複雑・ファジー小説

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.1 )
日時: 2019/10/09 21:07
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【プロローグ冬の終わり】



黄色い三日月の出る夜空の下で雪が降る中 ジャンが歩いていた。。。ジャンの瞳には自らに銃口を向けたソファールの姿があった。そんなソファールの後ろにはソファールに銃口を向けるフィラの姿があった。
「ソファール兄さん。何故このような事をする?何故だ!我々は長い間義兄弟として生きてきたではないか!何故だ!」ととても強い威勢でソファールを怒鳴る。
「ジャンよ。私が一度でもお前の言う事を聞かなかった事があったか?私はいつもお前に従った。お前が4年前に俺に手を差し伸べ、義兄弟として生きてくれたから。だから私は死ぬつもりでその命令に従った!それだからジャン、お前に一つ願い事をいう。死んでくれ。お願いだ!死んでくれ。頼む。。。死んでくれ。。。」
と膝を突いてジャンに泣きせがむソファール。
「ハッハッハ。ソファール兄さん。だがな、そう人生は甘くない。この世は先に銃を掴んだ者が勝つ。」と笑いながらフィラから銃を受け取り、銃口をソファールの頭に向け、引き金を引く__ソファールは頭を銃で抜かれ、倒れる。

ジャンは銃を服に入れ、立ち去る。その後ろには銃を握るソファールの遺体が。。。ジャンは振り向き、その遺体を引きずって片付けようとするフィラに向かい背後に声をかけた「その遺体は片付けなくていい。獣に片付けて貰え。そやつのためにそなたの労力は使いたくない。」と恐ろしい目をして言う。フィラはソファールの遺体から手を放し、頷く。二人が立ち去った後、狼と思われる獣らが遺体に近づき、鋭い歯を見せ、ソファールの遺体に齧り付く。


これは千年前の昔の話
ある弱小国家タイバルン。タルバルンでは権力党争が起こっていた。タルバルンの国王バクの元へは謀反の上奏が毎日のように100回ほど届く。それは全て朝廷の上層部による謀反の濡れ衣だ。タイバルンの党争により民は毎日苦しめられていた。とてもこの争いは醜かった。。。この争いでバクは長年の病を患う。その時代、タルバルンは混乱に陥っていた__そんな混乱の定か、謎の銃使いが全国に集結した。

その銃使いは''影紗堂''と名乗り、「党争が国を苦しめる」そのような名文で政治家を次々と銃口を向け発砲、時には銃使いは無実の人間までもを自ら独自の判断で血を吐かせた。党争に…銃使い…タルバルンは狂っていた__人々は人々を苦しめまたその人々らが世を荒らした__バクに残ったのは名ばかりの王の名と病だけ。バクにはついに死が訪れる。。。その後、太子のアヤマが即位。どちらの党にも入っていないアヤマの治世が始まり、タイバルンは暗黒時代へ突入した。。そんなある日、銃決団のジャンはアヤマにこう進言した。
「王様。この世は後に逆賊によって統治される事になるでしょう。この国の始祖はこう言いました。『首魁なる者がいずれこのタルバルンを統治するであろう』と。」
首魁とは謀反の首謀者、中心人物の事を指す。

それから17年後…

剣の擦り合う音が道練場を鳴り響く。その道練場で剣を交わらせるジャンの息子・バンダルとフィラの息子・クゥヌ。
バンダルはクゥヌの剣を弾き、クゥヌはその衝撃で剣を手放してしまい、刃先を向けるバンダル。
その師匠・ミオルはバンダルに向け、拍手を叩く。
「バンダル。全くだ。やはり好意とは変わらぬものだな。昔からお前はそうだ。きな粉をまぶした餅も、この剣術も、そして正義を貫くそなたの父が率いる''銃決団''も。」と。。。
その場にはシーンとした沈黙が流れた。。。
ミオルはその場を少しでも和やかにする為に、愛想笑いをするが…バンダルの顔はとても曇っていた。その様子を尻を地面につけながら見るクゥヌ。バンダルはその曇った顔をし、剣を捨て、どこかへと去る。
その様子に困った顔をするミオル。
杖をつき、自らの屋敷の庭園で青き昼空を見上げる白髭を生やしたジャン。その後ろには同じく白髭を生やしたフィラとミオル。
「私が…死ぬ前にこの暗黒時代を終える手立てを探すことができた…」と昼空を見つめ、二人に話すジャン。
「どう言う事ですか?兄さん…」とミオルが驚いた様子でジャンに尋ねる。
「17年前に私が王様に進言した『首魁なる者』それは…バンダルだったのだ…」とジャンが平然として答える。
服を脱ぐバンダルの背中には''首して世を救う__しかしそれは魁の気を持ってこそ成せる大業だ__''と一文字一文字小さな字で記されている。。。

彼は後に波瀾万丈な人生を送る__首魁へとなり悪徳な政治家たちを無惨に殺していく__しかしそれがタルバルンの暗黒時代を終える事に。彼のその殺生がタルバルンの未来を変えられるなら__

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.2 )
日時: 2019/10/09 21:11
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

彼は呟いた
「屍なる者私の手により…」と低い声してバンダルの前に立つ口の下に髭を付け黒く染まった笠を被った謎の
男。その男は自分の袖から短刀を取り出し、猛進して来る。その姿はまるで狼のように獣が噛み付く様な姿だった。
その男の前で戸惑っていたバンダルを目の前で発見した杖をつくジャンが現れ、ジャンが持つ杖を槍の様に投げ、その男の首を貫いた。その男は短刀を落とし、血を吐き、倒れる。その男が倒れる姿を目の当たりにしたバンダルは驚き、後ろを振り向き、ジャンの姿を発見する。
「父上。わざわざお越しになられたのですか…」と心配そうにジャンを見るバンダル。
「銃使い''影紗堂''。。。我ら''銃決団''よりも優れた狙撃力を持つ。そなたは初耳かも知れないが我ら銃決団は18年前、影紗堂を倒すためにでも生まれた様なもんだ。」


18年前…

【戦乱の定か】

黒い覆いを被った影紗堂の団員が狙撃銃を片手にスコープを覗き、ジャンの父・カラックの頭に狙いを定め、発砲するその男。カラックはその弾を受け、倒れる。その姿を目の前で見たジャンは驚き、カラックの出血する頭を止血しようと押さえる。狙撃した人物を発見したソファールは横にあった狙撃銃を手により、その男の頭に弾を当て、倒す。幼い姿のミオルと成人もしていないフィラが「父上!父上!」と泣き叫んでいる。

(その後、我らは義兄弟として誓い合い、戦乱を終結させ、兄のソファールを団長として''銃決団''を組んだ。しかし兄は武芸に優れておったが、せっかちな面があった為、先代の巷では''無能な王''と噂されたバク王を兄は廃位しようと謀反を起こした。だが兄も幸運な事にバク王は挙兵の前に息を引き取り、現王に王位継承された。その挙兵は到底私も許せなかった。故に私はソファールを殺した。この謀反は影紗堂らが考えたに違いあるまい…兄を殺したのは影紗堂も同然だ…私は父と兄を殺した影紗堂を決して許さぬ…故にそなたにこの意志を継いでほしい…)と言うジャン。そのジャンの言葉に拳を握るバンダル。
「父上。必ず私が影紗堂を捕らえます。」とバンダルが言う。

ー2月の下旬ー
影紗堂は王であるアヤマ王を殺害し、その孫であるタガラ太子を王位に据えた。影紗堂は世から認められる政治家へとなる。政治を操る影紗堂は早速銃決団を倒す事を決意する。。

