複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.22 )
日時: 2023/03/04 10:43
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 22

ある午後、パン屋ではおばあさんとスライムはパンをこねて、
少女はパンをいつものように並べていた。
お客さんが静かに入ってきて、「いらっしゃいませー」と声をかける。

お客さんはトングもトレイも持たずに、つかつかとレジまで向かい、すぅっと息を吸って
「こちらのお店の少女は毎日無断で騎士団を欠席している、との情報が入っています。」
とおばあさんにいきなり言った。

おばあさんは突然の発言に驚いた顔をしたが、「だから、なんです?」と強気に少女をかばった。
「..そこで、わたしはこの少女を騎士団に連れていくという任務を授けられました。では。そこのあなた行きますよ。」
と少女に目を向けて騎士団に向かうよう命じた。

「...。」

少女が黙り混んでその場で動かなくなってしまった。
「..マキコから聞いてなかったんですか?お誘いを断ったこと..。やっぱり行かないって、」
おばあさんがすかさずフォローしたが、お客さんはそれに対してまた反論をした。
「..一応マキコさんからは聞いております。しかし、この少女が騎士団に入るということは事前に決まっています。」

お客さんが「ですから、」といいかけたとき、少女が口を開いた。
「嫌だ。わたし行きたくない。」後ずさりしながら、必死に拒否した。

しかし、お客さんはうつむいた後、フードを脱ぐと、鋭い目を少女に向けて言った。
「何を行ってるんですか。我々はこの町を守る騎士団、それに選ばれるのは光栄な事であり、拒否権なんて」

存在しません、とはっきりと言い放った人は、ものすごい美女で目が青く輝いていた。
少女が見とれていると、美女は勢い良く少女を腕を引っ張り店の外へ出そうとした。

「まって!ボクも行く!」
急いでスライムが追いかけると、美女は顔をしかめた。
「お前はなんだ。スライム..?魔術師の国から来たのか?..まあいいか。お前は勝手にすればいいが、こいつにはちゃんと騎士団に来てもらう。」

そうして、力ずくで少女は、騎士団の宿舎まで連れてこられてしまった。

「ここ嫌だ..。」
少女が泣き出すと、美女は怒った。

「子供の都合で、ここは成り立っている訳じゃないんだ。..甘く見るな、クソガキが。」
暴言を吐かれて、もっと泣き出してしまった少女はスライムと共にまた、
騎士団の子供たちの宿舎に放り込まれた。

「お前、この前の変な泣き虫じゃん。」
「ぁあ?弱いやつは帰って来なくて良かったのに、な!」
子供たちはまた、今まで通りに、少女を暴言で迎え入れた。

「...。」
少女は黙り混んでうつむいた。

また少女が傷ついてしまう、そう思ってスライムは焦ったが、少女が予想外の発言をした。
「..ごめんなさい」