複雑・ファジー小説

Re: 朧月ー首魁者の乱ー【後編突入】 ( No.20 )
日時: 2019/11/02 01:17
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

街に張り出されるチチャンへの檄文。その内容には''智荘チチャン大王廃位''を連想させるかのようなものだった。その檄文を取り締まる為役人らはその檄文の周りに集まった。

【第7章 新国王即位】

バンダルは街の檄文を役人から受け取り読んだ。その檄文を読んだバンダルは笑い出した。「天なる民心はやはり違うな。流石だ。明日影沙堂と王宮の兵を買収して〈革命〉を起こすぞ。」副頭は頷きバンダルに頭を下げ立ち去っていった。副頭の心中こう考えた。(これは生きる為だ。生きる為に〈革命〉を起こすのだ。)と。

飛鳥国から使臣団がやって来た。使臣団の手には巻物が。その巻物を手にして中身を読むチチャン。「これは何だ?」とチチャンは使臣団に尋ねると蘇我濱宮(そがのはまいえ)はこう答えた。『天皇陛下が国王陛下直々に直筆した巻物であります。』通訳がその巻物を読んだ。その中身には''智荘大王陛下。我が国の民の1割を它国(タルバルン国の名称/たこく)の住民が占めている。そちらの政情や暮らしは知らぬが何らかの改善を我ら倭国飛鳥国は求める。''との巻物にチチャンは怒りを。腹を立たせたチチャンは蘇我濱宮に刀を向けこう言った。「蘇我濱宮!下国(自国より身分が小さい国)が上国(その国より身分が大きい国)に対してその物言いは何だ!」とチチャンが言ったのに対して蘇我濱宮はこう言った。『上国下国制度(国同士の身分を決める制度)は飛鳥と它国では定めておりません。』と言った蘇我濱宮にチチャンが刀を振り落とそうとした時…バンダルと副頭率いる影沙堂がその部屋に入ってくる。チチャンは蘇我濱宮を突き飛ばしバンダルに刀を向けた。

「国王陛下に退位願いをお届け致します。」バンダルのその言葉に腹を立てたチチャン。民たちがチチャン向けに書いた退位願いをバンダルがチチャンに見せた。しかしそれにも屈せず立ち去ろうとしたチチャンの腕をバンダルは掴んだ。「チチャン。もう王位からは離れろ。お前には合わぬ。この席にはお前は合わぬのだ。お前が王位に就いてからタルバルンは滅亡の危機を迎えている。』と言いバンダルはチチャンの足を刀で斬りバンダルは「連行せよ!」その瞬間__銃を手に取ったチチャンが立ち去るバンダルの姿に向けて発砲した。するとバンダルは副頭の体に守られて助かるが副頭は倒れた。その姿は副頭が故意に守った姿だった。バンダルは副頭のその姿に涙した。チチャンは銃を落として膝を突き副頭を抱いた。「おい。副頭。目を覚ませ。おい!目を覚ませ!何故…目を覚まさないのだ!私の銃弾などで死ぬ男ではない!」狂ったかの様子でチチャンは副頭を抱いた。チチャンの瞳には涙が溜まった。その姿を兵士たちが連行しようとするがバンダルは首を振った。バンダルのその姿に不安を隠せないタイソブァク。

そして1月の初旬へ入った。1月に入りながらも極寒は続いた。バンダルはチチャンを流刑(島流し)に処し自ら王位に就いた。バンダルは判高バンダル大王として国王の座に君臨。凍りついた野菜の代用として国庫から米を取り出して民に配布。野菜を耕す為にビニールハウスの様なものを王宮に作り野菜をそこで栽培。かわりに軍役制度が設けられた。また、飛鳥国や唐国との貿易の為に海を改善。敵軍が攻めて来たときの為に水軍訓練も執り行った。更に科挙制度も取り入れた。

1月の中旬 バンダルの善政に民は安心していたが以前チチャンが使臣団の蘇我氏に暴力を振るった件で飛鳥国は怒りを示した。1万の兵を率いて飛鳥国の天皇が自ら出兵した。

ー1月の中旬ー

親衛隊長になったタイソブァクは悩んでいた。(師匠は変わった。自らの望みの為なら何だってしてしまう__そんな人になった。これから師匠はどうなるのだろうか。)

そこにハヤヌの弟である親衛副隊長がやって来て言った。「親衛隊長。姉さんが。出産を果たした。」