複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- 完結!
- 日時: 2014/04/03 14:21
- 名前: 姫凛 (ID: gf8XCp7W)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16274
-挨拶-
初めまして方は初めまして!
そうでない方はいつもお世話になってます!
駄作小説ばかり書いている姫凛(プリン)と申す者です。
これは私がいま達筆中の「シークレットガーデン〜小さな箱庭〜」の「シレーナの封じた過去編」を短編小説化した物です。(ほぼコピーしただけだけど…)
本編の方を見なくても楽しめるようになってるつもりですが、やっぱり本編も読むとより楽しめると思います。
URL上に張ってありますので気になる方はクリックワープ!w
無事完結致しました!こんなほぼコピーしただけのパチモン小説を読んでいただきありがとうございました!!
本編が進めばまた、短編小説を書くのでもしよろしければそちらの方も宜しくお願いします!
でわでわ、ご観覧ありがとうございました<(_ _)>
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
-目次-
-登場人物紹介->>01
-用語説明->>02
プロローグ:>>03
第一階層:微笑ましい一家団欒 >>04-05
第ニ階層:村人からの容赦のないイジメ >>06
第三階層:想いのすれ違いからの夫婦喧嘩 >>07
第四階層:母は出て行き捨てられた父と娘 >>08
第五階層:意味深な親子二人で小旅行 >>09
第六階層:愛する両親から捨てられた魔女 >>10
第七階層:禁忌の術 人体錬成 >>11
最下層:父から娘へ時を超えた想い >>12
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- Re: シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.4 )
- 日時: 2014/03/20 15:07
- 名前: 姫凛 (ID: WTiXFHUD)
-第一階層-
(プリンセシナ第一階層。ここに一人の少年と謎の生命体が入り込むんだ。)
「ここは……」
「森のようですね」
シレーナを助ける為に、心が創り出した迷宮と呼ばれるプリンセシナってところに来たはいいけど……目の前に広がっているのは、森。木、木ばかり。
僕が住んでいる村の隣にある町、通称隣町の南にある森、通称南の森みたいに木々が青々していて春の陽気で小鳥たちが楽しそうにさえずっている。
…でも違う。明らかに。この森からは生命力を感じられない。
鳴き声は聞こえるのに…姿は見えない。獣臭がするのに動物の姿が一切見えない。……不思議な森だ。
「人の心が創りだした迷宮って言っていたから、すごい迷路みたいな物だと思ってたよ」
「迷宮と一括りに申しましても、プリンセシナは人の記憶を元に創りだした物。十人十色。人それぞれで皆違うのですよ」
「へぇ……」
と言った後にパピコさんは追加で、特に大切な思い出の場所や色濃く印象に残っている場所なんかも、プリンセシナの舞台として現れやすいと教えてくれた。
じゃあこの南の森に似てえうようで似ていない。この不思議な森もシレーナにとってはなにか意味深い場所だったのかな?
『お父さん。お母さん。見てみてっ!粘土でパンダの置物を作ってみたの』
「あれは……」
しばらく森の中を歩いていると一軒の家を発見した。
家の前ではヨナくらいの女の子…八歳くらいかな?と仲好さそうなご夫婦がみんな仲良く日光浴をしていた。
女の子は可愛らしいパンダの子供かな?の小さな置物を持って嬉しそうにお父さんに駆け寄っていってる。
『おお、シレーナ!すごいじゃないか!』
「えっ!?シレーナ!」
「しっ!お静かに。気づかれてしまいます」
思わず声にだしてしまってパピコさんに注意されてしまった。
シレーナ。たしかにあの女の子のお父さんはそう呼んだ。
ここはシレーナの心の中。だからシレーナがいるのは当然だよね。
……これはシレーナの記憶の一部なのかな?
『本当にすごいわ、シレーナ。今日は特別にあなたの好きなものを作ってあげましょう♪』
『本当!?やった!』
『『ふふふふ』』
『わーい!わーい!ワタシもっともっと勉強して、いろんな事出来るようになってお父さんとお母さんを、もっとも〜と喜ばせてあげるんだからっ!』
『まぁ!』
『ほぉそれはそれは楽しみだな』
『ふふんだっ!』
(女の子は嬉しそうに辺りをクルクル走り回ってはしゃぐ。
その姿を見て両親も微笑ましく見守っている。
女の子はクルクル回りながら次の案を練る。)
[嬉しいな〜。嬉しいな〜。お父さんとお母さんに褒められて嬉しいな。
次はなに作って驚かせようかな〜。
んー。……あっそうだ!お花で冠作ってあげようっと!]
