複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.37 )
日時: 2024/01/20 10:40
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

いつまで寝ていたのだろう。

ふいに鼻がツン、として僕は目を覚ました。
どうやら、僕は一晩ここで寝過ごしたらしい。
もう朝になっている。
そしてこの鼻が曲がりそうなほどの異臭は、この部屋から漂ってきているようだ。
マキコさんの首に絡まった赤黒い紐は、
少しボロボロになってきているのが見えた。

どうしてマキコさんが動かないのか。
その理由わけを僕は何も知らない。

はずなのに。
体が、頭が、心臓が、知っている気がした。


どくん、どくん。
心臓の音はまだ高鳴ったままで、体が熱い。
少し開いていた窓から風が入ってきて、部屋のカーテンが揺れた。
マキコさんも少しだけ、揺れる。

赤黒い紐、微かに揺れる人影...。
この光景を、僕は見たことがある気がする。
(僕は、これからどうしたらいいんだろう。)

それにしても、さっき見た夢はなんだったのだろうか...。
僕の体が人間に...?そんなことあるわけがないのに。
そんなことを考えて、ただその場に座り込んでいた。


すると、パン屋の入り口から、叫び声とドアの叩く音が聞こえた。

「おい!開けろ!誰もいないのかッッ!まきこ!まきこはいるかぁ!」
「まきこちゃ~ん?居るなら開けて頂戴っ」

複数人の怒鳴り声、叫び声が聞こえてきて、
パン屋の回りはすっかり賑やかになってしまった。

開けてくれ、と扉を叩く人が居るので、ドアが壊れてしまいそうだ。
仕方なく扉を開けに行くことにした。
皆、マキコさんのことが心配で来てしまったのだろうか。

(だったら僕が状況を説明しないと。)

パン屋の入り口の方へ向かうと、透明なガラスの扉から、
たくさんの人が居るのが見えた。

おじさんが鍵がしまったままの入り口の自動ドアをバンバン叩く音が鳴り響いて、
僕は扉が壊れないか不安で慌てた。

「今開けますっ」
(自動ドアは下に鍵がついているので、小さい僕でも簡単に鍵を回せるのが素晴らしい。)
僕は急いで鍵を回した。