PR
複雑・ファジー小説
- Re: Drops of tears Dripping ( No.15 )
- 日時: 2020/12/07 18:00
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
有一と手を繋ぎ、カフェへの道を歩む。
温かい有一の手がガムテープを補強してくれた。
カフェの扉を有一が開ける。
チリンチリン!扉にはベルが付いていた。
「いらっしゃいませー」
カフェのテラス席に座り、ケーキを注文する。
「特製レアチーズケーキを2つください。」
「アイスレモンティーを2つください。」
有一は私の好みを分かってくれる。
こんな気分の時はアイスレモンティーが1番。
私はゆっくりと話し始めた。
「お父さんが通り魔に刺されたことは伝えたでしょ。
それでね……
私は全てをありのままに話した。
「そうか。青葉の心は今揺れているんだね。」
「苦しいだろう。僕も分かるよ。」
「青葉が感じているのとは違うかもしれないけど、
フラッシュバックの苦しさは分かる。」
「でも、世界は止まらないんだよ。青葉がいくら苦しくてもね。
苦しかったら逃げ出しても良いんだよ。」
「立ち向かうのは大切だけど、立ち向かえなければ逃げても良い。
苦しかったら苦しくない方に行きたいだろう。」
「青葉はもっと肩の力を抜いて。」
「青葉は好きなようにやれば良い。」
「学校も休んで良いんだ。挑戦することもすごく大事だけどね。」
有一の言葉は私の方の力を抜いてくれた。
“苦しかったら逃げ出しても良いんだよ”。その言葉が頭の中を回っていた。
有一とどうやって別れたか覚えていない。
私の頭の中で、有一の言葉が回っていた。
PR