複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.39 )
日時: 2024/08/02 19:09
名前: sumo (ID: 8kWkLzD1)

episode39

大都市アルストロメリアも、今思えば対して大きくもなかった。
始めに訪れたときは、煌びやかだった町並みも、楽しそうだったお店も、
今では全然そんな風には見えない。

町の人の笑顔も、それはきっと本物じゃなくて、楽しそうな会話も、
耳をすませばお金の話とか、誰かの悪口だ。
そんなネガティブな気持ちに占領されて、僕は走る気力すら無くし、やがて歩くのもやめた。

もう、どうでもいいや。

細い路地に入って、建物の影に座った。

僕は何がしたいんだろう。
何をしにここへ来たんだっけ..?



まあいいや....。
もうこのままずっと、座っていよう。
もうなーんにもしたくないし、考えたくないや...。

ぼーっとしていると、何だか眠くなってきちゃった...。



「見つけたぞ!殺人犯」
目を開けると、いきなりパシュンと音がして、頭に激痛が走った。
「ぃた______」







それからどれくらい経ったのだろう。
目を覚ますと僕は、薄暗い場所で床に横たわっていた。

「ここどこだろう。。」

目の前には鉄の柵がある。

ひょっとして僕、捕まっちゃったのかな。

僕を銃で撃った人はあまり覚えてないけど、マキコさんと同じ服を着てたから
もしかすると騎士団の人かもしれない。

じゃあ僕は、逮捕されちゃったってこと?

ていうかここ、暗くて寒くてちょっと臭い...。


(誰かここからだしてよぉ。)
「あー」
試しに声を発してみると、どこまでも暗い部屋に僕の声が遠くまで響く。


「おい」
目の前に怖そうな男の人が居る。


騎士団...?の人ではなさそう。
黒と白のシマシマの服を着ている。


「ひ...な、なんですか..」

「お前、何で地下牢ここに来たんだ?」
その男の人はニヤニヤしながらこちらを見てくる。

だいぶ若い人のように見える。お肌がピチピチだもの。
この人も悪い人なのかなぁ。
「なにもしてません」

「あ?」
男の人が声を荒げたので驚いた。

「はぐらかすなよ、ここまできて無罪を主張すんのかよ、」
今度は眉毛をハの字にしている。
この男の人、怖いけど表情豊かだ。

「じゃ、じゃあ、おにーさんは、何をしてつかまったの?」

「俺?大したことじゃないぞ」