複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.12 )
日時: 2024/01/20 11:45
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 12

少女がアルストロメリアにいきたいと思った理由ワケは2つあった。

1つは、大都市にいけばたくさんの人に出会えるから。
そのたくさんの人の中に、
もしかしたらお母さんとお父さん、もしくはその知り合いがいると考えたから。

そして、アルストロメリアには、大きな図書館があって、何でも調べられるらしい。
物知りな司書さんもいるらしい。
自分について、なにかわかるかも、と考えたからだ。

もう1つは、有名なパン屋があるから。
これは親友スライムも絶賛の理由だが、もちもちのパンが売っているらしい。
ぜひともその絶品を食べてみたいと、思ったからだ。

アルストロメリアには前から行ってみたいと思っていたのだが、
羊小屋の雇い主が持ってきたチラシの中に、
偶然にもアルストロメリアの地図が乗っていたので、行くことを再決定したのだった。

列車に揺られ、少女とスライムの心の中は、ワクワクする気持ちでいっぱいだった。
(もちもちの、ぱん..!!)

もはや、少女も今は自分の名前とか、両親のこととかどうでもよくて、
ただただ早く"もちもちのぱん"にありつきたいという欲望でいっぱいだ。
「売りきれてませんように..」
一人と一匹は軽く手を合わせて拝んだ。

「終点アルストロメリア。ご乗車ありがとうございました。」
プシューと音をたてて列車が駅に止まると、ぞろぞろと乗客が列車から降りた。
少女たちもその流れにのって、ぴょんとジャンプして駅に降りた。
駅から出ると、大きな町が広がっていた。

「ほえー..」
口をポカンと開けて眺めることしかできないくらい、大勢の人が歩いていて、賑わっていた。
「車に引かれないようにしないと。」

スライムを頭に乗っけて、少女はそろりそろりと歩道のはしっこを歩いた。
少女はチラシの地図を開くと、早速、親友と共にパン屋を探し始めた。