複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.1 )
日時: 2023/02/20 20:26
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 1

「うわぁぁぁぁ!!!!だ、だずげて~」

朝。
テントに日の光がほのかにさしこんできて、
ピヨピヨと小鳥のさえずりが響いた。

気持ちよく目を覚ますと、
小さい叫び声がテントの外から聞こえてきた。

..またかぁ。
我が親友、スライムが、今度は犬に噛みつかれている。

「まったく。おりゃ。」
わたしが犬から親友を引き離すと、親友は涙目になって言った。

「ボクは食べ物じゃないよー」

親友を掴んで、そのまま一緒にテントまで戻ると、
親友は「今日が命日になるところだった..。」と体をぷるぷるんとさせた。

「はいはい。ってか、まーた勝手にテント出たでしょっ!」

「ごめんなさーい」

朝食のパンとココアを頬張りながら、わたしは親友をにらんだ。
親友は反省する気を全く見せずに、鏡に映った自分の姿を見ていた。

「えーん..。歯形ついちゃったよっ」

「まあまあ、すぐ戻るからいいじゃん。」

わたしが慰めても、親友はしかめっ面で鏡とにらめっこを始めた。

「ぐぬ、あのいんぬめ!ボクの"びぼでぃ"に傷をつけるなんてっ。なんてきょーあくな!」

「びぼでぃw」
真剣に怒る親友の発言に軽くツボったが、
親友が傷ついているようなので、早速回復させてあげることにした。

ぶつぶつとわめく親友に、わたしが適量水を振りかけると、
親友は体をもっちぃと膨らませて、さっき犬に噛まれたときの歪みと傷を直した。

スライムにはいろんな属性があって、属性によっては回復できるものもいる。
親友は水属性らしいので、ちょっと水を吸えば大抵の事は治るらしい。

「よかったぁー。ボクのびぼでぃ!!」

体が元に戻ると、親友はすぐ気を良くして、
ぴょんこぴょんこ、と跳び跳ねた。

「..しかしあのいんぬは許さない..。この未練はぜったい、いつか晴らしてやるぞぉ..」

「頑張れー」


「まってろ、いんぬ!!」
やる気に満ち溢れて、わいわい言っている親友を応援しながら、
わたしは朝食を食べ終えた。