PR
複雑・ファジー小説
- Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.2 )
- 日時: 2023/02/24 15:49
- 名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)
episode 2
「今日は買い出しにいくよー!」
わたしがテントをしまってリュックを背負うと、
親友は「いぇっさぁー!」と応えて、わたしの頭の上にぴょこっと飛び乗った。
二人でオリジナルの曲を歌いながら、
坂道を下っていると、すぐ近くに小屋が見えた。
寄ってみると、白いもこもこがたくさんいて、めえめえめえと鳴いている。
「めえめえだぁ」
羊はめえ、と鳴いてあちこち歩き回っている。
「もこもこでかわいいね」
わたしと親友が興味深く見ていると、小屋の中からわたしより背の高い少年が出てきた。
少年はぶっきらぼうに「なんか用。」
と目も合わさずにそう言って、少年はもこもこを触って世話をし始める。
わたしは慌てて、「..いえ、なにも..かわいいな、って思って見てただけ..。」と答えた。
「あっそ、かわいい?コイツらが?」
少年はそっけなく返事をしながらフンと鼻で笑った。
「アンタ、変わってんなぁ。コイツら、めえめえうるせえし、くせえのに。」
わたしはこの子達のことを悪く言う少年に腹が立ち、言い返した。
「..もこもこで、かわいいのに!!うるさいとか言われて、可哀想。」
そしたら少年は、あ?と顔をあげて、こちらをにらんだ。
「世話したこともねえのに、勝手なこと言うなよ。それに俺は好きでこんなうるせえやつらを飼ってる訳じゃねえんだ」
強く言われてわたしは怖くなって泣きそうになったが、
初見の自分達が何か口を出すのも変だと思って、これ以上何も言わずに、黙ってしまった。
親友が「なにか"理由"があるんじゃない?嫌でもちゃんとめえめえの世話してるんだから、根はきっと優しい人だよ」とフォローした。
その声を聞いた少年はちょっと顔をそむけて、頬を少し赤くした。
PR