青き照っていた昼空は黒く染まった雲に隠れ霰が降る。。。
その霰の中、銃器を持った一団があった。
先頭で馬を跨るのは銃の形を彫刻された甲冑を身に纏うバンダルの姿。鋭く光る刃を上に掲げてこう言い放つ。

「この冬の末、私たち銃決団は''光紗堂''へと改名し!悪なる影紗堂と戦う事を決意する!」力強く、威勢よく、ビシリと伸びた声帯で言い放った__

(私は父の意志を継ぎ、必ず…影紗堂を倒してみせる…)

プロローグ終

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.4 )
日時: 2019/10/09 21:13
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

朝廷は影紗堂派と光沙堂派に分かれ18年ぶりの党争が起こった。。。


ー2月29日ー

バンダルは話の場を持ち、光沙堂派のラソガンから貢物を受け取る。バンダルの手にあるのは縦に7cm、横3cmの鉄で出来た銀矢が2つ。バンダルはその銀矢を不思議そうに眺め、ラソガンに尋ねる。

「このように小さい矢で人を殺せるのか?」
ラソガンはバンダルの邸の庭園に出て的に向かい、矢を放つ。すると…矢は的に罅を割らせた。その威力を見てバンダルらは驚く。

「この矢には銀を使っており、矢先はとても鋭い中国大陸の''唐刃からやいば''を使っております。旦那様の知っての通り唐刃は体のどこに刺しても一瞬で死ぬほどの鋭さなのです。」

その周囲に草音がする。それに気づいたバンダルは矢を取りそこに放つ。しかし、矢を当てたのは野良猫だった。野良猫はバタリと倒れる。
ラソガンは笑いながら言う。

「旦那様。その命中力とこの矢をお持ちであれば旦那様に敵う者などおらぬでしょう。」

第3話 終

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.5 )
日時: 2019/10/09 21:16
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

影紗堂の''お頭''が小銃を手に取った。その小銃を見つめる影紗堂の重臣たち。「お頭。その小銃は…どこの小銃ですか?」「これはバルサンギガス都県の''107小銃(95式小銃)''と呼ばれる小銃だ。」「107小銃とは…あの神の使いシンバルンが…地に残したと言う…」「そうだ。この世に一つしかない最強の武器なのだ。たとえ1万の敵が襲って来たとしても、この武器さえあれば勝てるだろう。」自信げに言う''お頭''。

百七小銃…タルバルンでは神の使いであるシンバルンが世に一つしかないと伝えられていた。しかし他国では何万個も製作されている事が後々に分かる。百七小銃…そう名称したのはタルバルン、この国だけだ。他の国は95式小銃と名称した。

ー2月30日ー

バンダルは刀を手に数十人の護衛たちと歩く。「あとどれほどで着く?」とバンダルは友人のクゥヌに尋ねる。クゥヌは地図を広げて確認する。「あと約3乃(約3km)で着くだろう。」と。
バンダルは''光紗堂''の隠し宿にやって来る。その宿の中には碁を打つ二人の老爺たちがいた。……「団長がここへは何用でしょうか。」と不思議そうに尋ねる。「夜骨(よこつ、光紗堂の序列8位)、大骨(だこつ、光紗堂の序列9位)よ。今 訓練場に精鋭隊は如何程おる?」「団長、それをお知りになり、何をするおつもりですか?」
「精鋭隊を率い、宮を襲撃する。」「ついに…謀叛を起こすのですか…」「いいや、宮から禮賀図(らいがず、兵器製作の宮の秘伝)を盗む。」と力強く言う。「禮賀図…ですと…禮賀図は…厳重に兵士達に守られる''唐月倉''に…」

蜘蛛の巣や埃を被った禮賀図がその''唐月倉からつきぐら''に1枚置かれていた。その図には複雑に記された図が描かれていた。。。そこへやって来た黒の覆面を被った男。……男が着いた先は影紗堂の''お頭''の屋敷。男はその中に入っていく__「お頭。禮賀図を持って参りました。」と禮賀図を差し出す男。「これが…光紗堂の手に渡っていたら…お前も私も決して生きていられなかったであろう。」気味の悪い笑いをして禮賀図を火に当て、''お頭''は禮賀図を燃やす・・・


第4話終

次回予告__第5話「光紗堂の逮捕」

バンダル達は禮賀図を手に入れるため、1,000の兵士を率いて王宮に進撃するが…

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.6 )
日時: 2019/10/09 21:20
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

朧月の出る夜空の下、鋭く光った刃を掲げ、バンダルは「進撃せよ!」と大きな威勢いい声で言う。バンダルが率いる1,000の兵士は宮の門を抜け、刀を手に唐月倉へと向かう__幼きタガラ王の元へ''お頭''らがやって来る。「国王陛下。光紗堂の者たちが王宮に1,000の兵士を率いて進撃しております。私に軍事権をお託し下さいませ。」と膝を突き、鋭い目つきでタガラ王を睨みつける。それに怖気付いたタガラ王は体を震わせながら頷く__
進撃を続けるバンダル軍の前に甲冑を纏った''お頭''が沢山の兵を連れ、やって来て、バンダルらに刀を向ける。
「バンダル!お前をこの場で成敗してやる!」と力強い声で言い、バンダルらに攻撃しようとした時…太妃(タガラ王の継母、バンダルの叔母、ジャンの末妹)がやって来て言う。「やめなさい!宮の中で殺生を行おうとするとは。」と言う。「太妃様。何を仰いますか。身内だからと庇うと仰せなのですか?」と''お頭''が苛立った様子で言う。それに対して太妃も反論。「殿。誤解だ。身内の為に言うのではない。宮の仕来りの為に言うのだ。」と。拳を握りつつ、''お頭''は「そこまで言うなら公にして処刑しましょう。そなた達、罪人を捕縛せよ。」と言う_______
暗き牢獄の中に一人座るバンダル。そこに太妃がやって来る。「バンダルよ。無駄な事をしたな。禮賀図は既に影紗堂の奴らに燃やされた。もう影紗堂に勝つ手段はないようだ。。。」「いいえ叔母上。決して私は諦めませんぞ。」「私がそなたを逃がしてやる。故に必ず勝利するのだ。」と太妃は懐から鍵を取り出し、扉を開ける。「逃げなさい。そして勝ちなさい。」「分かりました。叔母上。」__息を荒くして走って来る''副頭''。「大変です。お頭。バンダルとその手下らが逃げました。」「何だと!」___馬を跨ぎ、刀を手に走る。副頭は逃げていく光紗堂の兵士らを次々と斬っていく。斬られていく兵士の先にはバンダルが。バンダルは''お頭''に矢先を向けられ、矢を放たれる。バンダルは背中に矢を射られながらも必死に走る__バンダルは崖まで追い詰められ、崖から落ちるバンダル。(必ず生きてお前に復讐してやる…)その志を胸に悲鳴を上げながら落ちる_____________
太妃の部屋に強引に入る''お頭''。そして無惨に刀を振り落とす''お頭''。太妃は倒れた。そして''お頭''は黒き覆面を外す。その顔には斬られた跡が残っていた__

第5話 終

次回予告__第6話「復讐の始まり」

崖から落ち、酷い傷が体にあるバンダル。しかしある崖の下にあった村の村人に救われ…

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.7 )
日時: 2019/10/15 15:57
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)


【第2章 復讐の始まり】

1年後…バンダルは崖の下にいた村人タチョルによって一命を取り留めるが、いつ死んでもおかしくない状況が1年続いた。その頃 王宮では''お頭''の妹 サミが王妃になり、''お頭''は絶大な権力を手にした。

