複雑・ファジー小説

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【死本静樹の素敵な死に方。】
日時: 2014/02/20 23:04
名前: 紅蓮の流星 (ID: 1T0V/L.3)

*



「——ああ、また死ねなかった」



死本静樹の素敵な死に方。

【挨拶】>>3

【本編】>>4



Re: 【死本静樹の素敵な死に方。】 ( No.1 )
日時: 2014/02/18 14:47
名前: 紅蓮の流星 (ID: GFkqvq5s)




 #プロローグ【ざくろ】



 柘榴(ざくろ)は、人肉の味がするというけど。
 嘘だ。ざくろがこんなに、苦いわけがない。食べても食べても食べても食べても、沸いてくるのは吐き気。吐き気。吐き気。吐き気。吐き気。——喉から逆流してきた酸味を、噛み切れない肉ごと無理矢理飲み下す。吐きそうになるたび繰り返す。繰り返す。
 まっずい。吐きそう、でも食べなきゃ。食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ食べなきゃ。死にたくない、死にたくない、死にたくない死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない、死にたい。
 ——見た目は似てるなあ、ざくろに。
 まだ人のかたちを留めている彼女。はだけ、破けた薄手の着物。淡い肌色。赤く裂けた身体から覗く肉が、紅い。肉を覆う、繊維のようなもの。流れ出している血液。濡れた、骨。ざくろが熟れて割れたなら、きっとこんな感じ。
 深い深い森の中で、みずみずしい音と嗚咽だけが絶え間なく響く。犬のように、夢中で彼女を貪った。
 夢中? 本当に、夢ならいいのに。そう夢、夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢。全部夢なのか、そっか。あ、ああ、もう。——他のことは考えないようにしよう。そうだそれがいいそれがいちばん、いちば。市場? いち? ——知らない。
 引きちぎって、噛んで、咀嚼して、臙下して、嘔吐感を催して、それごと彼女を飲み込んで。嗚咽。嗚咽嗚咽。嗚咽嗚咽嗚咽嗚咽おえつおえつおえつおえつおえつおえっおえつおえつおえっおえっおえっぉぇ、っ。
 びちゃっ。口を逆流して、胃液を吐き出した。真っ赤だ。
 地面ごと、吐き出したものを嘗めて、舐めて、啜って、啜って、啜って啜って、食べて。嗚呼、すっぱい味がする……。口の中に、草の苦味と土の食感も混じってきた。——全部食べなきゃ。
 食べて、食べて、吐きそうになって、飲み込んで、吐いて、舐めて、啜って。どれくらい経ったっけ? ——覚えてない。おぼ? おぼん? わからない。夢夢夢夢夢夢。——知らない。きっと大丈夫だ子供の、きそうに!!食べている嘗めて!!中にも吐きそうやらしくなく塩らしくなるけどその分割浮いたわからない。はあるけど何しようとしてたか、のね……まっずいの味がするという。らしくなくはある程度破けたけどそれだけによるもハラワタ思い返すと混じってきたで吐き出した割れたなら噛んで化のねあ大丈夫ですかはお金が……そののね辞めた理由も本人はする時だけは病の素敵な死に……あいつらがだけによる犯罪を来週ですした表情真っ赤な肌色はある種類のね辞めたけど今日まだ、貪るも漂ってこないらがですのに自分まで強くなることが多い人肉類の方ははじめましてに家族はある程度破けたですけど自分は死に方——

 ——静まり返った、生き物の気配がしない森の中。彼は、かつて「静」という名前だったざくろを抱いていた。抱きながら、ざくろの髪の毛を食べていた。彼の頬を、涙がとめどなく伝う。
 髪を食む音だけがする森の中、もの言わぬざくろから真紅の果汁が滴る。






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