複雑・ファジー小説
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- 魔術と人造人間の一日。【コメ求む!!】
- 日時: 2012/04/03 14:51
- 名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)
魔術と人造人間の一日。
はじめましての方ははじめまして。こんにちはの方はこんにちは。
刹那です。
同じこのファジー板で全く毛色の違う話を書いています。
*注意*
・荒し厳禁。
・更新スペースは遅いです
§零話§ 前兆(1)>>01
前兆(2)>>03
§一話§ 始動(1)>>04
始動(2)>>05
始動(3)>>06
§二話§ >>07
- Re: 魔術と人造人間の一日。 ( No.1 )
- 日時: 2012/02/10 21:57
- 名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)
§零話 前兆(1)§
真っピンクという形容の相応しい色をした桜吹雪が舞う春爛漫の中、日光を跳ね返してキラキラと輝く硝子張りの無機質なタワーが東京湾をぐるりと囲む京浜都市に建ち並んでいる。
そんな都市の第一印象は、『息苦しい』だ。高層タワーばかりで電鉄もバスもないのだから息苦しいこと窮まりない。
そう。電鉄もバスも、これっぽっちも存在しないのだ。レールもバス停もない。辛うじて硝子棒の様に細い道がタワーの隙間を縫うように並んでいるだけで。
その理由は現代を生きる地球上の人間にとっては至って単純かつ明快。
此処は魔術都市京浜。
世界各国で開発が進んでいる科学魔術の第一人者を育成する場所。
§
お絵描きに飽きた幼稚園児が青い絵の具をチューブのまま塗りたくった様に青い空を、瀬名裕貴(せなゆうき)は虚ろに眺めていた。
「空が、青いな……」
確かに青いが別段おかしいことではない。
京浜、横浜南エリアのタワーD塔三十階の二十五号室。そこが裕貴の家である。
周りは全て高層タワーで空を見るのにも背伸びをしなくてはならない位だ。
そんな億劫な場所で、裕貴は深呼吸をした。
机の上には厚さという概念を欠片も持たない激薄液晶パネル。これで筆記の授業や試験を受けるのだ。
裕貴が通う奈木高等学院は魔術師を育成する世界でも指折りの学院だ。
魔術は近年突発的に顕現し、急速に発達してきた文明だ。今では世界のエネルギーの半分以上は魔術で占められている。
最近では今まで世界のエネルギーの先陣を切ってきた科学と融合した科学魔術というものもある。
(まあ、所詮オレは……)
裕貴が指を不可思議に動かすと、空中に極彩色に光る魔法陣が顕れる。
そして、魔法陣はくるくると回りだし、ふとポンという音を立てて白煙と共によく雑草の中に生えているような花に変わった。
(こーんなチャチな花とかしか咲かせられないけどな)
魔術師の端くれとも言えねーなーと椅子にふんぞり返ると、突然。
サーサー……ザーザー……ビシャビシャ……ドカン
窓の方を見やると上空から小雨が降り出し、それはすぐに水雷かと紛う程に大きな雨足になる。
(あーあ、こりゃ……)
裕貴は大きく嘆息した。
呆れることしかできない。
この水雷モドキを起こした人物は分かっている。
水雷モドキなのに、地上で弾けると蒸発した様に消えてしまうそれ。
この水雷は洪水を起こさぬよう術者によってプログラミングされた魔術だ。しかも雨を途中で止めるという自然の摂理を歪められる程の力を持った。
(おいおい……)
魔術実践を生徒が都市を実験台にして行うことは日常茶飯事とは言え、少しやりすぎではないだろうか。
裕貴は術者がいると思われるショッピングモールへ向かう。この術者が裕貴の予想した人物ならば、いつも実践をしているその場所にいるはずだ。
裕貴は数十分歩き、周りのタワーに負けず劣らずの高さを誇るショッピングモールに辿り着いた。が、それは既に旧文明の産物でしかなく、今は瞬間移動魔術で商品を輸送する送迎場所となっているからか、中は閑散としていた。
(多分屋上にいるんだろうけど……)
瞬間移動魔術はまだ研究段階で、住所コードや記憶している場所でないと正しく移動できないのだ。普段ショッピングモールに来ず、住所コードなんて数字とアルファベットが羅列するものを覚える記憶力のない裕貴が此処で瞬間移動魔術を使うこともできず−−−−−と言うか裕貴の場合落第魔術師故に、術者の能力に左右される瞬間移動魔術など使ったら国境を越えて僻地まで飛ばされてしまうやもしれない。
(仕方ない……)
各階のイメージが思い描ける労働者しか来ない場所の為かエレベータもエスカレーターも止まっているので、裕貴は非常階段使って屋上まで上ることにした。が、流石は高層ショッピングモール。三十階まで階段で上った為、息も絶え絶えだ。
ようやく三十階へと辿り着くと屋上へと続く扉があり、ざと音を立てて開ける。
其処には一人の少女がいた。長い髪が水に濡れて、少し色っぽい。恐らく彼女が水雷モドキを起こした術者だろう。いや、そうだ。裕貴は断言できる。
「なーにやってんだよ、剣」
「何者!?」
鉄砲の様に激しい速度と殺傷能力を帯びながら水が矢の様になり、此方へ向かってくる。
「うわっ!!酷ェよ剣!!オレだって、オレ!!」
「……裕貴?」
途端に水が止まる。
剣−−−−−藤堂剣(とうどうつるぎ)は裕貴の登場に相当驚いている様だった。目を丸くし、術者である剣の感情に左右されたのか水雷モドキもパッと消失した。
「どうしたの」
「さっきの水雷モドキ。あれかなりヤバかったぞ。魔術で洪水にならないようにしてるとは言え」
「そう?実技能力も向上してきてるのかな」
ブツブツと呟く少女、藤堂剣は裕貴の幼馴染みだ。だが能力は裕貴とは正反対に優れていて、奈木高等学院に通いながら能力の研究を目的とする研究所の研究員も兼ねている希代の天才少女だ。
そんな剣が操るは当然ながら水。彼女に水は従う。故に水瓶(ガニメデウス)と呼ばれている。
「まあ水雷が止まったならもう用はないけど」
「待って。明日から期末だよ?裕貴は勉強しないの?」
「今更したところで落第ギリギリなのは変わんねーよ」
背伸びをして、裕貴は非常階段への扉を開けた。
- Re: 魔術と人造人間の一日。 ( No.2 )
- 日時: 2012/02/10 22:55
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: bJXJ0uEo)
- 参照: 黒白物語……。スランプだorz殺楽は楽しく書けるのに
タイトルにつられた飛んで火に入る冬の虫です。初めまして。
読んでて作品の世界観に呑まれたような錯覚がします。
そして魔術がすごく好きです。
特に理由も無いですが、好きです。←
さて。
少しコメントが意味不明なものになりかけているので、
ここらで切りますね。
更新頑張ってくださいっ。
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