複雑・ファジー小説
- Re: 百鬼夜行の世界の果てに ( No.1 )
- 日時: 2021/09/13 10:55
- 名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)
1話 西園寺家
西園寺家は、名門の家系だ。
この百鬼夜行の世界において、知らない者は居ないだろう。
子供達は幼い頃から英才教育を受け、当主によって決められた将来に従う。
トップレベルの頭脳や人望、政治への影響力や武芸、様々な事に関してトップの家なのだ。
俺は西園寺家三男、西園寺 春。
西園寺家では下の方の年齢である。
「春、明日のパーティー大丈夫?」
西園寺家の屋敷の廊下で話し掛けて来た女性は、長女の翡翠。
明日は西園寺家主催のパーティー兼三男、四女のお披露目会がある。
パーティーに参加するのは初めてで、かなり姉様達が心配してくれている様だ。
「はい、参加者に対する挨拶も、対応の仕方もきちんと学びましたので、問題無いと思われます。」
「そう、じゃあ明日楽しみにしておくわね。」
パーティーに向けて、きちんと作法を一から百まで習ったのだ。
西園寺家に泥を塗る様な真似はしたくないから、ちゃんと何回も見直した。
これで他人から馬鹿にされる様ならば、兄様や姉様達にも迷惑を掛ける事になる。
それだけは回避したいので、必死だった。
「翡翠姉様にそう言って頂けると、より一層頑張らなくてはなりませんね。それでは、おやすみなさい。」
翌日になり、西園寺家主催のパーティーが行われた。
兄様や姉様達もパーティーの正装をしている。
四女の紫乃は俺になついているから、面倒を見る事が多い。
ちなみに産まれた順番は、長男、長女、次女、次男、三女、三男、四女の順番だ。
「春兄様、人が沢山居ます……。」
「これからその人達を相手にするんだから、覚悟しとけよ。」
紫乃にそう言うと「分かってるよ!」と元気な返事が返って来た。
お父様がマイクを手に取り、西園寺家の紹介を始めた。
「本日は、我が西園寺家主催のパーティーにお集まり頂き、大変有り難う御座います。さて、子供達の紹介をしたいと思います。」
お父様はカリスマ性が高く、人を無意識に惹き付ける魅力がある。
「長男、西園寺 蓮。長女、西園寺 翡翠。次女、西園寺 奏。次男、西園寺 優。三女、西園寺 遥。三男、西園寺 春。四女、西園寺 紫乃。以上六名。」
名前が呼ばれると、一歩前に出て分かりやすくする。
そして終わったら全員で一礼をして椅子に腰掛ける。
お父様による司会が終わると、挨拶に入る。
自分の名前を紹介したり、趣味や好みを聞いて来たりしているが、それは西園寺家と繋がりを持ちたい家系だと皆気付いている。
軽く挨拶をして対応を終わらせると、紫乃と一緒にお父様が用意してくれた高台にあるテラスでパーティーの様子を見ていた。
「春兄様、兄様達と姉様達とても人気ですね。ダンスの申し出が大量に届いてます……。」
「いつかは俺達もあんな感じに沢山踊らないといけないからな。紫乃、大丈夫か?」
「問題無いです!必死に練習すれば出来ますね。」
テラスに用意してあったクッキーを食べながら、そう言った。
お父様はずっと周囲の人の話に対応している。
多分、物凄く疲れるだろうな、と思いながらそれを顔に出さないお父様を普通に尊敬した。
そうして何事も無く、西園寺家主催のパーティーは終わった。
今は西園寺家の人間がパーティーの片付けを行っている。