複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.4 )
日時: 2023/07/09 08:30
名前: sumo (ID: 8kWkLzD1)

episode 4

「せっかく餌やりタダにしてもらえたんだから、わたしも仕事、するよ。」

「...。」
ね、と目をキラキラさせて近寄られ、少し胸が痛む。
なんて、優しいんだろう。

もはやこの少女は、天使だ。

それに比べて俺は、最低な嘘つき。

初めて会った他人の金を巻きとろうと嘘をつき、
真実を言うのは恥ずかしいから、とタダにしてやると親切にする嘘をついた。

そう、2回も嘘をついた。
まるで俺は悪魔だ。

最低だ、と自分を否定して、落ち込んでいると、
「で、何から手伝えばいいのかな」
少女が聞いてくるので、羊の毛をブラッシングする仕事を頼んだ。

俺は少女たちを柵のなかに入れて、「ありがと、な」
俺がふてくされながらも呟くと「こんなの全然大丈夫だから!」と少女は言ってくれた。

ブラッシングが終わったようで、少女は「次は、次はー?」と聞いてきた。
俺が遠慮ぎみにも「..じゃあ、小屋の掃除、床を洗ってほしい、かな」
と答えると少女はすぐに小屋に入ってデッキブラシを手にした。

「ボクが食べられないように、見張っていてよね!」とスライムの叫ぶ声聞こえる。

すると突然、ビシャーーーーーと大きな水しぶきが聞こえたので、驚いてドアの隙間から除くと、
さっきのスライムが体から水をぱしゅぱしゅ出していた。

そして少女がその水を使ってブラシで床を洗っていた。

雇い主が奥から出てきて、「おぅ?新入りかぁ?なんかへんなの連れてっけど、威勢がいいなあ」
とスライムを見ながら言う。

幸い、今は機嫌がいいみたいだ。
片手には買ってきたっぽい酒を持って、ヒックヒックと喉を鳴らしている。

少女は雇い主に「どうもー」と挨拶をしてゴシゴシ床を磨いた。
俺はそれに負けじと、羊を洗って散歩させた。