複雑・ファジー小説

Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.3 )
日時: 2020/04/26 20:19
名前: 縁葉 (ID: Uc2gDK.7)

#3【私とこの娘は一心同体】

「亜希。そのストラップって、小学生の頃から付けてるよね?」

「うん。お姉ちゃんからのプレゼントだから。」

「彩花さんからのか…。もう8年も付けてるってことは、凄い大切なものなのね。」

亜希は首を縦に降った。
ここまで物を大切にする人は、見たことがない。これが本当の“日本人”らしさと言うものだ。

そのストラップは、黄色の猫であり愛らしさも垣間見える。少し小さめだが、リュックサックに付けるには持ってこいだ。

「ねぇ、亜希。ちょっとそのストラップ見せてよ。」

「別にいいけど。私とこの娘は一心同体なんだから、手荒なことしないでよ?」



_______…一心同体…か。


そんな思いをしまいつつ、私はそのストラップを手にした。

「っ!ちょっと…理央、くすぐったいからやめてよ。私達は一心同体って言ったでしょう?」

亜希がくすぐったそうな顔をする。
そんなの、ただのボケだろう…私はそうとしか思えなかった。

「一心同体?…そんな馬鹿みたいなこと言わないでよ。ほら、こうやって握っても痛くないでしょ?」


私はストラップを握る。
すると、亜希の方から何かが砕ける音がした。


「…ほら言ったでショ。私達ハ一心同体だっテ…」


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●解説

一心同体は、心と身体が一つという意味。よく青春ストーリーに使われる比喩表現だが、もしそれがただの比喩表現では無かったら…身の毛が弥立つ…。