複雑・ファジー小説

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FlowerSpirits 〜戦場に狂い咲け〜
日時: 2012/09/15 08:40
名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
参照: 金曜更新

 
      『花園は既に戦場と化しました』


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 リク・依頼掲示板より、アイデアを提供して下さった皆様に、お礼を申し上げます。有難うございます。

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 どうも、バチカです。皆様の名前だすのは一応控えておきました↑乗っけてもいいよ!という方、お問い合わせを…。
 堅苦しい挨拶しましたが、もっかいいいます。バチカです。 
 シリアス・ダークにて小説書いてマスので知ってる方もいるかと思われます。
 最初は今書いている作品終わらせてからにしようかと思ったのですが気持ちが!サメテしまいそうだったので!立てさせてもらいました。
 
 擬人化した花たちの、とある次元の物語——……



【目録】
【序章】>>1 ローズァ×優恋
【一章】>>2>>5 ???×???

Re: FlowerSpirits 〜戦場に狂い咲け〜 ( No.1 )
日時: 2012/09/15 08:37
名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

【序章・とある深夜】


 午後23時48分、花園に満月の浮かんだ、夜のことだった。

 花園に浮かぶ二つの人影、二人とも両手にティーカップを持ち、どうやら小さな茶会のようなことをしているようだった。
 一人は、セーラー服、一人は、白のワンピース。どちらも年の若い少女の様。
 
 「いよいよ…。」
 片手に持ったティーカップを口元に持ってきたところで、セーラー服の少女が何かを思いついたように手を止めた。
 「いよいよ、私たちの『お祭り』ですわね。」
 ニッコリと微笑み、女性は笑った。もうすぐやってくる楽しいイベントが待ち遠しいといったような、少し勝ち誇った感じのする笑みだ。実際、その『お祭り』がそうなのだから。
 「あ〜あ!そうですね〜!」
 思いだしたかのように、白いワンピースの少女は笑顔を返した。
 
 風が少女たちの頬を撫でた。

 紅茶をすすり、セーラー服の少女が月を見上げた。
 「明日になったら私たち、『敵同士』なんですのねぇ。」
 嫌味っぽいのやら悲しげなのやら、すこし複雑な言い方をして、ため息をついた。明日のお祭りで、彼女らは敵同士になってしまうのだから。
 「ゆー?…んー…まあ、そうですよね!楽しみです!」
 彼女の複雑そうな感情を無視するかのように、能天気な返答を返し、喋りつかれたのか、ぐびっと紅茶を一気に飲んだ。自然に「くはぁ〜っ」と息を洩らす。
 
 時刻は23時52分。

 「ローズァさんとも、戦えるのを楽しみにしてます!」
 白いワンピースの少女が、セーラー服の少女に言う。それはもう満面の笑みを浮かべて。
 「ふふ、それはどうも。でも、あなたと戦うのはどうでしょうね、優恋。」
 ローズァと呼ばれるセーラー服の少女は、一瞬苦い表情をして、もう一人の少女のことを見る。

 「ゆー?なんで、ですか?」
 「あらぁ、だってあなたはとっても綺麗だから。」
 わざとらしい言い方に、白いワンピースを着たゆうれんは首をかしげる。
 「綺麗?私が…ですか?」
 「ええ、そう。私、美しいものをぞんざいに扱うのはあまり好きではないんですの。」
 ふふ、と肩で笑って「美しいものには私、博愛主義だから」と付け加える。そう言う彼女も、切れ長の目といい、筋の通った鼻といい、整った顔立ちをしている。
 「ああ、ローズァさんは綺麗なんですね!」
 すこし、めちゃくちゃな言い分だが、誉めているようだ。
 「あら、わかってらっしゃるじゃないの。」
 「ふふ、わかってますよ!」
 
 再び彼女たちの頬を、風が撫でる。
 
 時刻は23時59分 

「ねぇ、ローズァさん…気が、早すぎませんか?」
 優恋の前に、薔薇の形の石がはめ込んだ杖を携える。
「あら、そんなことはないんじゃない?」
 だってもう——00時00分、深夜の次の日。

 
  戦闘開始だ、Flowerspiritsよ。
 

Re: FlowerSpirits 〜戦場に狂い咲け〜 ( No.2 )
日時: 2012/09/07 18:55
名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

 何故、戦わないの。何故、殺さないの。
 こんなに私は強く、美しいのに。
 そんな私を認めてよ。だって私は花だから。
 誰かに愛でてもらえなきゃ、意味、ない。


 とある茂みのある丘の上、静かな昼過ぎ。
 「そんなの……だけ。お前だって……だろ?」
 誰かの細々とした話し声が聞こえておりました。
 「……だってお前も……じゃないか……。」
 丘の上にみえる人は独りだけ。それなのにその声の調子はまるで誰かに語りかけているようだ。
 「わかるだろ?……ならさ、なぁ……。」
 男性的で淡々とした口調、影からしても遠くから男だとわかる。まだ15を超えたばかりの若い男だ。
 「……知らないさ……つまらない……意識が……。」
 一本拍子の声が、ほんの少しだけ荒ぶった。気分を害したように。
 
 少しすると、少年と見えない誰かの間に流れる会話が途絶えた。傍からみればまるで潜む敵に感づいて息をのんだように見える。しかし少年は少しも表情を変えず、どこか一点をみつめながらこう言った。

 「ただのスズランだよ……気にしないで。」
  
 その言葉が聞こえると、すぐ近くの茂みがばさっと音を立てて葉を散らす。なかからひょっこりと、誰かが姿を現した。
  
 「なぁ〜んだぁ!!気づいてたんだぁ!!」

 出てきたのは、少年よりもいくつか年上と見える女性、銀髪の髪の毛を肩まで垂らし、キラキラした大きな瞳は愛想よく少年に笑いかける。「みつかっちゃったぁ〜」とぺろりと舌を出して。
 「あんなに、息を洩らして、気づかない方が可笑しいよね。」
 これは女性に言ったのではなく、どうやら空気のような話し相手に同調を求めているらしい。
 「え〜?マジぃ?あたし、ちゃーんと忍者のように静かにしてたのになー〜」
 人差し指だけ建てて、手を組んでふざけて見せる。少年は虚ろな瞳で一瞬だけ女性を見ると、すぐに目を逸らした。でも別に、「厄介なものに絡まれた」とか、かったるそうにしているようでもなく、ただぼうっと一点をみつめる。無気力で無関心そうな赤い瞳には、力がこもっていない。

 風が、また吹いた。


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