複雑・ファジー小説

Re: 御魔の囁 ( No.4 )
日時: 2019/12/25 18:23
名前: エイ (ID: lBubOowT)

雨天の夜更け 三淵藤英《みつぶちふじひで》と細川藤孝《ほそかわふじたか》が義昭が幽閉される興福寺《こうふくじ》に忍び忍んで救出に参った。

 義昭はその二人の人影に怯えて刀を手にした。松永久秀が自らを殺しに来たのではないかと怯えた。震え震えに立ち上がり刀を強く握りしめた時…

 『義昭公。三淵藤英です。救出に参りました!』その声を聞き刀を落とし気を失う。それに驚き二人は義昭の龍身を背に背負い興福寺を脱出した。

その夜更けに予約していた船に気を失い目を覚さぬ義昭と共に乗り込んだ。

 ー近江国 和田ー

 日の出る翌日の早朝である。近江国の和田にある船停場に停まる義昭ら乗る船で気を失っていた義昭は目を覚ます__

ーー周辺を見渡していた__少し先の軍営には見覚えのある背姿がありその者は振り向く__黒髭を鼻下に生やし美濃斎藤氏との決闘の作戦会議を執り行う信長__織田信長の姿があった。私は信長を気に入った。一瞬で見惚れたのだ。彼を親公にしたいと私は思った__

 親公…自らが従わせる者 別の言い方で配下 部下とも呼ぶ

永禄八年(一五六五)十二月 信長は義昭に正式に奉仕を誓った。その後、信長は一度帰った細川藤孝に上洛の願い届けを出して信長も尾張や駿府から兵を連れて上洛して参ると言い近江より尾張に向かった。上洛の理由はもちろん義昭の推薦擁立が理由だ。しかし美濃斎藤氏との対立で戦乱に発展する。


                ー   稲葉山城の戦い   ー 


永禄十年(一五六七)信長軍との戦いに斎藤龍興《さいとうたつおき》は敗れ伊勢国長島に敗走した。結果としては信長軍が美濃を平定したのだ。しかし戦前に義昭の命令で斎藤氏と織田氏は和睦を結んだが結果的に信長が決起したに至る。この事に義昭は信長に不信感を抱くようになりここから不仲説が浮上したとされる。


    No.3《謀反の報告》


世は既に義昭と信長の世に染まりつつあり光秀はどちらに所属せんか迷いに迷っていた。

光秀は両属にしようかも迷ったが斎藤氏の軍営に勝手に攻め込んでいった信長に義昭も不信感を抱いており仲違いの可能性もあった__だからと言い二人に従わない訳にもいかず人生最大の迷いどころである。しかし光秀は両属の意思を二人に伝えてあっさり両属したのだ。『義昭公はそこまで信長公に不信感を抱いていなかったのか?』そう心中、心考し二人に仕えた。



『謀反──今、謀反と申したのか?』

義栄宅の一室

足利義栄はそう尋ねると宇司信山上《うしのやまうえ》は首を縦に振った。