複雑・ファジー小説

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.4 )
日時: 2019/10/09 21:13
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

朝廷は影紗堂派と光沙堂派に分かれ18年ぶりの党争が起こった。。。


ー2月29日ー

バンダルは話の場を持ち、光沙堂派のラソガンから貢物を受け取る。バンダルの手にあるのは縦に7cm、横3cmの鉄で出来た銀矢が2つ。バンダルはその銀矢を不思議そうに眺め、ラソガンに尋ねる。

「このように小さい矢で人を殺せるのか?」
ラソガンはバンダルの邸の庭園に出て的に向かい、矢を放つ。すると…矢は的に罅を割らせた。その威力を見てバンダルらは驚く。

「この矢には銀を使っており、矢先はとても鋭い中国大陸の''唐刃からやいば''を使っております。旦那様の知っての通り唐刃は体のどこに刺しても一瞬で死ぬほどの鋭さなのです。」

その周囲に草音がする。それに気づいたバンダルは矢を取りそこに放つ。しかし、矢を当てたのは野良猫だった。野良猫はバタリと倒れる。
ラソガンは笑いながら言う。

「旦那様。その命中力とこの矢をお持ちであれば旦那様に敵う者などおらぬでしょう。」

第3話 終

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.5 )
日時: 2019/10/09 21:16
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

影紗堂の''お頭''が小銃を手に取った。その小銃を見つめる影紗堂の重臣たち。「お頭。その小銃は…どこの小銃ですか?」「これはバルサンギガス都県の''107小銃(95式小銃)''と呼ばれる小銃だ。」「107小銃とは…あの神の使いシンバルンが…地に残したと言う…」「そうだ。この世に一つしかない最強の武器なのだ。たとえ1万の敵が襲って来たとしても、この武器さえあれば勝てるだろう。」自信げに言う''お頭''。

百七小銃…タルバルンでは神の使いであるシンバルンが世に一つしかないと伝えられていた。しかし他国では何万個も製作されている事が後々に分かる。百七小銃…そう名称したのはタルバルン、この国だけだ。他の国は95式小銃と名称した。

ー2月30日ー

バンダルは刀を手に数十人の護衛たちと歩く。「あとどれほどで着く?」とバンダルは友人のクゥヌに尋ねる。クゥヌは地図を広げて確認する。「あと約3乃(約3km)で着くだろう。」と。
バンダルは''光紗堂''の隠し宿にやって来る。その宿の中には碁を打つ二人の老爺たちがいた。……「団長がここへは何用でしょうか。」と不思議そうに尋ねる。「夜骨(よこつ、光紗堂の序列8位)、大骨(だこつ、光紗堂の序列9位)よ。今 訓練場に精鋭隊は如何程おる?」「団長、それをお知りになり、何をするおつもりですか?」
「精鋭隊を率い、宮を襲撃する。」「ついに…謀叛を起こすのですか…」「いいや、宮から禮賀図(らいがず、兵器製作の宮の秘伝)を盗む。」と力強く言う。「禮賀図…ですと…禮賀図は…厳重に兵士達に守られる''唐月倉''に…」

蜘蛛の巣や埃を被った禮賀図がその''唐月倉からつきぐら''に1枚置かれていた。その図には複雑に記された図が描かれていた。。。そこへやって来た黒の覆面を被った男。……男が着いた先は影紗堂の''お頭''の屋敷。男はその中に入っていく__「お頭。禮賀図を持って参りました。」と禮賀図を差し出す男。「これが…光紗堂の手に渡っていたら…お前も私も決して生きていられなかったであろう。」気味の悪い笑いをして禮賀図を火に当て、''お頭''は禮賀図を燃やす・・・


第4話終

次回予告__第5話「光紗堂の逮捕」

バンダル達は禮賀図を手に入れるため、1,000の兵士を率いて王宮に進撃するが…

Re: 朧 月ー首魁者の乱ー ( No.6 )
日時: 2019/10/09 21:20
名前: エイ (ID: Xr//JkA7)

【第1章 朧月の出】

朧月の出る夜空の下、鋭く光った刃を掲げ、バンダルは「進撃せよ!」と大きな威勢いい声で言う。バンダルが率いる1,000の兵士は宮の門を抜け、刀を手に唐月倉へと向かう__幼きタガラ王の元へ''お頭''らがやって来る。「国王陛下。光紗堂の者たちが王宮に1,000の兵士を率いて進撃しております。私に軍事権をお託し下さいませ。」と膝を突き、鋭い目つきでタガラ王を睨みつける。それに怖気付いたタガラ王は体を震わせながら頷く__
進撃を続けるバンダル軍の前に甲冑を纏った''お頭''が沢山の兵を連れ、やって来て、バンダルらに刀を向ける。
「バンダル!お前をこの場で成敗してやる!」と力強い声で言い、バンダルらに攻撃しようとした時…太妃(タガラ王の継母、バンダルの叔母、ジャンの末妹)がやって来て言う。「やめなさい!宮の中で殺生を行おうとするとは。」と言う。「太妃様。何を仰いますか。身内だからと庇うと仰せなのですか?」と''お頭''が苛立った様子で言う。それに対して太妃も反論。「殿。誤解だ。身内の為に言うのではない。宮の仕来りの為に言うのだ。」と。拳を握りつつ、''お頭''は「そこまで言うなら公にして処刑しましょう。そなた達、罪人を捕縛せよ。」と言う_______
暗き牢獄の中に一人座るバンダル。そこに太妃がやって来る。「バンダルよ。無駄な事をしたな。禮賀図は既に影紗堂の奴らに燃やされた。もう影紗堂に勝つ手段はないようだ。。。」「いいえ叔母上。決して私は諦めませんぞ。」「私がそなたを逃がしてやる。故に必ず勝利するのだ。」と太妃は懐から鍵を取り出し、扉を開ける。「逃げなさい。そして勝ちなさい。」「分かりました。叔母上。」__息を荒くして走って来る''副頭''。「大変です。お頭。バンダルとその手下らが逃げました。」「何だと!」___馬を跨ぎ、刀を手に走る。副頭は逃げていく光紗堂の兵士らを次々と斬っていく。斬られていく兵士の先にはバンダルが。バンダルは''お頭''に矢先を向けられ、矢を放たれる。バンダルは背中に矢を射られながらも必死に走る__バンダルは崖まで追い詰められ、崖から落ちるバンダル。(必ず生きてお前に復讐してやる…)その志を胸に悲鳴を上げながら落ちる_____________
太妃の部屋に強引に入る''お頭''。そして無惨に刀を振り落とす''お頭''。太妃は倒れた。そして''お頭''は黒き覆面を外す。その顔には斬られた跡が残っていた__

第5話 終

次回予告__第6話「復讐の始まり」

崖から落ち、酷い傷が体にあるバンダル。しかしある崖の下にあった村の村人に救われ…