複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.21 )
日時: 2023/05/03 21:11
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 21

少女とスライムは八百屋で買い物をしていた。
「じゃがいもと、にんじん、あと玉ねぎ。」
それぞれ大きそうなものを手にとって、店員のお兄さんに渡した。
「これ下さい」

「はいよー。君、おっきな袋持ってるねぇ..小麦粉?力持ちだねぇ!」
またまた小麦粉の袋をかついでいることに驚かれたが、無事野菜たちを入手できた。

「これって何に使うんだろ。」ふと、少女が考えた。
にんじんのパンなんてお店にあったけ..?
「さぁ..?」スライムも不思議そうに答える。
まっいっか。考え事を止めて、次はスパイスを売っている調味料のお店に向かった。


「ほー。あいつら、頑張ってんなー。全然大丈夫そうじゃん。」
マキコさんは仲良くおつかいをする一人と一匹を楽しそうに後ろから見つめていた。


「かれーのこなってありますか」
少女が聞くと「カレー粉のことかな。うち独自のカレー粉、美味しいよ!」とビンを渡してくれた。

「これでおつかい、こんぷりいと!!」
いぇーいとハイタッチ(スライムはほっぺタッチ)をすると、パチパチと拍手の音が聞こえた。

「おつかれー。よくやったなアルバイト諸君。」
少女は自分がかついでいる、目の前の大きな小麦粉で前がよく見えなかったが、
マキコさんだと声で分かった。

「さあ帰るぞ」
マキコさんは重いから持ってやるよ、と小麦粉を持とうとしてくれたが、
「お店に帰るまでおつかいです!」と少女は聞かず、結局そのまま小麦粉を運んで帰った。

「これはカレーパンの材料ですか?」少女はたずねたが、
「いやぁ、まぁそうだがなァ..」とマキコさんはイマイチな反応をした。
「でも、こんな沢山にんじん..?{ニンジンのパンなんかなかったと思うんですけど..」
続けて少女がしゃべると、「そりゃぁ、そうだ」とマキコさんが笑った。

ちょうどお店に着いて、マキコさんは扉を開けながら言った。
「もうちょっとしたら、分かるよ」

「?」
少女もスライムもその時は1ミリも意味が伝わらなかったが、
お店の二階で休んでいたら分かってきた。
一階から美味しそうなカレーのにおいがしてきて、おばあさんが「おりといでー」と言ったからだ。

「カレーライスだったんだ!!」少女はやっと分かってスッキリした。
テーブルには美味しそうなカレーライスがお皿に盛り付けてあったのだ。
「たんまりと、召し上がれ。」

少女は嬉しそうに出来立てのカレーを頬張った。
スライムは何度もおかわりした。

おばあさんは少女を元気付けようと、晩ごはんまで気を使ったのだ。
その夜、一人と一匹は満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに眠りについた。