複雑・ファジー小説

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.1 )
日時: 2019/10/09 21:07
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【プロローグ冬の終わり】



黄色い三日月の出る夜空の下で雪が降る中 ジャンが歩いていた。。。ジャンの瞳には自らに銃口を向けたソファールの姿があった。そんなソファールの後ろにはソファールに銃口を向けるフィラの姿があった。
「ソファール兄さん。何故このような事をする?何故だ!我々は長い間義兄弟として生きてきたではないか!何故だ!」ととても強い威勢でソファールを怒鳴る。
「ジャンよ。私が一度でもお前の言う事を聞かなかった事があったか?私はいつもお前に従った。お前が4年前に俺に手を差し伸べ、義兄弟として生きてくれたから。だから私は死ぬつもりでその命令に従った!それだからジャン、お前に一つ願い事をいう。死んでくれ。お願いだ!死んでくれ。頼む。。。死んでくれ。。。」
と膝を突いてジャンに泣きせがむソファール。
「ハッハッハ。ソファール兄さん。だがな、そう人生は甘くない。この世は先に銃を掴んだ者が勝つ。」と笑いながらフィラから銃を受け取り、銃口をソファールの頭に向け、引き金を引く__ソファールは頭を銃で抜かれ、倒れる。

ジャンは銃を服に入れ、立ち去る。その後ろには銃を握るソファールの遺体が。。。ジャンは振り向き、その遺体を引きずって片付けようとするフィラに向かい背後に声をかけた「その遺体は片付けなくていい。獣に片付けて貰え。そやつのためにそなたの労力は使いたくない。」と恐ろしい目をして言う。フィラはソファールの遺体から手を放し、頷く。二人が立ち去った後、狼と思われる獣らが遺体に近づき、鋭い歯を見せ、ソファールの遺体に齧り付く。


これは千年前の昔の話
ある弱小国家タイバルン。タルバルンでは権力党争が起こっていた。タルバルンの国王バクの元へは謀反の上奏が毎日のように100回ほど届く。それは全て朝廷の上層部による謀反の濡れ衣だ。タイバルンの党争により民は毎日苦しめられていた。とてもこの争いは醜かった。。。この争いでバクは長年の病を患う。その時代、タルバルンは混乱に陥っていた__そんな混乱の定か、謎の銃使いが全国に集結した。

その銃使いは''影紗堂''と名乗り、「党争が国を苦しめる」そのような名文で政治家を次々と銃口を向け発砲、時には銃使いは無実の人間までもを自ら独自の判断で血を吐かせた。党争に…銃使い…タルバルンは狂っていた__人々は人々を苦しめまたその人々らが世を荒らした__バクに残ったのは名ばかりの王の名と病だけ。バクにはついに死が訪れる。。。その後、太子のアヤマが即位。どちらの党にも入っていないアヤマの治世が始まり、タイバルンは暗黒時代へ突入した。。そんなある日、銃決団のジャンはアヤマにこう進言した。
「王様。この世は後に逆賊によって統治される事になるでしょう。この国の始祖はこう言いました。『首魁なる者がいずれこのタルバルンを統治するであろう』と。」
首魁とは謀反の首謀者、中心人物の事を指す。

それから17年後…

剣の擦り合う音が道練場を鳴り響く。その道練場で剣を交わらせるジャンの息子・バンダルとフィラの息子・クゥヌ。
バンダルはクゥヌの剣を弾き、クゥヌはその衝撃で剣を手放してしまい、刃先を向けるバンダル。
その師匠・ミオルはバンダルに向け、拍手を叩く。
「バンダル。全くだ。やはり好意とは変わらぬものだな。昔からお前はそうだ。きな粉をまぶした餅も、この剣術も、そして正義を貫くそなたの父が率いる''銃決団''も。」と。。。
その場にはシーンとした沈黙が流れた。。。
ミオルはその場を少しでも和やかにする為に、愛想笑いをするが…バンダルの顔はとても曇っていた。その様子を尻を地面につけながら見るクゥヌ。バンダルはその曇った顔をし、剣を捨て、どこかへと去る。
その様子に困った顔をするミオル。
杖をつき、自らの屋敷の庭園で青き昼空を見上げる白髭を生やしたジャン。その後ろには同じく白髭を生やしたフィラとミオル。
「私が…死ぬ前にこの暗黒時代を終える手立てを探すことができた…」と昼空を見つめ、二人に話すジャン。
「どう言う事ですか?兄さん…」とミオルが驚いた様子でジャンに尋ねる。
「17年前に私が王様に進言した『首魁なる者』それは…バンダルだったのだ…」とジャンが平然として答える。
服を脱ぐバンダルの背中には''首して世を救う__しかしそれは魁の気を持ってこそ成せる大業だ__''と一文字一文字小さな字で記されている。。。

彼は後に波瀾万丈な人生を送る__首魁へとなり悪徳な政治家たちを無惨に殺していく__しかしそれがタルバルンの暗黒時代を終える事に。彼のその殺生がタルバルンの未来を変えられるなら__