複雑・ファジー小説
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- 生かし屋さんが通る。
- 日時: 2012/07/21 12:43
- 名前: ばんから ◆UOht9E1HHc (ID: 6vo2Rhi6)
あるところに、生かし屋さんという者がおりました。彼は殺し屋さんなどとはちがい、自殺しようとする人や、病気の人、殺されそうな人を生かす仕事をしていました。彼は奇妙な能力をつかい、皆をたすけていたのです。そのおかげで、生かし屋さんは皆にしたわれていました。けれど、ある日のことです。彼は殺し屋さんに殺されてしまいました。人を殺す仕事をする殺し屋さんにとって、人を生かす仕事をする生かし屋さんは邪魔でしかなかったのです。世界中の生かし屋さんと殺し屋さんは、侮れぬ関係となりました。ひとりの生かし屋さんが殺されたことにより、殺し屋さんとの戦争がおきました。小さな火種が、大きく燃え上がってしまったのです。けれど、世界中の生かし屋さんは今日も人を助け、生かします。だってそれが生かし屋さんの仕事なんですから。ほら、今日も生かし屋さんがここを通ります。
生 か し 屋 さ ん が 通 る 。
■information
駄文製造機である作者ばんからが書くやはり駄文な長編。自殺志願者の主人公と生かし屋さんと殺し屋さんと、その他諸々。愉快で爽快で、それでいて残酷な物語。
■attention
>少々グロテスクな表現が入ります。
>主人公は自殺志願者です。
>殺しの場面もあったりします。
>荒らし/中傷/など読者様の気分を損ねるようなコメントは控えてください。
■contents
>設定/用語 [>>1]
>登場人物 [>>8]
Ⅰ 生かし屋さんが通る。
>>6-7 >>9-10 >>11-12
■company
〆12.07.05
- Re: 生かし屋さんが通る。 ( No.1 )
- 日時: 2012/09/22 08:35
- 名前: ばんから ◆UOht9E1HHc (ID: gwrG8cb2)
■世界観。
舞台は現代の地球。けれど奇妙な能力を使ったり、世界政府があったりと現実とは違う箇所もいくつか存在する。殺し屋と対になる存在である生かし屋というものがあり、二つは長きにわたり戦争を繰り広げている。
■ストゥルティ戦争。
何百年も続く、犬猿の仲である生かし屋と殺し屋の戦争。今は休戦中。主に戦争拠点はイタリアを中心としたヨーロッパだが、その被害は日本にまで及んでいる。能力を圧縮させて解き放つ兵器など、まるで漫画の中の世界のような戦争である。
■能力。
偉大なる術を使う術者が存在する。人によってアルス・マグナの種類は様々で、まるで指紋のように能力は一人ひとり違う。その能力がいつ現れ、そして人が使えるようになったかは太古の昔から謎となっている。
■学校。
術者を育成する学校。イタリア側のアルプス山脈の麓にそびえる。
卒業したものは正式なゼノとして生かし屋や殺し屋、または世界政府に仕えるかという道を選ばされる。
■階級。
世界政府によって定められるゼノの階級。階級ごとに強さや経験が違う。階級名はvis(ビス)Ⅰ、visⅡというように表される。なお、数字が大きくなるごとに強さは上がる。
■二つ名。
戦闘においての功績をあげるとその能力にちなんだ二つ名がつけられる。例えば、火の能力者ならば「焔魔」など。
■武器。
♂(マールス)とは、それぞれの偉大なる術の特性に合わせた武器。その武器は必ずといっていいほど術者の家に代々伝わっている。
※〝♂〟という記号は本来はマールスという戦の神を意味する。
■世界政府。
すべての国を統べる新世界政府。各国の政治を支配し、最高権力者として名をあげてきた。有力な術士を政府の守護官として様々な機関から攫っている。そのため軍事力がどの国よりも高い。旧世界政府は小さな国に追いやられ、今は新世界政府反乱軍となっている。
以後追加予定。
- Re: 生かし屋さんが通る。 ( No.6 )
- 日時: 2012/07/06 20:30
- 名前: ばんから ◆UOht9E1HHc (ID: 6vo2Rhi6)
Ⅰ-Ⅰ 生かし屋さんが通る。
彼女——鬼瓦レイチェルは、眼を細めながら、ちっと舌打ちをした。
