複雑・ファジー小説

Re: 白い「キミ」とグレーな「ボク」 ( No.1 )
日時: 2023/03/05 23:46
名前: でんた (ID: dYnSNeny)

プロローグ「グレーなボク」

 もう葉が枯れ落ち、冷ややかな風が吹き始める季節――。
とある早朝、今日も陰鬱な彼――――康太は学習机に向かい、一冊の大学ノートに筆を走らせていた。
彼の脳内には、過去の決して楽ではない記憶が巡り、それを必死に掴んでは、情景を文で書き表している。
その内容は彼が恋していた少女と、彼との日常を振り返るものだった。
最初の文章が書かれた。

…もう二度とは帰らぬ「キミ」へ、きっと許されない「ボク」の懺悔をここに書こうと思う。
そしてこの懺悔が終わったら、死んだように生きている僕も君と同じところへ逝こう…。