複雑・ファジー小説

Re: もちもちつよつよ旅日記 ( No.40 )
日時: 2024/02/05 21:56
名前: sumo (ID: 2cE7k4GX)

episode 40

「俺はなー爆発させたんだ!家を」
おにいさんは目を輝かせて言った。

「ばくはっ!?」
いきなり物騒なことを言い出すので驚いてしまった。
「そうだ。楽しそうだろ?」
僕の驚いた声を聞くと、おにいさんの顔はますます明るくなった。

「いや...危ないよぉ」
楽しそうとは思えないなぁ。

「人生危険なことも必要だぜ!何事も挑戦が大事だっ」
おにいさんは手でグッドマークを作る。(あたまがおかしいひとなのかも、)

話によると、おにいさんは科学者(?)で、
実験をしたときに、自宅ごと爆破してしまったらしい。
死者は出なかったが、とっても大きく爆発したため、
怪我人が出たり、近くの家が燃えたり...町中が大混乱になってしまい、
おにいさんはそのまま逮捕されたそうだ。

「あとはなー溶ける服とか着て町中を歩いたり~超でかいカエルのおもちゃを野放しにしたり~色々やったなぁ」
おにいさんは楽しそうに今まで犯してきた罪を話してくれた。

おにいさんは様々な実験をしていく度に逮捕され、要注意人物として取り押さえられ、
最終的に町中を燃やしたので死刑囚になったようだ。


「そしてよー俺はな、秘密だけど脱獄計画を練ってるんだー」

「だつごく、?」

「おぅ、この牢屋から抜け出すってことだ。」

「え!」
僕が驚いて声をあげると、おにいさんは(僕たち以外誰も居ないのに)辺りを見回して、
人差し指を唇に当て、しーっと言った。

「これは秘密だかんな、ばらしたらお前も爆破させてやる」
くくく、と笑って、おにいさんは近くの冷たい壁に触れた。

よく見ると、壁には細かい亀裂が入っていて、そこを爪で引っ張ると、コンクリートが外れて、
ぽっこり穴が空いていた。

そこには、なんだかよくわからないボタンやらスイッチやら、
触れてはいけなさそうな機械が詰め込まれていた。おにいさんはここに色んなものを隠しているらしい。
「見ろ、これが俺の作った爆破装置だ。」
自慢げに見せてくれたが、僕はなんだか怖くてあんまり覗かなかった。
「まだちょっと不具合があってさー今改良中なんだけど。」
喋りながらお兄さんは穴の中に手を伸ばして、機械をいじり始めた。

「そ、そうなんだ..」
今装置が爆発したらどうしよう。
僕は一歩、二歩..後ずさった。

「なんだぁ?びびってんの?これが完成したらお前もおまけで外に出れるんだから喜べよ」

「え!?外に出れるのっ」
僕はつい大声を出して跳び跳ねた。
僕だってこんな暗いところにひとりぼっちは嫌だし、しょけい、っていうのは
多分怖いことなんだろうから、外に出たい。

「こら、静かにしろ。見つかったら台無しだぞぉ」
お兄さんはどこからか工具を手にして先端を僕の方に向けて脅した。
ま、こんな汚くて暗い所には処刑の時が来るまで誰も入ってこないけどな、と付け足したけれど。