複雑・ファジー小説
- Re: スターワグナリー冒険記 ~ドレトンの宝玉編 ( No.4 )
- 日時: 2023/09/29 15:31
- 名前: 〆切 逃 (ID: T3oqfZAk)
………とても暗い。
脳に鈍い痛み。記憶を遡ると、その要因がゴブリンらしき魔物による物であると教えてくれた。だが、どういうわけか僕はまだ生きているようだ。次第に手足の感覚がハッキリとし、やがて僕は目を醒ます。
「おい村長!ようやく起きたぞ!」
「オイ!騒ぐな!!そいつは重症じゃ、脳へ響くじゃろうが!!」
…………お目覚め早々手厚い歓迎のようだ。耳を塞ごうと手を耳へ被せ、声の主の片割れがいるであろう隣を見る。
恐らく身長180cm程だろう。その男は髪が黄金に輝いており、瞳も碧色に輝いている。筋骨隆々で中々逞しい。右手には自分がさっきまで護身用に持っていたグラディウスを携えている。なるほど。あのグラディウスは彼の物であったのか、と妙なところで合点が合った。
まじまじと彼を観察していると、彼がふと右を向く。それに釣られて僕も左を向くと、そこにはヨボヨボそうなお爺さんがタオルとお粥のようなものを持ってこちらへ向かっていた。先程の怒声のぶつけ合いから察するに、きっとこのお爺さんが村長なのだろう。
「…ここは、何処ですか?」
「ここ、か………。ここはのう………」
村長が答える前に、
「ムラタ村。」
グラディウスの男がそう答える。続けて村長が、
「ここは…『罪子の捨て場』じゃ。」
『罪子の捨て場』…?
突然聞き覚えのない単語が現れた。語感からして良い意味ではないだろう。少しばかり失礼なことを伺うのかもしれないが、僕は村長にその意味を問うことにした。
「『罪子の捨て場』って………?」
「それはのう………『十戒』から正式に認められていない輩の溜まり場じゃ。」
謎が謎を呼ぶ返答。『十戒』といえばキリスト教のアレが思い浮かぶが…。
「『十戒』は…そうじゃな、この世界を統べる『連邦政府』の管理下にある治安部隊と呼べるような組織のことじゃ。その名の通り、十戒には十人の『戒者』が属しておる………。その『戒者』は七人の指揮系統を担当する『統戒者』、そして現場での指揮や鎮圧を担当する『審戒者』に分かれておるのじゃよ。」
………なんで一介の村長がこんなこと知ってるんだ?そう疑問に思っていると、
「フン…。なんで一介の村の村長がそんなこと知ってんのか、みてーな顔してんな。」
「………この村にその戒者の一人が滞在してたことがあんのさ。そいつは俺にとって………」
「『師匠』だ。」