楽しそうに話しているシレーナたち親子を見て僕は小声で
「昔のシレーナってちょっとお転婆だったんだ」
「おや?今は違うんですか?」
「うん。今はどちらかと言うと物静かであまり感情を表に出さないんだ…」
「へー。少女も一皮むけて大人になったと言うことでしょうか」
「うーん…そうゆう事はよくわからないな」
「ま、ご主人様可愛い♪」
「………」
でも…本当に大人になったからって、性格が真逆に変わったりするのかな。
他にもなにか重大な事があって、変わらず得ざる負えないかったとか……。いや、さすがに考えすぎかな。
(少年は首を横に振ると改めて家族を見る。あながちその考えは間違ってはいないというのに…。)
『お父さん。ワタシちょっと近くの川に行ってくるね』
『はい。ここには魔物がいないからって、安心し過ぎずに気を付けて行ってくるんだよ。いいね?』
『はーい』
(女の子は元気に手を振って近くの川へとダッシュで行く。その表情は楽しい事を考えているのか少しニヤけていた。)
[あの川には確か綺麗なお花がたーくさん咲いてたんだよねっ。
やっぱりお水が綺麗だからなのかな?お魚さんもいーぱいっ泳いでいるし。
ま、なんでもいいや!綺麗なお花が沢山咲いていれば♪]
「おや?移動するみたいですね。ついていきますか?」
「うん。魔物はいないって言ってたけど、あのくらいの女の子にとっては魔物以外も十分に危険だしね」
「ご主人様ったらお優しい。ますます好きになっちゃいますぅ」
「あはは……どうも…」
やっぱりご主人様って呼ばれるの慣れないな…。
(少年たちは女の子にばれぬようこっそり後をついてゆく。
その選択は良とでる。)
『うわーきれー』
[今日もたっくさんのお魚さんたちが泳いでる。
いいなー私も泳ぎたいなー。着替えのお洋服がないから、だめだけど。
生まれ変わるなら、人魚さんがいいな。だって可愛いもんっ。]
川につくと大きな滝があって水は透き通っていて下が透けて見える。
…でもこんなに綺麗なのに魚が一匹も泳いでいない。どうしてだろう。
あっそういえば、僕の家の近くにある小さな川もここくらいに透き通るように綺麗な水だったな。
ヨナもあの川で水遊びするの大好きだったな…。
- Re: シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.5 )
- 日時: 2014/03/20 15:27
- 名前: 姫凛 (ID: 5xmy6iiG)
(川を眺めながら少年たちはしばし休憩し、何気ない世間話を始めた。
綺麗な川は人の心を洗う力をも持っているのかもしれない…。)
「ここでピクニックをしたら気持ちよさそうですね」
「そうだね。魚釣りもいいかもね」
「おぉ、ご主人様。魚釣りおやりに?」
「いやっ僕はしたことないんだけど、死んだ父さんがやってたんだ」
「ほう。なるほど」
『キャーーー!!』
「「えっ!?」」
パピコさんと何気ないしゃべりをしていると、川の上流の方からシレーナの悲鳴が聞こえてきた。
「行ってみよう!」
「あっはい!」
慌てて悲鳴がした方へ行ってみると…見たこともないようなバケモノがシレーナを襲おうとしていた。
あいつの特徴を説明しようとしたら、三年はかかってしまいそうだ…。とにかくどう言っていいのかわからないくらい、不気味な奇妙なバケモノだった。
『ぃっ…いや……』
[なっ…なにこの変な生き物。
こんなの見たことないよぉ。図鑑にもニュースでも見たことないよぉ…。
助けて…お父さん…。…だれかぁ。]
「あれは、魔がい物!」
「まがいもの?」
「はいっ、デスピル病のウイルスみたいな魔物です。あいつが私達よりも先にシークレットガーデンへ到達されると、シレーナさんの心は壊れ荒れも無残な穢れ、あんな感じの化け物になってしまいます!」
「どのみちここで倒さないといけないんだねっ!」
「お待ちくださいご主人様!」
「なにっ!?」
(少年は腰に下げた剣を抜き、魔がい物へ刃先を向ける。
謎の生命体は少年から離れた安全な場所で待機し、木の陰に隠れて助言をする。)
「魔がい物は絶対にご主人様がいま持っているその剣で、彼らのコア(心臓)がある胸元へ一突きで倒してください」
「父さんの形見のこの剣で一突き…わかった!」
「……私には案内と応援しか出来ませんが…頑張ってください」
「うんっありがとう!」
パピコさんにお礼を言うと一目散にシレーナの元へ駆け寄り、
「はぁぁぁ!!」
『ぎぎゃぁぁぁぁ!』
魔がい物のコアを一突きに突きに刺した。魔がい物はこの世のものとは思えないほどの恐ろしい悲鳴を上げた後、黒い煙のようになって消え去った。
「君っ大丈夫!?」
『…ぁ。……ぁ』
[お礼…お礼…言わなきゃ。
ありがとうございます…って言わなきゃ…。
…ぁ。声が出ない。なんで?なんで出ないの私の声っ!?
