複雑・ファジー小説

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遠い記憶、欠けた記憶(短編2本)
日時: 2011/08/08 22:27
名前: 秋原かざや (ID: jSrGYrPF)

はじめまして。
短編2本を書いたので、よろしければ、お楽しみいただけると幸いです。
どちらも、世界観やジャンルは違いますが、主人公というか、メインキャラは同じだったりします。
ただ、二つの物語は、つながってはいません。
それを念頭の上、お読みくださいませ。


■キャラ紹介

<共通キャラ>
●ラナシード・ユエル・ニューエント
通称、ラナ。
とてつもない力を秘めた青年(少年)。
彼女のことが……?
本文にはないが、彼の操縦する機体名は、カリス。

<遠い記憶>
●彼女
ラナの彼女。
ラナを試すような言動を?

<欠けた記憶>
●ショウ
ラナの父。
巨大騎士(のようなロボット)エメラルドアイズを操縦する凄腕のパイロット。

●リィナ
ラナの母。
巨大魔術師(のようなロボット)クリムゾンアローを操縦する。こちらも有能なパイロット。

●ダーク
ラナの中にある人格の一つ。
接近戦が得意で、荒々しい性格。

●アーク
ラナの中にある人格の一つ。
とてつもない力を秘めている?
ラナの力の源は……?

<おまけ>
●アーシュ
ラナの姉。
ストーリー上では既に死亡しているため、名前だけの登場。

◆鑑定結果 >>3 >>4 >>5 >>6
◆紹介文 >>7
◆キャラ絵 >>8 >>11
◆ボツ原 >>10

Re: 短編 ( No.2 )
日時: 2011/05/14 15:03
名前: 秋原かざや (ID: 43aVM84l)

●欠けた記憶

 僕が目を覚ましたとき。
 僕の両親は目をまんまるくして、声をそろえて言った。
「「か、かわいい……」」

「つーか、激ラブじゃねー?」
「でかした、私って感じよね!」
 二人は興奮した面持ちで、幼い男の子の前で騒いでいた。
 男の子だけが、周りの状況に対応できずにきょとんとしている。
「アーシュもかなりいい線いってたが、ラナもかなりいい。そうは思わないか、リィナ」
「何いってんのよ、ショウ。当然じゃない。私とあんたの最高の遺伝子が最高傑作を生み出さないと思って?」
 ショウとリィナは顔を見合わせ、ぷっと吹き出す。
「何にせよ、この子は無事、生まれたことを神に感謝しよう」
 くしゃりとラナの頭を乱暴に、けれど優しくなでると、ショウは嬉しそうに笑った。

 この世界は、危機に瀕していた。
 最高の科学力。
 最高の魔力。
 その全てが、ここにあった。
 しかし、神はなおも試練を与える。
 ダスト。
 ゴミと呼ばれたそれは、ゴミとは思えないほどの力を持っていた。
 倒すことはできる。
 滅ぼすことはできる……はずだった。
 けれど、倒しても倒してもあとからあとから、ダストは現われる。
 人々はその状況に絶望し、滅亡をも受け入れようとした。
 だが、この二人だけは、神の試練に立ち向かった。
 希望という名の未来を信じて。

「ったく、誰だ? ダストに最初にケンカを振ったやつは!」
 ショウは操縦桿を握り、トリガーを引く。エメラルドグリーンの巨大騎士の翼から、同時に多数の魔力の込められた弾が発射し、敵を一匹残らず葬っていく。
「そんなこと、知らないわよ。私の生まれる前の話だものっ!」
 リィナはコクピット内で詠唱を終えると、その右手を上に突き出し、ゆっくり下ろした。
「行きなさい、イフリート!」
 クリムゾンの巨大魔術師の開いた手のひらから、炎を纏った魔獣が敵をなぎ倒して、敵を葬っていく。
 巨大騎士の名は、エメラルドアイズ。
 巨大魔術師の名は、クリムゾンアロー。
 騎士をショウが、魔術師をリィナが操縦し、ダストと戦っていた。
「おとうさん、おかあさん。あの気持ち悪いやつをたおせばいいんだよね?」
 幼い声が二人のコクピットに響いた。
「ああ、そうだ。けれど、ヒト型のヤツは味方だ。殺すんじゃねぇぞ?」
「うんっ!」
 ショウの言葉に幼い少年……ラナは頷いた。

