複雑・ファジー小説
- Re: 朧月IIー天の賭けを信じてー ( No.1 )
- 日時: 2019/11/22 17:55
- 名前: エイ (ID: Xr//JkA7)
武天制度(武人を天に据える制度)を世界の中で唯一を定めた伽彌《かや》は強き者が弱者を蹂躙し命と富を奪い合う乱世である。人々が刀や銃を握り人々を殺す〈たおす〉世の中。伽彌の首都呂孤《ろこ》の様子は言葉では表すことの出来ないほどのものであった。数々の戦乱や反乱が起き将王(武天制度を定めた国の王)義信《よの》も苦悩していた。
そんな義信に苦報が入る事になる。義信に仕える官吏は『謀叛が起きた』と報達した。義信は怒りに狂い机台をひっくり返した。『鎮戦(戦乱を鎮めること)せよ。』冷静に配下の官吏に命令を下した__
約1万の軍兵を率いて伽彌最長の巨山である弥潘智山《みはんちさん》を登る叉仁《さじん》将軍。呂孤を目指し彼は歩み続けた。弥潘智山から呂孤までは近くも遠くもない。叉仁は如何にして乱を成功させようというのか__
その頃義信軍は弥潘智山の反側に位置する池曽山《ちそさん》から遠距離攻撃をする作戦で進軍していた。義信軍の先頭で馬を走らせていたのは義信が寵愛する将軍兎司《とつか》である。兎司は弓や猟銃などの飛武器に秀でており民からも慕われる伽彌一の武将である。
弥潘智山を降っていた叉仁の目にこちら側に銃口と矢先を向ける兎司の姿が映った。率いる軍兵らに''伏軍令''の旗を掲げ見せた。『伏せよ!南方に敵軍がおるぞ!南方に敵軍がおるぞ!』叉仁は喉から思いっきり声を出し率いる軍兵らに伝えた。次々と放たれる兎司軍の銃弾。叉仁は配下の将軍宇津《うつ》に尋ねた。『弓軍はまだ到着せぬのか?』しかし宇津は『まだです』と。『山を取り敢えず越え至近戦に持ち込もう。敵軍の先頭は兎司であろう。敵軍は至遠戦を得意とする兎司だ。』叉仁は走って山を降っていった。
終
- Re: 朧月IIー天の賭けを信じてー ( No.2 )
- 日時: 2019/11/22 18:13
- 名前: エイ (ID: Xr//JkA7)
叉仁の山の降った先には見た限りの数では1万。だがその奥には三万,四万と兵士が連なり戦闘態勢を整えていた。すると叉仁の周りを兎司が率いる千の兵士が包囲した。叉仁は狭間の弥潘智山で包囲され逃げ場を失い配下の軍兵らにこう伝えた。『そなたら逃げたくば逃げるがよい。この状況勝てる事はないであろう。死ぬのは私一人で十分だ!』叉仁は刀を抜いて掲げた。その後叉仁に続き宇津も刀を抜き掲げる。宇津の姿に驚く叉仁。更に叉仁の後に続く軍兵らも刀を掲げた。叉仁は軍兵らのその様子に嬉しさを隠せない。
『死ぬなら我らも一緒に死のうではないか!』
宇津のその言葉に兵士たちの士気と雄叫びが上がる。
第1章 第2部《王の決意》
弥潘智山は首都である呂孤の南方に位置した。伽彌の兵らの4分の1は弥潘智山にあった。残りの兵士は戦兵《せんへい》ではなく王宮を守る宮兵《ぐうへい》や王族や貴族を守る守兵《しゅへい》。そしてその他の兵士らを集めた六司兵《ろくしへい》。戦兵がいない首都に叉仁第二軍が進軍していた。その噂を先に耳にしていた町の民たちは荷を纏めて既に呂孤から避難していた。
その頃…弥潘智山
叉仁は残りの兵士100人以下に追い込まれ状況悪化。叉仁の腕には10本以上の矢が刺さり宇津も瀕死の状態。そして敵軍の兎司が矢先を叉仁の胸に当てて矢を放とうとした時…配下の世禍《よか》が兎司に耳打ちした。兎司はその言葉に驚き自らの弓軍らに''外軍出撃令(違う敵への出撃を命令する令称)''を下した。約1万の弓軍と騎馬兵を連れて兎司は馬に跨り走り去っていった。。約3万の兵士を連れた軍長明白《あきしろ》は兎司の退軍に戸惑いながらも約100人の叉仁軍らを''全滅令''を下して攻めようとしたその時!
叉仁らが待ち続けた弓軍1万と軍兵5000大砲軍3000騎馬兵3000がやって来た。意識が朦朧とする叉仁に光を見せたのは彼らだった。明白は驚き後退りを始めた。明白の周りには大砲の犠牲者が次々と死んでいく__それを見た軍兵らも次々と逃げていった。いつの間にか戦場に残っていたのはただ一人明白だった。弓軍指揮長兼軍長兼大砲騎馬連合軍長を兼任する楽覇《がくは》は明白に刀を向けた。『降参せよ。後に建王即位される叉仁様に。』建王即位…国王の即位 そして明白は叉仁に礼を尽くした。
その頃、呂孤宮の中に攻め入る叉仁第二軍長賀眞《かま》率いる兵士。
終了