第6話「復讐の始まり」

「王様。影紗堂の長である者を大総臣(王妃の身内。太子、王の身内(弟など)の次に王位を継承できる座)にするなど!決してあってはならぬ事です。」と上訴する学者たち。当時 国王タガラ王は15歳であった為に子は持たなかった。その為、太子が誕生しない場合は大総臣に王位が委ねられる__バンダルの眠る暗き洞窟でバンダルの看病をする老爺が杖を手に立ち上がる「この者は…復讐を決起しようとする志を持つ危険な男だ。しかもその相手は影紗堂の者とは。私が助ければ世の中は覆ってしまう__」と不安げな声と震わせた声帯で逃げるように立ち去る老爺。そんな老爺の足をそっと掴むバンダル。「お爺さん。。。待ってくれ…」掠れた声で老爺を引き止める。バンダルはとても不思議そうに老爺を見つめる。その瞳に引き止められた老爺は引き返し「何だ?記憶を失ったか?」と尋ねると「何も覚えていない。。。私が何者かに崖に突き落とされた記憶がうっすら見える。。。」と頭を掻きながら言う。「そうだろうな。腕に矢を打たれていた。そなたはお役人さんに追われる逆賊だったのか?」「何を言う!私が逆賊?」「わ た し?どう言う事だ?高貴な一人称えをするもんだ。お偉い貴族だったのか?」「そうだ。君、この光紗堂の証を何故持っていた?」と不思議そうに証を手に尋ねる老爺。「分かんないな。。。何故だろう…」

第6話 終

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.8 )
日時: 2019/10/05 21:26
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第2章 復讐の始まり】

綺麗な桃色の桜…その上には白く曇った霧に包まれた朧月の姿が…ある夜道は凍ってしまうほど冷たい風が強く吹いていた。その夜道を老爺と共に拝見がてら歩く。バンダルは老爺に黄色く光る灯りを手渡される。その灯りを手に二人はどこかへ向かっていた。その様子を偶然目にしたボロボロの服を見に纏い、片目に眼帯をしたミオルがいた。バンダルはミオルを見るが、気が付かない。
(似てる…バンダルに似てる…)とその様子を不思議に思うミオル__バンダルは老爺と共に古びた小さな宿にやって来る。そこには容姿端麗なハヤヌとタイソブァクの姿があった。「爺さん。その人は?誰ですか?」と尋ねるタイソブァク。「この者も役人に追われる光紗堂の者だ。この者、崖から落ちて記憶がない。ウォバンと名付けた。ウォバンと呼びなさい。」「どうも。ウォバンだ。」ウォバンと名付けられたバンダルはタイソブァク達に対して馴れ馴れしい態度を取る。「なんだ?この人、、、初対面だって言うのに馴れ馴れしいぞ。」手を絡めて来るウォバンに引き気味のタイソブァク。そんなウォバンを見つめるハヤヌ。「面白い人ですね。」と口を押さえて笑いながらそう言う。その言葉になんて言えばいいか戸惑い答えられないウォバン。「このウォバンもお前達と働く。歓迎してやれよ。」と老爺が言う__王宮を宦官が走り回る。宦官が走りながら鳴らす鐘の響き音と宦官の走る足跡が王宮内を響く__ダイオード(タガラ王の弟、皇太弟・こうたいてい)の宮前でダイオードの母を始めとした者達が泣き叫んでいる。「王子様。逝ってはなりませぬ。王子様。王子様!」宮の中には首に縄をかけ死んだダイオードの姿が__タイバルン唯一のタガラ王の身内の王位継承者ダイオードは国民からも信頼を寄せた王子だった。ダイオードは重度の精神病を持っていた為、この前も数十回 自殺を図った__数日後 王に宦官からこのような報告がなされる「謀叛が起こった。」と。

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.9 )
日時: 2019/10/05 21:55
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第3章 謀叛】

(>>1-8)前回までのあらすじ 父の遺志を継ぎ影紗堂への復讐の為 タルバルン代々伝わる禮賀図を宮から盗もうとするが、影紗堂に先読みされ、追われる身に…追い詰められたバンダルは崖から落ちる。崖の下にてその村人に助けられるが記憶を失ってしまう__バンダルは''ウォバン''として崖の下で育てられる事に。

笠を被った謎の男が杖をついてある屋敷に入っていく。その屋敷にはボロボロな服を着て黒髭を生やしたクゥヌの姿があった。そして謎の男は笠を取るその正体はキョットン(太妃の兄、ジャンの叔父)だった。そこにもう一人杖をつきミオルが現れる。「謀叛が起きたようだ。謀叛が…起きた。。。」__挙兵した''お頭''が馬に跨ぎ刀を掲げて言う。「我が!王位に座る人物だ!!!」と。''お頭''は黒い覆面を取る。''お頭は自らの顔に刻まれる刀の切り傷を辿る__皇宮には次々と火矢が放たれる。皇宮の上には煙が曇っていた。''お頭''の元に皇宮の中を偵察してきた''副頭''が戻って来る。「お頭。逃げたようです。」と言われ、引き返そうとした時…後ろには1万程の兵士を率いたクゥヌ、キョットン、ミオルの姿があった。「国王陛下の元へ行くならば私を殺してから行け!」とクゥヌが力強い声で言う。「光紗堂の残党か。チャンスだ。これほどの光紗堂がまだタルバルンに潜んでいたとは恐ろしくてならない。一掃せよ!」''お頭''刀を掲げ命令する。一斉に影紗堂の1万の兵士と光紗堂の1万の兵士がぶつかる…(((何者かが自らに刀を向ける。そして何者かに…崖から落とされる。その者の覆面の姿を思い出す)))悪夢から目覚めるウォバン。「なんだ…この…黒い覆面をした者は…」そこに甲冑を纏い、武装した老爺がやって来る。「ウォバン。戦って来る。そなたは待っておれ。」と急いた様子の老爺を引き止めるバンダル。「お爺さん。私も行きます。」

Re: 虹蛇ーにじへびー ( No.10 )
日時: 2019/10/08 06:31
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

↓いつか連載始めたい小説


虹蛇ーにじへびー

虹蛇__それは創造と雨を降らせる力があるとされる、神話・伝説上の巨大な蛇である。
虹蛇には北アメリカを始め、オーストラリア、アフリカなどで様々な場所での伝説がある。その中__大国アバチュジマンでは「湖を天に掲げ干ばつを回避する。湖が天に昇った際には虹のように地は輝く。」そう伝説されていた。つまり纏めてみると''天地を逆転する蛇''だ。混乱の渦巻く大国アバチュジマンを逆転した三匹の''天地を逆転する蛇''が現れた。

博暦1333年(日本の8世紀〜9世紀)

ボロボロの服を見に纏った王女ヨナンが天を見上げこう心中思う。
(何故…アバチュジマンは滅びた…何故…私の祖国は滅びた…謀叛を起こして王位に就いた父チャンガムは何故…敵国バハンドクに身を寄せようとしたのか…''天地を逆転する蛇''も亡骸へと変わり…)

60年前…博暦1273年(日本の6世紀〜7世紀)

軍事能力は最強だった大国アバチュジマン。しかし国王チチュンの統治能力はまるでなく国は混乱に渦巻かれていた。そんなアバチュジマンに敵国バハンドクの侵撃に遭いアバチュジマンは滅亡を目前にしていた。。。

