複雑・ファジー小説

Re: 将軍の銃口 ( No.5 )
日時: 2019/09/23 12:40
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

西暦1590年3月

【倭国 京都】

豊臣反軍の群れが武装して関白邸の方に向かって走っている。

『関白の豊臣秀吉を殺せ!』と反軍らが威勢よく血の付いた秀吉の戦旗を掲げる。

そこに先の尖った槍を手に馬に跨ぐ小西行長が反軍らの前に。

『反軍たちよ!命をここで落としたくなけりゃ関白邸から離れろ!』と力強く怒鳴る。

『あいつが小西だ!豊臣関白を戦乱に煽る奸臣だ!まずはあやつを殺さねば!』と反軍らが小西に刃先を向ける。

すると小西は手を挙げる。そんな小西の横には反軍らに鳥銃の銃口を向ける武士たちがいた。

『殺れ!』と大きな声で小西は言う。無惨に武士たちの発砲に倒れる反軍の民たち。

関白邸の城の上から見下ろす豊臣秀吉。

『ハッハッハ。やはり鳥銃。そなたは期待以上の成果を見せてくれる。』と秀吉は好声を城上に響かせる。

秀吉の隣には明石松(あけしまつ、秀吉の忠臣)の姿が。

将軍の銃口〜英雄の戦い〜第4話「秀吉の野望」

【漢陽 兵器訓練場】

岩弾(ケナン、現代の手榴弾)を手に持ち、投げる兵士たち。

そんな兵士らを見守るホ・ギュンの元へ宣祖がやって来る。

「王様。お越しですか。」とホ・ギュンは慌てて宣祖に礼する。

「ホ・ギュン。確か…倭国の使節団から鳥銃だか何とかの銃を貰ったとか。それを試してくれないか?」と宣祖は楽しみそうな顔でホ・ギュンに尋ねる。

「はい。王様。」ホ・ギュンは鳥銃を手にして的に鳥銃を向け、発砲する。すると、的は折れ、的の先にあった木に貫通。その木はボキッと折れる。

「あ。。。こ…これは…」と驚き、腰を抜かす宣祖。

「このような物が…倭国にあれば朝鮮は敗北を召すだろう…」と不安そうな顔でその折れた的を見る。

【秀吉の屋敷】

『明石松。朝鮮は我ら倭国の出征を恐れている様だ。』と笑いながら秀吉が明石松に喋りかける。

『どちらにしても朝鮮は攻略しなければなりませんぞ?』と明石松が。

『そのようだ。だが、今の王が明を攻略しようとして自滅を召すやも?』と秀吉が。

『はい?まさか…イ・ドッキョンにあのように仰ったのは朝鮮と明が戦うのを臨んでおられるからですか?』と閃く明石松。

『さすが明石松。ハッハッハ。私の見込んだ通りだった。』と明石松。

Re: 将軍の銃口 ( No.6 )
日時: 2019/09/24 17:03
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

【京都 雅市(がし、現在の門跡町付近)橋】

一人歩く明石松の後ろを何者かが鳥銃を手に追い掛ける。

そしてその男は明石松の頭に銃口を当てる。

明石松は自らの頭に当てられた銃口に気づき、振り返る。その男の正体…小西行長だった…

『小西殿…このような事をして…豊臣関白が許しとお思いか!』と小西に向かい怒鳴り声で言う。

『明石殿。別に誰も見てやいない。バレなければいいのだ。』と小西は気味の悪い笑い声で笑いながら言う。

小西は鳥銃を強く握る。

『小西殿…何があなたをそう余裕そうにするのだ…』と明石松が言っている途中に小西は銃弾を明石松に発砲する。

頭から血が流れる明石松はバタリと倒れる。

1590年10月頃、明石松と言う豊臣秀吉の忠臣は小西行長の手によって人生を終えた。。。明石松は幼き頃から聡明であった為、織田信長からも一目置かれていた。。。

将軍の銃口〜英雄の戦い〜第5話「宣祖の譲位」

【朝鮮 漢陽・宣祖の寝室】

1590年10月17日

宣祖は困った顔をしてチョン・チョルの話を聞いている。

「王様。兵判のリュ・ソンリョンは…」とチョン・チョルは再び粛清の渦を巻こうとしていた…

「チョン・チョル!余にこの朝廷の東人派全員を粛清しろと申すか!」と力強くチョン・チョルに向かって言葉を発する。

「王様。私は罪人を捕える事を進言しているとです。下手をすれば…朝廷のみならず民の生活までを乱すやもしれません。」とチョン・チョルは両手を腹の前で組み、頭を下げる。