だめだ…逃げなきゃ。
この人…私を助けに来てくれた良い人なのかわからない。
前にニュースで言ってた人さらいの人かもしれない…。逃げなきゃ。]
シレーナは放心状態で何かを言おうとしてたみたいだったけど、何も言わずに一目散に家の方へ走り去って行った。
「まぁなんですかあの子は!?助けてもらったお礼も言えないなんて、礼儀知らずにも程があります!」
「ま、まぁまぁ…」
プンプン怒るパピコさんを宥める。…あんな怖い思いをしたんだから言えなくてもしかたないよね。
それに僕はシレーナがケガをしていないんだったならそれでいいんだし。
(女の子の恐怖の対象が化け物から少年へ変わっていたことを知るよしもない少年は、勝手に納得しその場を収めた。
そして次の階層への扉がギギギギィと大きな音をたてながら開いて行くのが遠くに見えた)
「あっ扉が!」
「ここでのイベントをクリアしたので次の階層への扉が開いたみたいですね」
「次の階層か…」
第一階層では以外にもシレーナは昔、お転婆な女の子だったんだ。
って事がわかったけど、次はどんな事がわかるんだろう…?
いや人の過去を盗み見てて楽しみにしちゃ駄目なんだろうけど。……気になるな。
不謹慎にも少しワクワクしながら僕たちは、第二階層と書かれた扉をくぐり階段を下りて行った。
(少年は後々本気で後悔することになる。
どうしてこの時自分は人の過去を見てワクワクしてしまったのだろうと。
人の過去はそう簡単な物ではないのに…。)
- Re: シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.6 )
- 日時: 2014/03/21 09:26
- 名前: 姫凛 (ID: gf8XCp7W)
第ニ階層
(少年と謎の生命体はプリンセシナ 第ニ階層へたどり着く。
ここは彼女の家からほど遠くない場所に和えう喉かな村だ。彼女くらいの年ごろの子供も沢山いる。
だが同い年の子供が沢山いるからと言って打ち解けられるとは限らない…。)
「ん……ここは村?」
「みたいですね。のどかでいいですね」
「そうだね」
「私とご主人様の愛の巣もこんなのどかな場所に建てたいですね♪」
「………」
パピコさんの最後の言葉はひとまず置いといて。村を探索してみよう…。
『そうね〜』
『それでね〜』
『きゃはははっ』
『待て待てー』
おばさん達が井戸端会議をしていたりちょっとやんちゃすぎる感じの子供達が、駆けまわっている。
「もうっ!元気よすぎますよねっ。ぶつかったらどうするんでしょう」
「まぁまぁ。子供は元気が取り柄なんだからさ」
「も〜〜ご主人様は優しすぎです!」
まぁまぁとパピコさんをなだめていると、さっきまでにぎやかだった村が一気に静かになってみんなある一定の方向を見てる。…僕も見てみるとそこには
「あ……シレーナ」
大きな紙袋を抱えてうつむいて歩いているシレーナだった。
第一階層でみた元気な覇気がなく今のシレーナに少し近いような暗く元気のない表情。
『えいっ!』
『キャッ!』
「えっ!?」
ある一人の男の子がシレーナに向かって尖った石を投げつけた。
石はシレーナの目の近くに当たって頭から血が流れ出す。それを見た子供たちは次々に石をシレーナに投げ始めた。
『出て行けーーー!!』
『出てけー!』
『魔女ー!』
『………』
[イタイ…イタイ…イタイよ。なんで…なんで…こんな事されないといけないの?]