上々太(アバチュジマン官位正2品)ガンジヒが怒りを露わにして酒を口にする国王チチュンに怒鳴る。「国王陛下!現在バハンドクにより侵撃を受けているというのに酒を飲むなど…随分と呑気であられますな。」チチュンはガンジヒの怒鳴り声に驚き酒瓶を落とす。チチュンは怒り気味で言った。「上々太よ。国王に怒鳴るとは何事だ!おい…そなた達 臣も見たであろう?余に…忠誠を誓うべき臣が怒鳴ったぞ?」とガンジヒを指差して笑いながら他の臣下達に尋ねるかのような口調で言った。そこに僅か10歳にも劣る太弟キチュクドがやって来る。床に落ちた酒瓶を見たキチュクドはチチュンに愛嬌のある口調で言った。「兄上。そう怒ってはなりませぬ。朝から酒を飲む兄上も悪いのですよ?」キチュクドのその愛嬌に微笑みを見せたチチュン。「そうだな。確かに太弟の言う通りだ。上々太には謝罪にしなくては。」__ガンジヒはナソグテと共に宮の廊下を歩く。ナソグテはガンジヒに心配そうな声の様子で言った。「上々太殿。むやみに国王陛下に怒鳴ってはなりませんぞ。この前の五月いつつきの時も同党派のバルドス殿が宮で国王陛下に怒鳴り散らし、処刑されたばかりですよ。上々太殿も国王陛下のお気に触れたら…」ガンジヒは首を横に振ってきっぱりと言う「国王陛下もその様な愚行はされないだろう。そうだ。バハンドクの侵撃の守備隊長はシマヌに任せよ。帥はこの侵撃で逃亡した官僚らを調べよ。」「はい。上々太殿。」__バハンドクの侵撃はとてつもなく攻撃速度は尋常ではなかった。バハンドクは7万の人力を手に攻めた。軍事に長けていたアバチュジマンだったが、バハンドクの都の推定到着日の前日にチチュン主催の狩りがあり1万を超える兵士の出兵はチチュンにより許されなかった。アバチュジマンの国民らはチチュンの愚行に許す事が出来ず反旗を覆し各地で謀叛が起こった__
1ヶ月後…博暦1273年7月 アバチュジマン側はバハンドクに和親願いを請うた。そして8月にバハンドクの朝廷で願いに可決が出た。7万の侵撃軍はバハンドクに帰国した。

博暦1273年11月 ある小さな村の人々が農具を手にして刀を始め、鳥銃を手にした数千人の村人と合流した。「あなた方が国王廃位を望む農人方ですか?」

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.11 )
日時: 2019/10/15 15:55
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第3章 謀叛】

第9話「挙兵II」

老爺と共にウォバンは刀を手に歩く。目の前には数々の''お頭''に殺された宮殿の親衛隊の遺体。「お爺さん。我らは何をすればいいのですか?」「ウォバン。光沙堂の恨みを晴らす時だ。必ず''お頭''を殺せ。」そんな二人の後ろから刀を手にしたタイソブァクの姿が。「お爺さん。私も共に戦います。」__その頃''お頭''は既に王の神殿を掌握して光沙堂と戦っていた。そこにウォバンと老爺がやって来る。「我らも戦うぞ!光沙堂の栄光の為に!」ウォバンは力強く刀を振り回し敵を倒していく。タイソブァクはそのウォバンの様子に見惚れてる。そして光沙堂は''お頭''一人へ追い詰める。クゥヌは''お頭''の覆面を手に言った。「我らは1年もの間 民がお前ら影沙堂に苦しめられるのを耐えて見てきたのだ。」そこに輿に乗ったタガラ王が現れる。「影沙堂の罪人を処刑せよ!」幼いタガラ王は声帯を震わせそう言った。クゥヌが刀を''お頭''の首に振り落とそうとした時、、、馬に跨りやって来た''副頭''がやって来て、''お頭''を馬に乗せ、走り去っていく__クゥヌは拳を握り言った「追いかけよ!」クゥヌがそう言って自らも追いかけようとした時、ウォバンの姿が目に留まる。「お、お前…バ、バンダル…何故…生きておる…」その言動にミオルも驚き、驚声を出す。ミオルもウォバンの姿に腰を抜かした。「バンダル…生きておったのか。」と泣きながら言った。「なんだ…あなた達は…私の元の名はバンダルだったと?」

第3章 終

分かりづらかった方に解説→影沙堂と光沙堂はついに戦い勝利を収めた。しかしお頭に逃亡されてしまう。そんな時、クゥヌは共に戦っていたウォバンを目の当たりにして再会を果たした。しかしウォバンは困った様子。

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.12 )
日時: 2019/10/10 21:32
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19995

新規小説ページ解説!(上記のURLから行けます。)

「朧月ー首魁者の乱」 中編突入!

次回からのあらすじ:バンダルら光沙堂は朝廷に出仕する事が決まる。しかしバンダルは記憶を取り戻してから朝廷に出仕する事をクゥヌらに伝えた。その後バンダルは老爺らと畑を耕していた。数ヶ月後の冬 バンダルはタイソブァクの師として訓練をしていた。そこに朝廷からタガラ王の成人式が行われるとの知らせを伝える宦官が。。。

第4章「朝廷の陰謀」からの登場人物

【主要人物】

ウォバン/バンダル
タイソブァクの師。武芸に優れる達人。

タイソブァク
バンダルの弟子、武芸の達人

''お頭''/チチャン
役人に追われる奴婢 影沙堂の頭

タガラ王
国王

【その他の人物】

クゥヌ
バンダルの義理の兄弟、フィラの息子


タイソブァクを追いかける謎の男

ヨチジソバク
旧道堂(先の王妃・お頭の娘の息子チファクを王位継承者に推す党派)の生き残り

チファク
旧道堂の後押しを受ける暴悪な性格の王子

第4章 お楽しみに

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.13 )
日時: 2019/10/10 21:59
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第4章 朝廷の陰謀】

朧月が夜空にあるタルバルン。その夜空の下でバンダルとクゥヌが酒を交わしていた。クゥヌはバンダルの事を抱くが、さっぱりバンダルは思い出せない様子。困った様子で理解を求めるバンダル。「私は光沙堂の長だったとか。ですが今の私には記憶がないんです。光沙堂の長に復帰するなど…私にはできない事です。」その言葉を聞きクゥヌはバンダルに尋ねた。「バンダル。それでは記憶を取り戻したら宮に出仕してくれるか?」と。「分かりました。」とバンダル。その様子を瞳に涙を溜めながら見ていたミオル。(ジャン兄上。天から見ておられますか?バンダルが生きていましたよ。バンダルが我らの目の前にいますぞ。)心中ミオルはそう思っていた。

第10話「王の成人式」

タガラ王は任命書の巻物を広げ読み上げる。「春坡(バンバ、はるは タルバルン官位正一品)にクゥヌ。古小智(ヤバヤ、ここち タルバルン官位 正三品)にミオル。副古小智(パヤバヤ、、ふくここち 官位 正四品)にキョットン。贈品(戦時第1功労者 官位を持たない職務)をバンダルに。」と任命して巻物を閉じる。王子チファクはこの任命に拳を握る__バンダルは老爺とタイソブァクと共に畑を耕す。その後ろでは横に寝そべり寝ていたハヤヌの姿が。ハヤヌの姿を見て笑うバンダルはハヤヌに対して言った。「飯を食いたきゃ早く耕せ。」バンダルの言葉に立ち上がって耕し始めるハヤヌ。「バンダルさん。私は一応女だからね?女なのに畑仕事なんてさせるの?」バンダルはそのハヤヌの可愛げのある愛嬌に折れた。「仕方ない。可愛いから私が代わりに耕してやる。」