レイチェルの鋭い瞳は、目の前の男に向けられている。しかし、その睨みも男には効かないようで、男はさも可笑しそうにクツクツと笑い声を立てながら、レイチェルを一瞥した。その視線と笑い声に、レイチェルは不快だというように眉をひそめながら、男をもう一度睨む。
「きみ、何のつもりだい?」レイチェルは言った。男がぴくりと反応するのを見透かすように、レイチェルはなおも男を睨み続けた。
「何のつもりとは、愚問ですね。」男は弧を描くように唇を歪めた。「答えるわけないでしょう。」
「答えてよ。——おまえに何か一つでも聞き出さなければ、政府から圧力がかかるんだ。そうすれば、こっちの営業にも支障がでるからね。」
レイチェルが、溜息交じりに言う。しかし、その言葉は無意味だったらしい。その証拠に、教える気はさらさら無いようだ。男のにやにやした笑いがそれを物語っている。
男は、レイチェルの負担などどうでもいいというように先程と変わらない表情を繕ったまま、レイチェルに一歩だけ近づいた。レイチェルは一歩下がる。男が一歩近づくたびに、レイチェルが一歩ずつ下がるため、距離は全く埋まらない。
その距離が、男——否、男の所属する組織との関係を表しているようであった。
「——私も、嫌われたようですね。」
「当たり前さ。おまえが今までしてきたことを思い出すといい。」
「すみませんが、」男は咳払いをしながら続ける。「過去は振り返らない性質でしてね。」
その言葉を聞いた瞬間、レイチェルは、呆れたというような表情をした。これ以上馬鹿の言い分は聞いてられない——レイチェルは、踵を返す。
「おや、帰るのですか?」
「そうだよ。おまえの戯言には付き合ってられない。——それに、今日の用事はきみと話すことではないからね。これ以上いる意味もない。次会うときは、戦場さ。」
「ほほほ。それは楽しみですな。貴女の力をまた見れるだなんて。」
——わたしの力を見る前に、殺してやるさ。口には出さないが、レイチェルの目には闘志が宿っていた。無論、男の目にも。
レイチェルは、今日初めての笑顔を零した。それは、男との会話が楽しかったからではない。これから起こる、戦争への思いからであった——。
同刻、場所は変わって、日本。ある学校の教室にて、青年が一人佇んでいる。その表情には、憂いやら悲しみやら、もどかしさやら、そのような感情が含まれていた。
青年は、ふと思いついたように顔をあげると、一つの机の前に歩み寄る。そして、それを思い切り——蹴り上げた。
青年の名は、芦屋寛人であった。放課後だというのに、まだ学校から帰る様子はない。がたりと大きな音を立て倒れた机を、目だけで見下ろしながら、寛人は呟いた。
「……うぜーんだよカスが。」
どうやらその机は、寛人が嫌っている奴の物らしかった。寛人は、もう興味がないという風に目を時計にやると、そのまま教室を出て行く。
「——あいつが、寛人ね。またとんだ不良だぜ……。早速、鬼瓦さんに報告しなきゃなんねえな…。」赤い夕日とともに、木の上からは、何者かが寛人を見下ろしていた。
- Re: 生かし屋さんが通る。 ( No.7 )
- 日時: 2012/07/23 13:48
- 名前: ばんから ◆UOht9E1HHc (ID: 6vo2Rhi6)
Ⅰ-Ⅱ
「おーおー、寛人くんよォ!」体の大きい男が、半笑い気味に言う。「朝来たら机が倒れてたんだけどよォ、どーせてめえだろ? 机倒したのは。」
「……。」
「けっ、無視かよ! てめえには口がねえのか!」
どうやら、体の大きい男——山本が、寛人が蹴り倒した机の持ち主だったようだ。寛人の前に立ち塞がるように立っている山本を、寛人は、無表情のまま——まるで山本が存在しないかのように、彼の隣をすっと通り過ぎる。
その行動に、山本は腹を立てたらしかった。山本のこめかみにぴくぴくと動く青筋が見えるが、寛人は、興味が無いという風に自らの席に座る。ついに、山本が、怒鳴り声をあげた。
「ってめえ! 殺されてえのか!?」
「いいや。」初めて、寛人が口を開いた。「殺されたいなんて、思ってねえよ。」
山本に背を向けたまま、淡々と言葉を並べる寛人に、山本がキリキリと歯軋りをする。憎い。憎たらしい。そのような感情が、山本の胸の内で渦巻く。
