複雑・ファジー小説

Re: Drops of tears Dripping ( No.9 )
日時: 2020/12/06 08:20
名前: リリ (ID: OYJCn7rx)

高校入学の当日、父は目覚めなかった。


たくさんの人がザワザワしている。
青葉は懐かしかった。
小学校の入学式や、中学校の入学式を思い出した。
違ったのは、ここが名門の私立だから校舎が綺麗で広いことだった。
親もたくさん見にきている。
涙が頬を伝った。青葉は震えていた。
この幸せな空間に、自分はいてはいけない気がした。
全てが色褪せて見えた。

「あら、どうしたの。体が震えているわよ。」


だれ。私を目に止める人がいたんだ。
嬉しくて、驚いて、また涙が出てきてしまった。


「大丈夫?」


大丈夫じゃない。大丈夫なわけない。


「医務室へ行こうか。」


行きたくない。この幸せな空間から出たくない。
泣くという場違いな行動を犯した自分が言えることじゃない。
でも……私は出たくなかった。


私が泣いている間も入学式は続いている。
私は引きずられるように医務室へ連れて行かれた。