数ヶ月後…雪の降る冬の真っ只中 雪を頭に被りながらもバンダルとタイソブァクが刀を手に稽古をしている。バンダルはタイソブァクの近くに寄り姿勢を整えてあげる。「ソブァクよ。背筋は板の様に真っ直ぐ。刀は相手の腰を狙う様に頭や首を狙い過ぎると不意を突かれる習性がある故 そこに注意せよ。」とビシリとした教育をするバンダル。その教育にどうも満足気味の様で笑顔なタイソブァク。「はい。師匠。師匠みたいに強くなれるなら何だってやります。」__そこに筒に入った手紙を手に宦官がバンダルの老爺らの家にやって来る。「贈品様であられますか?王様から成人式の招待状を承りました。必ず27日の夜更けに王宮の前にいらっしゃって下さい。」家から老爺とハヤヌが出て来る。「何だ?宮から使いか?」と不思議そうにバンダルに老爺が尋ねる。「その様です。明日の夜更けに宮へ来いと。」バンダルは困った顔をしてその手紙を読む。

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.14 )
日時: 2019/10/15 15:54
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)


【第4章 朝廷の陰謀】

正装をして宮へ向かう黒髭を生やしたバンダル。宮には酒を飲むクゥヌの姿とその他の臣下の姿があった。バンダルはタガラ王の面に顔を向けて言った。「国王陛下。私は陛下の成人を大変快く思い陛下に忠誠を尽くす所存でございます。」タガラ王はその言葉に驚く。「贈品よ。朝廷に遂に出仕するのか?」と嬉しそうな様子でバンダルに問いかける。「はい。陛下。私は記憶を全て取り戻した所存です。陛下に贈品として忠誠を誓います!」バンダルは膝を突きタガラ王に頭を下げる。その様子に怒りを覚えるクゥヌ。(バンダルよ…何故戻ってきたのだ…お前は朝廷に入る資格などはない…)拳を握り心中そう思うクゥヌ。

第11話「記憶の彼方」

夜空の下 冬風の音が響く宮の庭園で茶を飲むタガラ王とバンダル。茶を飲み一息つき、タガラ王はバンダルに言った。「隊月長(従一品の官位品)よ。私はそなたが禮賀図を手にいれる為に宮に1,000の大軍を連れて攻め入った事を。その時 私は影沙堂の頭の睨み顔に怯えてそなたへの逮捕令を下した。今も後悔している。何故 正確な判断を我は出来なかったのだろうか。我の親族ら前王を無惨に殺したあの者を倒そうとする光沙堂のお前達に手を伸ばす事が出来なかったのだ…何故あの者に圧迫されてそなたを追い込んだのか。全ては私のせいだ。全ては我のせいだった。」涙を瞳に溜めてバンダルを見つめるタガラ王。そのタガラ王の姿に悲しみを覚えるバンダル。「陛下。陛下が居てこそ今があります。民が影沙堂から守られた今があるのです。陛下は私の事の心配はせず民の心配をなさって下さい。陛下が居なくては。今のような平和は訪れませぬ。」タガラ王はバンダルの言葉に涙を拭き笑みを浮かべた__三日月が夜空に出るタルバルン。その三日月の下を酒に酔ったチファクが歩いてる。反対側からは傘を被ったヨチジソバクの姿。チファクはヨチジソバクの姿に気づく。チファクはすれ違おうとしたヨチジソバクの腕を握り引き止めた。「待て。お前…旧道堂の者ではないか?」チファクはヨチジソバクの顔を見ながらう尋ねた。ヨチジソバクは袖から刀を取り出しチファクの首に向ける。「何者だ?何故私の事を知っている?」ヨチジソバクは力強く刀を握りチファクの首に刀を刺そうとした時…「待て…私は現王の従兄弟チファク王子だ…」その言葉にヨチジソバクはチファクから刀を引く。「あなたが…チファク王子ですか…私は旧道堂のヨチジソバクと申します。」__

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.15 )
日時: 2019/10/15 20:51
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)


【第4章 朝廷の陰謀】

バンダルは眠りから目覚ると太陽が照る昼空が目に入った。蘇る記憶の中には夜を飲み明かした自ら姿。バンダルは目眩がしてふらつく自らの体を抑えながらも立ち上がる。その様子を見ていた輿に腰掛けていたクゥヌ。
クゥヌの瞳にはバンダルを睨むような様子が描かれていた__

第12話「敵対」

朝見の為 朝廷に参内した衣を整え、急いた様子でやって来たバンダル。バンダルの隣には下級武官として参内したタイソブァクの姿。タイソブァクも共に衣を整えてる。バンダルは息を荒くして見宮内の扉を開ける。「陛下!遅くなりました。申し訳ございません。」バンダルが席に着くとソブァクは急いで武道園(武官らの訓練場)へ向かう。ソブァクが向かい見宮の扉が閉まるとタガラ王は机を強く叩いた。「隊月長。聞いたぞ。夜を飲み明かして遅刻したと。誠か。」タガラ王は怒り気にバンダルにそう尋ねた。「陛下。申し訳ございません。」タガラ王の怒りに少々怯えながらもそう答えた。クゥヌはタガラ王に向かって強い口調でこう言った。「陛下への朝見の際に遅刻するとは''反逆''の意思を持ったとしか考えられません。隊月長を反逆罪に問い、厳罰に処して下さい。陛下。」その後を続きミオルを除いた臣下たち全員が口を揃えてそう言った。クゥヌのその言葉に驚きを隠せないバンダル。ミオルも共に驚いた。「隊月長。今回は初の参内故に見逃すが…次に今回のような事があったら違ったとしてもこのような事が疑われる事があるかもしれぬ。気をつけよ。」タガラ王は そう優しくバンダルに言った。 クゥヌはバンダルをきつい目で睨みつけた__宮の廊下で親談するクゥヌらの目の前にミオルが現れる。ミオルは力強くクゥヌの頬を叩きこう言った。「クゥヌよ!あのような事を言うとは!バンダルの事を反逆罪で殺すつもりか!」その態度にミオルはクゥヌに突き飛ばされる。「なんだと!正三品ごときが私に怒鳴ると言うのか!お前の今日の態度を陛下に報告してやる。」クゥヌの様子にミオルは拳を握る__隊月長の館に戻るバンダルの前に刀を手にした覆面をしたチファクが現れる。チファクに刀を向けられるバンダル。バンダルはその刀を目にして尋ねた「何者だ?一体…何者だ?」チファクはバンダルに刃先を向ける__

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.16 )
日時: 2019/10/17 20:47
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第4章 朝廷の陰謀】

チファクに刃先を向けられるバンダル。バンダルはその先の鋭い刃を握ってチファクを突き飛ばした。バンダルは衣から短刀を取り出しチファクと刀を交える。チファクはバンダルに押され気味。力強くバンダルの短刀を振るうバンダルにチファクは刀を落としそうになる。そんなバンダルの様子を見かけたミオルが手に持っていた杖を槍のようにチファクに向かって投げた。その勢いよく飛んでくる杖をいち早く見つけ避けるチファク。危険を察したチファクは近くの馬小屋から馬を奪い跨いで走り去っていった__ミオルと酒を交わすバンダル。ミオルは不安そうな様子で言った。「バンダルよ。光沙堂含める朝廷はお前の事を一向に認めようとしない。どうするつもりだ?此度は陛下が庇ってくれたがクゥヌらは再び反逆罪の濡れ衣を被せてきたりするだろう。」そのミオルの言葉を聞き、頭を抱えて考える。「叔父上。クゥヌと和解する方法はないでしょうか。私もクゥヌとは決して戦いたくありません。」「多分 クゥヌとの和解は無理であろう。戦え。そして勝つのだ。」その会話を隣の席で聞く笠を被った影紗堂の頭__頭はボロボロの服を見に纏って屋敷に着く。そこに待っていたのは副頭とチファク。そしてヨチジソバク達。チファクは口を閉ざし頭に向かって膝を突き拳を握りながら口を開けた。「お義父様。申し訳ございません。ジャンの息子バンダルの始末に失敗しました。」その様子を見た''お頭''は覆面を取った。「影紗堂が朝廷に復活する方法が今日やっと思いついた。」「それは何ですか。お頭。」「ジャンの息子バンダルを影紗堂に入れる。」__

