複雑・ファジー小説

Re: 朧月ー首魁者の乱ー ( No.13 )
日時: 2019/10/10 21:59
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)



【第4章 朝廷の陰謀】

朧月が夜空にあるタルバルン。その夜空の下でバンダルとクゥヌが酒を交わしていた。クゥヌはバンダルの事を抱くが、さっぱりバンダルは思い出せない様子。困った様子で理解を求めるバンダル。「私は光沙堂の長だったとか。ですが今の私には記憶がないんです。光沙堂の長に復帰するなど…私にはできない事です。」その言葉を聞きクゥヌはバンダルに尋ねた。「バンダル。それでは記憶を取り戻したら宮に出仕してくれるか?」と。「分かりました。」とバンダル。その様子を瞳に涙を溜めながら見ていたミオル。(ジャン兄上。天から見ておられますか?バンダルが生きていましたよ。バンダルが我らの目の前にいますぞ。)心中ミオルはそう思っていた。

第10話「王の成人式」

タガラ王は任命書の巻物を広げ読み上げる。「春坡(バンバ、はるは タルバルン官位正一品)にクゥヌ。古小智(ヤバヤ、ここち タルバルン官位 正三品)にミオル。副古小智(パヤバヤ、、ふくここち 官位 正四品)にキョットン。贈品(戦時第1功労者 官位を持たない職務)をバンダルに。」と任命して巻物を閉じる。王子チファクはこの任命に拳を握る__バンダルは老爺とタイソブァクと共に畑を耕す。その後ろでは横に寝そべり寝ていたハヤヌの姿が。ハヤヌの姿を見て笑うバンダルはハヤヌに対して言った。「飯を食いたきゃ早く耕せ。」バンダルの言葉に立ち上がって耕し始めるハヤヌ。「バンダルさん。私は一応女だからね?女なのに畑仕事なんてさせるの?」バンダルはそのハヤヌの可愛げのある愛嬌に折れた。「仕方ない。可愛いから私が代わりに耕してやる。」

数ヶ月後…雪の降る冬の真っ只中 雪を頭に被りながらもバンダルとタイソブァクが刀を手に稽古をしている。バンダルはタイソブァクの近くに寄り姿勢を整えてあげる。「ソブァクよ。背筋は板の様に真っ直ぐ。刀は相手の腰を狙う様に頭や首を狙い過ぎると不意を突かれる習性がある故 そこに注意せよ。」とビシリとした教育をするバンダル。その教育にどうも満足気味の様で笑顔なタイソブァク。「はい。師匠。師匠みたいに強くなれるなら何だってやります。」__そこに筒に入った手紙を手に宦官がバンダルの老爺らの家にやって来る。「贈品様であられますか?王様から成人式の招待状を承りました。必ず27日の夜更けに王宮の前にいらっしゃって下さい。」家から老爺とハヤヌが出て来る。「何だ?宮から使いか?」と不思議そうにバンダルに老爺が尋ねる。「その様です。明日の夜更けに宮へ来いと。」バンダルは困った顔をしてその手紙を読む。