蘇!私はもう決してそなたらの脅しには聞かない事にした。」と玄蘇らに言う。

『兵判、それで良いのか?朝鮮は倭国の植民地へとなり、滅亡を避けられんぞ?』

「そのような事はない。既に王様が豊臣秀吉に手を打っておいた。」と顔に笑いが出るリュ・ソンリョン

「何だと?」と不思議な顔をして驚く玄蘇。

【倭国の京都・関白邸】

関白邸に馬に跨り、やって来たイ・ドッキョン(朝鮮の使節団、東人派)

豊臣秀吉はイ・ドッキョンを団扇で扇ぎ、待つ。

『何だ?そなたがイ・ドッキョンか?』と豊臣秀吉は自らの腰に巻く帯を強く握りしめ、言う。

「はい。豊臣関白。」と態度の悪い豊臣に頭を下げる。(拳を強く握りしめる)

【関白邸の中】

「豊臣関白。後に戦乱を朝鮮に仕掛けるつもりですか?」と心配そうな顔で尋ねるイ・ドッキョン

『いいや、朝鮮より先に明を攻略する事に決めた故、朝鮮は我ら倭国が明を攻略するまで防塁でも作って待っておれ。』と陽気に話す豊臣秀吉。

「豊臣関白。どうしても朝鮮に出征をせねばならぬのですか?」と恐る恐る尋ねるイ・ドッキョン。

『戦乱がそれほど恐ろしいか?ならば我らの明の攻略に協力するのだ。』と笑いながら言う秀吉。

1590年3月、イ・ドッキョンは宣祖の命令を受け、倭国へ渡ったとされる。イ・ドッキョンは宣祖の苦悩の末、通信使として送られた。宣祖はリュ・ソンリョンらの通信使派遣の願いを受けながらも西人派らの反対で中々派遣が難しかったらしい。また、宣祖自身が倭国を獣の国と発言し、宣祖がその通信使の派遣を嫌がり、反対したと言う可能性もあるが、西人派の反対意見によって通信使派遣が難しかった。そう考えられる。あくまで宣祖は通信使派遣への賛成意見は持っていなかった。そう確認できる。それは豊臣が自らを王と名乗り、朝鮮全土をも揺るがす力を持っていたからであり、朝鮮を倭寇が侵したからだもちろん賛成意見を持てるはずもなかろう。