 僕の中には、僕だけでなく、もう二人いた。
 気づいたらもういたので、不思議にも思わなかった。
 けれど、父さんと母さんの話によると、それはとても特別なことなんだと知った。
『で、俺達はあいつらを倒せばいいんだな?』
「うんそう。でも僕がやるのっ! いっぱいたおして、ほめてもらうんだ!」
 僕の声にダークは不服そうだったが、それを受け入れてくれたようだ。
『気をつけろ、ラナ。やつらは速い』
「うん、ありがと、アークっ!」
 僕は父さんに言われたとおり、気持ち悪いモンスターのような敵、ダストを次々に打ち落としていった。射撃は得意。褒めてもらえるくらい。
 でも、接近戦はちょっと苦手。大きい剣を振り回すのが、大変だから。
 接近する敵を見つけて、僕は叫ぶ。
「よっしゃー! 俺に任せろっ!!」
 それと同時に片目が青色に光り輝く。
 ラナ……いや、ラナダークというべきか。
 重い操縦桿を軽々と動かし、見事に大剣を薙ぎ振るう。
 状況はラナ達の優勢であった。
 しかし……。

「このまま押し込んでいけばっ!!」
 ショウは、かつてない手応えに一気に勝負に出ようと前に出た瞬間。

 ドドドーーン!!

 後方から強烈な爆発音が響いた。
 その音は、リィナが戦っていたと思われる、その場所。

「リ、リィナ……!?」
 時が止まった。
 クリムゾンアローの美しいフレームの、しなやかな右腕が爆発で消失していた。
「あ、あは……ちょっと、しくった、みたい……」
 リィナの声が聞こえる。
「リィナ、動くな。すぐ助けるっ!!」
 なのに、なんでこんなにも距離があるのだろう。さほど離れていないはずなのに、こんなにも距離を感じるのは、ダストが阻んでくるからだろうか?
 ダストを剣でなぎ倒しながら、一直線にリィナの元へ。リィナの元へ。
「ごめんね、死ぬときは一緒って……約束したのに……」
 リィナの声が、やけに響く。
「この戦いが終わったら……ラナと、一緒に……買い物だねって……言ってたのに、ねぇ……」
「諦めるな、今行くから! だから、希望を捨てるなっ!!」
 ショウの言葉にリィナが笑う。
「だって、ショウ……あたしもう、駄目みたいだから……」

 リィナのコクピット内は、スパークが激しく、大半のモニターが黒く塗りつぶされたようになっていた。
「言えないよね……こんなに血だらけだし……だんだん、目も見えなくなってきちゃった……」
 最後に銀色に輝く騎士をこの目に焼き付けた。
「ごめんね、ラナ……生まれたばかりなのに、母親らしいこと……できなくて……」
 つうっと、リィナの頬から雫が、零れ落ちた。

 ドドーーンっ!!

 二度目の爆発。
 それは、クリムゾンアローが大破し、消滅したことを示す音。
「うわあああああああああ!!!!」
 それは誰の叫びか。
 男は嘆き叫んだ。愛する妻を失う、悲しさと怒りで。

 そしてもう一人。
「おかあさん、おかあさぁーーーーんっ!!!」
 ぱちんと弾ける音と共に、ラナは。
 その意識を失った。
 壊れる、その前に。

 キュウウンン。
 白銀の騎士が動きを止めた。
 いや、違う。
 その赤く輝くモノアイだけは、敵を見据えていた。
 そして、その騎士から、一言だけ響く。
「それほど消えたいというのなら、消し去ってくれよう。貴様らがいたという存在全てを」

 目映い光が、全てのダストを飲み込み、全てを終わらせた。
 この世界の、永遠と思えるほどに長い、長い戦いを……。

「いいか、ラナ……お前はここで生きていくんだ」
 本当ならば、共に生きたかった。
 けれど、戦いに疲れた体は、それを許さなかった。
 恐らく、自分も愛する妻の元に逝くんだと、うすうす感じていた。
「あそこが魔術学園。お前も世話になるかもな……」
 ぼんやりと見上げる目に、くしゃりと頭をなでて応える。
「さあ、行こう。お前の未来のために……」
 その子に自分のしていたペンダントをかけてやると、ゆっくりと歩き出したのであった。

Re: 遠い記憶、欠けた記憶(短編2本) ( No.3 )
日時: 2011/05/19 20:51
名前: 秋原かざや (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view2&f=5368&no=24

玖龍さんに、この短編を鑑定していただきました。
ありがとうございます!

結果については、参照にあるURLをご確認ください。

Re: 遠い記憶、欠けた記憶(短編2本) ( No.4 )
日時: 2011/05/24 21:44
名前: 秋原かざや (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view2&f=5317&no=159

瑚雲さんに、この短編を鑑定していただきました。
ありがとうございます!

結果については、参照にあるURLをご確認ください。

Re: 遠い記憶、欠けた記憶(短編2本) ( No.5 )
日時: 2011/06/10 23:45
名前: 秋原かざや (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view2&f=5383&no=51

ハナビさんに、この短編を鑑定していただきました。
ありがとうございます!

結果については、参照にあるURLをご確認ください。

Re: 遠い記憶、欠けた記憶(短編2本) ( No.6 )
日時: 2011/06/19 22:48
名前: 秋原かざや (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view2&f=5306&no=185

仁都さんに、この短編を鑑定していただきました。
ありがとうございます!

結果については、参照にあるURLをご確認ください。


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