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.17 )
日時: 2019/10/20 13:37
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第4章 朝廷の陰謀】

チファクがバンダルの目の前に現れる。チファクはバンダルに向かって手招きする__バンダルはチファクに連れられ''お頭''の屋敷にやって来た。「久方ぶりだ。バンダル。」お頭の様子に驚きを隠せないバンダル。「何故お前がいる…」バンダルは驚きつつも''お頭''にそう尋ねた。「私は影紗堂にお前を入れる。お前を裏切った光沙堂に復讐はしたくないか?影紗堂にお前が入れば必ず復讐を遂げられる。」「私が影紗堂の手を借りてまで光沙堂に復讐する気はない。」「我ら影紗堂と手を組んだら禮賀図をやろう。どうだ?好条件ではないか?復讐を遂げると共に無敵を手に入れる。やってみぬか?」バンダルは苦悩の末''お頭''にこう言った。「分かった。1年だ。1年だけ私が契約しよう。」「いいだろう。1年のうちに光沙堂を潰してやる。」そう言い''お頭''は禮賀図をバンダルの手に握らせる__太陽が宮を照らす朝。「陛下。私自らが選抜したチチャンという臣下を朝廷に出仕させる事をお許し下さいませ。」そこに覆面を取った''お頭''ことチチャンが入ってくる。チチャンの様子に驚くクゥヌやタガラ王。「陛下。初にお目にかかります。チチャンと申します。」__朝会が終わり バンダルの元へクゥヌがやって来る。「バンダル。何のつもりだ?何故影沙堂を宮に出仕させた?何故…再び国は混乱に陥るぞ。」「何のことですか?私は有能な人材を陛下に出仕させる事を願っただけです。元々クゥヌ様らのせいで国が混乱に陥っているのに…私はその混乱に陥ったタルバルンを救おうとしているだけです。」「何だと?祖父を殺した影沙堂を…恐れぬのか?ジャン叔父上と祖父上を。祖父上と叔父上は影沙堂に殺されたというのに。。。」


Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.18 )
日時: 2019/10/26 23:02
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

久しぶりの投稿です

【第5章 敗北した光沙堂】

11ヶ月後…チチャンとバンダルは朝廷での活躍が目立ち始めた。その活躍により光沙堂らの力は衰える様になっていった。そんな中 バンダルとチチャンの契約は残り半月を切った。

チチャンとバンダルは酒を交わす仲になっていた。バンダルはチチャンに酒を注ぐ。「隊月長。何故そなたの祖父と父を殺したも同然の男を受け入れてくれたのだ。」と酒を口にしながらチチャンはバンダルに尋ねた。「決してお前の為に受け入れた訳ではない。私の為に。自らの為に受け入れたのだ。私の父が代々受け継いで来た光沙堂をその父の臣下が奪い取った事に私が腹を立て受け入れた。それだけだ。それに決してお前が私の父や祖父を殺した事は1日も忘れた事はない。」そうバンダルは心中怒りが込み上げる中冷静にそうチチャンに答えた。そしてチチャンは口に付けていた杯を机に強く置いて言った。「隊月長。私は明日 これまで鍛え上げた影沙堂の堂員5万を連れ王宮に攻める。隊月長も来るなら来い。」そう言って立ち去っていた。

(彼は_私の父と祖父を殺したチチャンと言う者。極悪非道だ。1000年以上続く影沙堂の歴史を継ぐ元々は銃使いだった男。現在は銃使いの歴史を絶ち国の為に政治を行う。しかし彼の本当の野望は私さえも見抜けぬ。彼は__一体何を企んでいる。)

半月後…影沙堂の5万の堂員を連れて王宮に攻めた。国王タガラはチチャンに自決を強いられた。その頃 クゥヌらは臣下らと共に酒に浸っていた。

朧月の出た夜空の下 クゥヌの大きな屋敷に約1,000の兵士らが入ってきた。その先頭にはバンダル。バンダルは先頭で刀を掲げこう言った。「国の秩序を乱した逆賊クゥヌを我の前に連れて参れ!」クゥヌは外に集まった兵士の様子に気づき臣下らを捨てて刀を手に持って逃げていった。キョットンはバンダルを見て怒鳴った。「バンダルよ。謎こうなってしまったのだ!何故!そなたの父は遺言に何て申したか覚えておらぬか!''我の父を殺した影沙堂の頭を殺せ''と仰ったではないか!」バンダルは屋敷の見張りと守備らを殺した刀をキョットンに振り落とした。その血は顔に降りかかった__その頃 刀を手にバンダルらから逃げるクゥヌの前に約1万の兵士を連れて馬に跨ったチチャンが現れる。「春坡。流石だ。自らの為ならば臣下さえも置いてくると。醜い性格だ。」クゥヌはチチャンの様子に怯えて震えながらも刀を抜き、チチャンに襲いかかる。そんなクゥヌを兵士達が囲う。兵士らがクゥヌを囲う。するとチチャンは急いで馬に乗り後ろに後退した。その瞬間__兵士らは一斉にクゥヌに刀を刺した。クゥヌは刀を落とし血を吐き倒れた。それを見たチチャンは大声で笑った。チチャンは馬でクゥヌの遺体を踏み 馬に乗って走り去っていった。その後を走る兵士らもクゥヌの遺体を踏み走り去って行った。そんなチチャンと兵士らの前にキョットンを殺してきたバンダルが現れた。チチャンは馬から降りてバンダルと握手を交わした。「隊月長。今までありがとう。隊月長は私の事をいずれ殺す事になるだろうが決して後悔はしていない。」「遠慮なく復讐させてもらう。」チチャンの微笑んだ表情に対してバンダルは笑みなど見せず去って行った。

そして10日後 チチャンは国王になる予定だったバノク太子を殺害し自らの即位宣言を発表。チチャンは国王として即位した。バンダルはその事を知りつつも口出しは決してしなかった。

バンダルはクゥヌの墓前にやって来た。「クゥヌよ。お前が死なねば私は国王になどなれぬ__」墓前でそう言ったバンダルの目は鋭く冷徹な目だった__

ー終ー

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.19 )
日時: 2019/11/07 08:03
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)


【第6章 国王の夢】

>>16-18 ((前回までのあらすじ))…幼馴染であったクゥヌに裏切られたバンダルは一生の敵チチャンと一年間の契約をして手を組む。そして1年後…チチャンとバンダルはクゥヌやタガラ王を殺すクーデターを起こした。その後バンダルはチチャンと手を切る。チチャンは1人自ら王位に昇る。

