複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.13 )
日時: 2023/02/25 17:11
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 13

「パン屋どこかなぁ..。」
広大な町の中の商店街を、一軒ずつ探しているうちに日が暮れてしまった。
空はオレンジ色になってきて、辺りは暗い。

「もう暗いし、探すのは明日にしよっか。」
親友が提案してきて、わたしは「うん。」とうなずいて探すのをやめた。

「どこかテントを張れる場所ないかな。」
わたしたちは寝泊まりするために、テントを張れる広い場所を探し始めた。
(公園とか、草地とかあったらいいんだけど..。)

うろうろしていると、後ろから、「おい」という声がした。

「あんた、何してんの。怪しいんだけど」

知らない女の人にじっとにらまれて、わたしたちはきまづくなる。
「あんた、どっからきたの」そう問われてわたしは正直に答えた。

「列車に乗って、とおくから..。」

小さな声でボソボソと答えると、女の人は顔をしかめて近づいてきた。
「ふぅん。あんた一人で?随分ちいさいけど。」

「..はい」
顔をこわばらせながらもわたしは必死に答える。

「あっそ。で、これからどーすんのよ。」
話をしながら、女の人は煙草タバコに火をつけた。

「テントを張って、寝ようかな、と..。」

「へぇ、感心しないねぇ。この町はテントを張れるような場所ないわよ。」
フンと鼻で笑って、女の人とはタバコを口にくわえた。

「えっ。でも..。」
テントを張らないと、寝れないし..。と言いかけると
うちに来なさい。あんたみたいな小さい子、家の外でほっとけない。」女の人はフッと笑って手招きした。

「..いいんですか」

女の人とはコクンとうなずくと、ついてきなさいと自宅まで案内してくれた。
「ここよ。」女の人との自宅は、偶然にもパン屋だった。

扉の横には、"大人気!もちもちパン売っています"と書いてあった。
「あたしんはパン屋なのよ」
女の人は得意気に言った。