昔から、そうだった。高校に入学する前も、コイツはいけ好かない奴だった。大嫌いだった——何をしても、ひるまない、無表情なコイツが。嫌いという感情は、いつのまにか、憎悪に変わっていた。
だから、出来る限りのことをした。寛人にさまざまな虐めをした。教科書だって上履きだって、何もかも隠したし、靴箱には大量の虫を入れてやったこともある。だが、コイツは、無表情で言うのだ。「こんなことして、虚しくなんねえの?」
山本は、手を振り上げた。寛人は、机の中に教科書を入れている最中だった。やはり、無表情だった。
「(くそぉおぉっ!)」
強く握られた拳が、寛人のこめかみに——当たる、はずだった。しかし、すかっと空振りした拳が、むなしく宙を切った。椅子に座っていた寛人は、いなくなっている。
山本は、目を疑った。
「う、うそだろ…。いねえ…。」その言葉を紡ぐとともに、——「ぐっ、はっ!?」
凄まじいほどの鈍痛が山本を襲う。
山本の口から、勢いよく吐き出された血が、弧を描きつつ、教室中に散らばった。——何だ!?山本は痛みの根源である腹を見た。そこには、——寛人が拳を固めて山本の腹に打ち込んでいた。
「て、…てめえ。」
あの短時間で——否、あの一瞬で、寛人は拳を避けて、咄嗟に山本の懐に潜りこんだのだ。そのまま、拳を固めて、全力で山本を殴った。寛人は、拳を緩めると、やはり無表情で立ち上がった。山本を蔑むような目付きで一瞥すると、教室を出て行った。
「ひ…寛人ォオオォ!」
山本が、血を吐きながら憎き寛人の名を呼ぶ。そこで、山本の意識はブラックアウトした。寛人は、振り返らなかった。
- Re: 生かし屋さんが通る。 ( No.8 )
- 日時: 2012/07/07 09:46
- 名前: ばんから ◆UOht9E1HHc (ID: 6vo2Rhi6)
登場人物一覧。
■ 芦屋寛人[あしやひろと]15歳 男
無造作な黒髪が特徴。並よりはやや整った顔立ちをしているが、無表情なため、あまり人が近寄ってこない。自らに利益がないことはしない。極度の辛党。うどんが好きだが七味唐辛子の瓶は1つまるまる使う。〝風早〟の術者。グロイブという槍と刀剣が混合したような形状の武器を用いる。薙刀とは似て異なる武器。
■ 鬼瓦レイチェル[おにがわられいちぇる]不明歳 女
肩までの長さの白金色の髪を首筋の生え際近くで結っている。長身で端正な顔立ちをしている。男物の着物を腰のところで切ったような服にぴたっとしたレギンスをあわせている。IQ200越え。嫌いなものと好きなものへの態度の区別が激しい。〝氷霧〟の術者。とぐろを巻いた昇り龍が装飾された大鎌を扱う。二つ名は〝死神〟。生かし屋〝白い国〟を営む。
■ 杉野翔[すぎのかける]15歳 男
一見、茶髪のチャラ男。ゆるい天然パーマ。端正な顔立ちをしているがそのチャラい性格が台無しにしている。お洒落さん。ガムの食べすぎでおなかをよく壊す。面倒事から遠ざかるため、いつも笑っている。へらへらしてるが、心の中では結構いろいろなことを考えている。〝紅焔〟の術者。日本刀〝焔山椒〟を用いて戦う。赤い刀身と、峰のところに無数に存在する棘が特徴的。
■ 楠木聖一郎[くすのきせいいちろう]17歳 男
こげ茶色の髪と優しそうな瞳が特徴的。いつも素でにこにこしている。生徒に「王子様」といわれている。が、結構黒いところもある。細身で長身、イケメン。けっこうな甘党。家はキリスト教の教会。名前はクリスマスにちなんでつけられた。〝光波〟の術者。武器は斧。自らの体の何倍もある斧を振り回す。
■ 片瀬みどり[かたせみどり]15歳 女
黒い髪を両耳の下で三つ編みにしている。いつもおどおどしていて、頼りなさげだが、モットーは「女に二言なし。」だが、普通に二言も三言もいっている(本人は気づいていない)。ゴーヤやピーマンなど苦いものが好き。〝音圧〟の術者。武器は銃。音を圧縮して解き放つ。
■ 本郷志乃[ほんごうしの]12歳 女
ショートカットされた明るい茶髪の持ち主。イギリス人と日本人のクォーター。はきはきして明るい性格。家は貧乏で、実は今はホームレスである。ダンボールは神だと思っている。好きなものはコンビニ弁当。〝夢寐〟の術者。武器は具現化睡眠薬。睡眠薬を飲まされた者の夢を操り、夢を具現化させる。
追加あり。
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