極寒の初冬…タルバルンの作物は凍り食物などは途絶えていった。その作物の問題については一切問題視する事もなく民は飢えを凌ぐ為 露国(ロシア国)や飛鳥(日本)。唐国(中国)に逃げた。チチャンはその間光沙堂の残党の粛清を行いながら貴族らに納められる肉や野菜を頬張った。朝会中…肉を頬張るチチャンの様子を見る''副頭''はその様子を止めようにもチチャンに殺される事を恐れて止める事が出来ない。会場中はチチャンの機嫌を伺い沈黙が続く。チチャンは肉を食べる手を止めて笑い出してこう言った。「そこまで余の事を恐れておるのか?余がそなたらを光沙堂の残党の様に殺さないかと?安心せよ。余も人間だ。今日は上奏を届ける日だ。上奏はどこにある?」そう言った時…バンダルは会場に力強く扉を上げて入ってきた。「国王陛下!人間ならば上奏が山程届くこの問題にも目を向けて下さい。」山になる''作物凍結問題''の上奏をチチャンの目の前に置いた。「この上奏を国王陛下はお捨てになろうとしたとか。民の半分は外国への逃亡を図ろうとしておりますぞ。このままではいつしか百済や新羅、高句麗(当時一の弱国と言われた朝鮮半島の3国)にも負けるやもしれませんぞ。」チチャンは腹を立て肉を置いた膳をひっくり返した。そして冷静になりそう尋ねた。「隊月長が何故宮殿に来た?宮殿への出禁を命じたはずだ。出て行きなさい。」そう言い会場から出て行った。その姿に呆れたバンダル。そんなバンダルの元へ''副頭''らが寄ってくる。「隊月長殿。私ら大臣を部下に入れてくれぬか?命令してくれたら何でもする。今の国王のもとに仕えるのは懲り懲りだ。」バンダルに''副頭''らはそう乞うた。

Re: 朧月ー首魁者の乱ー【後編突入】 ( No.20 )
日時: 2019/11/02 01:17
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

街に張り出されるチチャンへの檄文。その内容には''智荘チチャン大王廃位''を連想させるかのようなものだった。その檄文を取り締まる為役人らはその檄文の周りに集まった。

【第7章 新国王即位】

バンダルは街の檄文を役人から受け取り読んだ。その檄文を読んだバンダルは笑い出した。「天なる民心はやはり違うな。流石だ。明日影沙堂と王宮の兵を買収して〈革命〉を起こすぞ。」副頭は頷きバンダルに頭を下げ立ち去っていった。副頭の心中こう考えた。(これは生きる為だ。生きる為に〈革命〉を起こすのだ。)と。

飛鳥国から使臣団がやって来た。使臣団の手には巻物が。その巻物を手にして中身を読むチチャン。「これは何だ?」とチチャンは使臣団に尋ねると蘇我濱宮(そがのはまいえ)はこう答えた。『天皇陛下が国王陛下直々に直筆した巻物であります。』通訳がその巻物を読んだ。その中身には''智荘大王陛下。我が国の民の1割を它国(タルバルン国の名称/たこく)の住民が占めている。そちらの政情や暮らしは知らぬが何らかの改善を我ら倭国飛鳥国は求める。''との巻物にチチャンは怒りを。腹を立たせたチチャンは蘇我濱宮に刀を向けこう言った。「蘇我濱宮!下国(自国より身分が小さい国)が上国(その国より身分が大きい国)に対してその物言いは何だ!」とチチャンが言ったのに対して蘇我濱宮はこう言った。『上国下国制度(国同士の身分を決める制度)は飛鳥と它国では定めておりません。』と言った蘇我濱宮にチチャンが刀を振り落とそうとした時…バンダルと副頭率いる影沙堂がその部屋に入ってくる。チチャンは蘇我濱宮を突き飛ばしバンダルに刀を向けた。

「国王陛下に退位願いをお届け致します。」バンダルのその言葉に腹を立てたチチャン。民たちがチチャン向けに書いた退位願いをバンダルがチチャンに見せた。しかしそれにも屈せず立ち去ろうとしたチチャンの腕をバンダルは掴んだ。「チチャン。もう王位からは離れろ。お前には合わぬ。この席にはお前は合わぬのだ。お前が王位に就いてからタルバルンは滅亡の危機を迎えている。』と言いバンダルはチチャンの足を刀で斬りバンダルは「連行せよ!」その瞬間__銃を手に取ったチチャンが立ち去るバンダルの姿に向けて発砲した。するとバンダルは副頭の体に守られて助かるが副頭は倒れた。その姿は副頭が故意に守った姿だった。バンダルは副頭のその姿に涙した。チチャンは銃を落として膝を突き副頭を抱いた。「おい。副頭。目を覚ませ。おい!目を覚ませ!何故…目を覚まさないのだ!私の銃弾などで死ぬ男ではない!」狂ったかの様子でチチャンは副頭を抱いた。チチャンの瞳には涙が溜まった。その姿を兵士たちが連行しようとするがバンダルは首を振った。バンダルのその姿に不安を隠せないタイソブァク。

そして1月の初旬へ入った。1月に入りながらも極寒は続いた。バンダルはチチャンを流刑(島流し)に処し自ら王位に就いた。バンダルは判高バンダル大王として国王の座に君臨。凍りついた野菜の代用として国庫から米を取り出して民に配布。野菜を耕す為にビニールハウスの様なものを王宮に作り野菜をそこで栽培。かわりに軍役制度が設けられた。また、飛鳥国や唐国との貿易の為に海を改善。敵軍が攻めて来たときの為に水軍訓練も執り行った。更に科挙制度も取り入れた。

1月の中旬 バンダルの善政に民は安心していたが以前チチャンが使臣団の蘇我氏に暴力を振るった件で飛鳥国は怒りを示した。1万の兵を率いて飛鳥国の天皇が自ら出兵した。

ー1月の中旬ー

親衛隊長になったタイソブァクは悩んでいた。(師匠は変わった。自らの望みの為なら何だってしてしまう__そんな人になった。これから師匠はどうなるのだろうか。)

そこにハヤヌの弟である親衛副隊長がやって来て言った。「親衛隊長。姉さんが。出産を果たした。」

Re: 朧月ー首魁者の乱ー【後編突入】 ( No.21 )
日時: 2019/11/07 08:04
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

「朧月」ついにクライマックス突入!それと共にタルバルンでは真冬に突入していた。

【第8章 葛藤】

新国王として善政を施し国庫を満たしたバンダル新国王。そんなバンダル新国王率いるタルバルンに戦乱の危機が襲いかかっていた。

「国王陛下。決して飛鳥国がタルバルンに攻め入ってくることはございません。奸臣の言葉には耳を貸さず我ら忠臣らの言葉に耳をお貸し下さい。」と乱成派の長トコム。それに対して強い口調で乱反派のワガはこう言った。「飛鳥は必ずタルバルンに攻めてくることでしょう。私が飛鳥へ使節に行った際には武装した兵士らが武器を整えてるのを確と確認しました。」と。
二つの党派の争いはタルバルン滅亡の時まで絶えることはなかった。その頃飛鳥国では全権を握る蘇我蝦夷によってタルバルン討伐の準備が着々と進められていた。

ー飛鳥ー

「天皇陛下。タルバルンへ今こそ攻め入る時です。天皇陛下。出兵の命をお下し下さい。」と蝦夷が。甲冑を被り握り締める姿を見た皇子。皇子は蝦夷を睨みつけた。

そしてその年の2月の初旬 飛鳥国はタルバルンへ出兵した。タルバルンの朝廷では今も進撃されている今も戦乱について揉めていた。それはバンダル国王を出兵させるか出兵させないか。そのような議題。その議題はタルバルン滅亡まで決まることはなかった。その時、親衛隊長タイソブァクはバンダル国王への不満を募らせた。

「師匠。どうしたのです。何故…王位にいつまでも座っているのです!師匠は私の師匠だ。決して国民の父などではない。決して違う。王位をお捨て下さい。そして私と一緒に逃げましょう。」と涙を一目に溜めてタイソブァクは言ったがその場を後にしたバンダルの姿にタイソブァクは拳を握った。