「結局は!そなたも私情を挟んでいるのだろう?私が知らぬとでも?そなたの祖父はチョン・ドル(チョン・チョルの祖父)だ。そなたの祖父はチョン・ドルなのだ!余の大伯父の仁宗(インジョン、朝鮮12代王)を殺そうとした明らかな謀反人だ!仁宗の継母である文妃(仁宗の継母、朝鮮11代王・中宗の継妻)が遺言を残したのだ。仁宗を殺したのはそなたの祖父だと。仕方があるまい。そなたが流刑に処されたのも。責任を持つのだ。この世にチョン・ドルを祖父として生まれた自らに!」と拳を握りつつ話す宣祖。

「そう言う…王様も私情を挟んでいるのでは?リュ・ソンリョンは自らの師だからと。」と笑いながら言う。

「ああ!そうだ。余は私情を挟んだ!この政治に私情を挟んだ!故にリュ・ソンリョンを弾劾するなら余も共に弾劾せよ。燕山君の様に流刑地で殺すがいい!余は燕山君(廃位された朝鮮10代王)の様に暴君なのだ。仕方があるまい。」と言う。

宣祖のそんな様子を瞳に涙を溜めながら見るホ・ギュン。

そして__チョン・チョルの前で膝を突く宣祖。

「チョン・チョル先生。ぜひ、反正を行なってください。」反正…暴君をクーデターにより廃位する事。

「王様。その愚行はおやめください。」とチョン・チョルは宣祖の手を掴む。

1590年10月18日、東人派と西人派はこの時、一時仲を取り戻す。その後日の10月23日、朝鮮側は倭国の明攻略に協力しない事を明白にする。

【関白邸】

秀吉の笑い声が関白邸の中に響き渡っていた。

「何だと?朝鮮がこの大倭国に協力しない事を明白にしたと?」と笑いながら言う。

「はい。関白様。朝鮮と明が組んだら勢力は爆発的強力になるかと。明石殿の死に続いて倭鮮同盟廃棄とは。」と加藤清正が悔しそうな顔をして言う。

その言葉を聞いた小西行長は秀吉の顔を見る。


1年後…1591年(宣祖24年)

倭国は戦対意思を示した。その年の3月、豊臣軍は安土城で宣戦布告の儀を行った。この戦いは明も朝鮮に協力する事が決まる…

Re: 将軍の銃口 ( No.7 )
日時: 2019/09/24 17:26
名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)

〜登場人物2〜

〜主要人物〜

ホ・ギュン
光海君の側近、東人派

宣祖イ・ヨン
朝鮮14代王

リュ・ソンリョン
官僚、東人派、ホ・ギュンの友人

チョン・チョル
官僚、西人派、ソンリョンやギュンらの政敵

〜その他の人物〜

豊臣秀吉

倭国の関白

明石松

秀吉の忠臣

小西行長

秀吉の忠臣、明石松に敵対心

加藤清正

秀吉の忠臣

光海君イ・ホン

後の朝鮮15代王、皇太子

臨海君イ・ジン

ホンの兄、ホンに嫉妬

ホ・ジュン

朝鮮の凄腕の医者、宣祖に信頼される。

火須藁善仁(かしわらのよに、朝鮮名:ペク・ハソン)

深海宗伝ふかうみそうてんの妻、陶工の上級者 沙器匠サギジャン

深海宗伝(ふかうみそうてん、朝鮮名:キム・テド)

火須藁善仁の夫、朝鮮で生まれた日本人