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複雑・ファジー小説
- Re: スターワグナリー冒険記 ~ドレトンの宝玉編 ( No.3 )
- 日時: 2023/09/08 18:03
- 名前: 〆切 逃 (ID: T3oqfZAk)
森にそーっと息を抑えて近付いていく。森に近付けば近付く程、ここが熱帯ではないかと錯覚を覚える湿気を感じる。森林に蔓延る草木に近付いてみたところ、僕は一つ、恐ろしい事実を悟った。
「この草………背丈の数倍もある…?!」
遠目から見ればその森は全くもって平々凡々な大きさではある。が、なんの魔術か遠近法かは知らないがその森は近付けば近付く程大きくなっていくのだ。森がこんなに大きいのなら、きっとここに住まう野蛮な輩ども、例えばゴブリンなんかもめちゃくちゃでかくなってるはず。海水をちょびっと飲み、グラディウスを握り締める。草木を掻き分け、いよいよ森に突撃だ。
『うおッ…!!来るな来るな!!これは俺様の獲物なんだ!!!』
『グボボ!!ベジャレラリキ!!』
『何言ってんだよこのバケモン!?』
…やけに騒がしい。声の方向からしてこの巨大雑草の先で騒ぎが起こってるはずだろう。勇気を持っていざーー!
『リビビ!ベジャレラリキ!!』
「わッ……?!」
いつの間にか後ろを取られていた。さて、刹那の合間に分析できたことを纏めよう。奴らは容姿からして所謂ゴブリンのような魔物だろう。森に似付かず図体は小さかった。だが、奴等の口からは異様な腐敗臭を感じる。死肉を貪り食らう一族なのだろうか。そういえば…肉食が故か、やけに腹が出っぱっていた。あと、一瞬奴等の瞳が紫色にほんのり光輝いていたっけ。…なんて分析している合間に、いよいよ奴のこん棒は僕の脳天をカチ割った。視界が揺らぎ、手足に痺れが走る。逃れるために歩こうにも歩けず、その場に倒れ込んでしまった。
僕の冒険も、ここで終わりか………。
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