妻ハヤヌとの子を抱いてタイソブァクは心中こう悟った。(師匠は変わった。奸臣らの意思に揺らされる無能な王だ。無能な王が王位に就くこの国に住むことがとても虚しい。)

酒を飲みながらタイソブァクは部下たちにこう言った。「革命を起こすぞ。」

2人の関係は師弟関係から敵対関係へ…次回タイソブァクは反乱を起こす__

〈革命〉は成功するのか__

Re: 朧月ー首魁者の乱ー【クライマックス】 ( No.22 )
日時: 2019/11/07 08:02
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第8章 葛藤】

革命を起こしたタイソブァクの手は震えが止まらない様子。その震えを抑えようと刀を抜き強く握り締めた。『王宮にある敵を殺すのだ!』タイソブァクはそう言い刀を掲げた。タイソブァクが率いる兵士らの士気はかなり高まっていた。

その頃国王バンダルは記憶を蘇らせた。その記憶の中に涙を目に溜めたタイソブァクが過去のバンダルにこう言った。『師匠。どうしたのです。何故…王位にいつまでも座っているのです!師匠は私の師匠だ決して国民の父などではない。決して違う!王位をお捨てください。そして私と一緒に逃げましょう。』とタイソブァクの涙を見たにも関わらずバンダルはその場を立ち去った。タイソブァクは自分自身にこう言い聞かせた。(あれは私の師匠ではない。奸臣らの意思に揺らされる無能な王だ)そう言い聞かせタイソブァクは立ち上がった。

その出来事を思い出したバンダルは涙した。そして悟った。『自らは無能な王だ』と。バンダルが座る宮に1,000の軍を率いたタイソブァクがやって来た。それに気づいたバンダルは刀を手に一人で自ら宮の前に足を運んだ。タイソブァクは刀をバンダルの首に向けた。『国王陛下。御退位ください。国王陛下のお役目は既に終わっています。』と。バンダルは刀を抜き、自らの首に向く刀を退け、刀を抜くバンダル。そしてバンダルに刀を刺すタイソブァクだが、その刀を弾かれ逆に刺されそうになる。その瞬間タイソブァクは上に飛びバンダルに刺そうとした時…バンダルはそんなタイソブァクを見て故意に刀を落とした。タイソブァクが刺した刀は見事腹に。バンダルは膝を突き血を吐く。そこに王宮側の兵士たちがやって来てタイソブァクに向かって矢を放った。矢はタイソブァクの胸に刺さった。それを見たバンダルは倒れそうたなり意識を朦朧とさせながら『駄目だ。やめろ。矢を放つでない。』兵士らを必死に止めた。兵士らはタイソブァクらの兵士に襲おうとした時、タイソブァクは言った。『降参しろ。やめよ。ならぬ。王宮の兵士を殺してはならぬ。お前らは生きて帰れ。生きて帰るのだ。』バンダルも倒れそうになりながら言う。『そうだ。降参すれば再び家族と会えるぞ。』そう言いバンダルは兵士らの争いを止め、王宮側の兵士に耳打ちした。『主治医を呼べ。私より先にソブァクを助けろ。』と言ってバンダルは倒れた。その隣でタイソブァクも共に倒れた 夜空には朧月が。それも華麗な朧月。__しかし先に主治医らは王命に逆らいバンダルを先に治療した。その結果タイソブァクは手遅れにより息を引き取った。数日後バンダルは意識を取り戻し回復したのだった__

タイソブァクが葬られた墓前にバンダルがやってきた。涙を墓前で流したその夜にも朧月が出ていた。華麗な朧月であった。__この革命(反乱)は約3ヶ月に渡って行われた。その頃4ヶ月もの間 飛鳥国が海を渡って出兵していた。6月12日 飛鳥国の兵を率いた蘇我氏は同行していた飛鳥国の王子に殺害され、飛鳥の大軍は再び海を渡り帰っていった。


18年後…判高バンダル国王即位年一八年 蘇我氏を斬った王子が即位した。その後王子は他国の高句麗や百済新羅と戦争を起こし敗北。飛鳥国は国庫を失いかけていた。その時、飛鳥国が目につけたのな飛鳥国の国庫を充分に満たせるタルバルンだった。タルバルンの国庫は溢れそうたくらいだった。




Re: 朧月ー首魁者の乱ー【完】 ( No.23 )
日時: 2019/11/07 08:46
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【最終章 朧月の下で】

バンダルは宮の庭園で白髭を伸ばして茶を飲んでいた。庭園の周囲には満面の薔薇があった。その隣には親衛隊長としせハヤヌの息子コガンがいた。そんなコガンに話しかけた。『まだ余を恨んでおるのか?』とのバンダルの質問にコガンは戸惑った様子でこう返した。『決してそのような事はございません。何故国王陛下をお恨みするなど…』『私はとても後悔しておる。何故自らの野心を抑えられなかったのか…国王に何故なったのか。国王にならなければ笑ってそなたの父と余は幸せに暮らせたやもしれぬ。』と言った次の瞬間バンダルは血を吐き座っていた椅子から転げ落ちた。バンダルは胸を必死に叩いていると気を失ってしまう__するとそこにバンダルの親衛隊長タソクが現れた。『大変です。飛鳥国がタルバルンに攻め入っております。』

船に乗り海を渡る戦艦。その戦艦の先頭には飛鳥国天皇の姿。天皇ら乗る戦艦の前にタソクが乗る戦艦がやって来た。天皇は慌ててこう言う『向かい撃て!』と。天皇らの戦艦は大砲をタルバルン国側戦艦に放った。するとタソクは縄を飛鳥側戦艦に結びつけ、引き寄せた。飛鳥側の戦艦は脆かったためタルバルン側戦艦の頑丈さによって崩れかれた。次の瞬間飛鳥側戦艦は縄を斬り、爆弾をタルバルン国側戦艦に投げ入れた。爆弾は瞬時に爆発してタルバルン側戦艦は沈んでいった。タルバルン側戦艦は全滅した。タルバルンは飛鳥から南に攻め入られ占領された。その後西と東も共に占領されついにタルバルンの北に位置する王宮が残った。東に寄せていた国庫も占領された為タルバルンは兵糧を全て失った。

宮から逃げるタルバルンの官吏たち。宮には誰一人居なくなり残されたのは今にも息絶えそうなバンダルとその看病するコガンだけ。コガンはバンダルの汗を拭いていた。するとバンダルは手を落とした。バンダルの鼻からは息が感じれなかった。

バンダルは約60年の生涯をこの日幕を閉じた。バンダルの死と共にタルバルンも滅亡し、その後飛鳥国と合併した。倭国と它国が合併する時は663年白村江の戦いの際だとされる。バンダルも663年に生涯に終止符を置いたのであろう。彼は''判高天皇''として朝鮮半島にある『三国史記』に''倭国の国王''と記されている。彼についてはほぼ記述がない。この物語はフィクションである。そこは了承してほしい。

バンダルは輝く光の方へ進んでいた。バンダルの目の前に手を伸ばすタイソブァクやクゥヌ、チチャンがいた。『これが人生か。人生とは苦しいものでもあるが美しく華麗な二文字。』夜空に華麗な朧月が見えた。それに照らされバンダルは進んだ。『桜の上に君臨する朧月__朧月がある夜は桜が散る__散り去る桜の花びら__その花びらは華麗だった。』
バンダルは歩みを止めた。足元に華麗な一枚の桜の花びらが。『一枚の花が全て変える事だってある。』