「まじょ?」
『まぁ汚らわしい!もうこの村には寄り付かないでと言ったはずでしょ!』
『いやぁ〜ね。見てくださいよ、リブスさん家のお子さんがまた外に出てますよ』
『そうですね。まったく、汚い菌をこっちに移さないで欲しいわね。魔女の子が!』
『そうですよねぇ〜』
[どうして…こんなヒドイこと言われないといけないの?…どうして]
子供だけでなく大人たちまでシレーナを汚いもののように見て陰口をたたいている。
『うぅ………』
[イヤだ!イヤだ!イヤだーーー!もうこんな思いはうんざりだよ!
どうして私だけ。私ばっかりこんな思いをしないといけないの?
なんで石を投げてくるの?どうしてヒドイ事を言うの?
わからない……。わからない…。私にはなにもわからないよ……]
『あっ!魔女が逃げたぞっ。ははっ、そのまま森の化け物に食われちまえっ!』
何ながら立ち去っていくシレーナに向かって酷い言葉を吐く子供達。
「あの!」
『なっ、なんだいあんたは』
「ちょっ!?ご主人様」
居ても立っても居られれず、シレーナに酷い言葉を言っていた大人たちを問い詰めた。
大人なのに。子供を間違った方向から正し方向に正すのが親なのに。なんで、どうしてシレーナにあんな酷いことを言えるんだっ!!
「どうして彼女が魔女なんですか!?」
『な、なんでってねぇ〜』
『そりゃあねー』
『あんな両目の色が違う子なんて魔女以外の何者でもないわよね〜』
「そんな…そんな理由で……」
『なんだいあんた!あの子の肩もとうってのかい?』
『こいつらも魔女の仲間だーー!』
『きっとそうだわ!キャー』
「……僕はっ!」
「ご主人様。お気持ちはわかりますが、ここは引きましょう。次の階層への扉も開きましたから」
無理やり引っ張るパピコさんに負けて僕は石やナイフを投げてくる村人たちから逃げ村を後にした。
「……知らなかった。シレーナがこんな……酷いイジメにあっていたなんて…」
次の階層への扉へ向かっている途中、僕は自分が情けなくて……言葉が出た。
「プリンセシナは、誰にも知られたくない封印した記憶が創りだした世界、なんです」
「………」
分かってはいた。理解してたつもりだったけど……ここまで辛いものだったとは…。僕の覚悟は半端なものだった。
「……帰りますか?」
僕の事を心配してパピコさんは言っいる
「このまま下へ下へと進んで行くと今のよりもっと重く苦しい記憶の一部を見ることになりますよ。それでも進みますか?」
もしここで僕が引き返せばシレーナは確実に穢れになってしまう。
僕が…僕が頑張らないと!
「いやっ行くよ。こんな所で諦めたら駄目なんだ!」
「キャンッ♪それでこそ私の惚れたご主人様でございます」
「行こう、パピコさん!」
「はい♪」
止まっちゃ駄目だっ!辛くても押しつぶされそうでも止まったらそこで終わりなんだ。
僕には助けを待ってる人がいるんだ!だから前へ前へ進まないといけないんだっ!!
新たに覚悟を決め直し第三階層と書かれた扉をくぐり階段を下りて行った。
たぶん。シレーナは僕が想像してたよりも重たく辛く壮大な人生を歩んで来たんだ…と思う。だからこそ僕がしっかりしないとっ!
(少年はいかに自分が浅はかだったかをこの階層で学んだ。
新たに覚悟を決めた少年の内底には、希望の光が輝いている。だが希望は絶望を呼び込む。絶望は闇ですべてを覆う。
少年の周りには常に光と闇が紙一重。)
- Re: シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.7 )
- 日時: 2014/03/22 13:15
- 名前: 姫凛 (ID: i7z/PvOJ)
-第三階層-
(少年と謎の生命体はプリンセシナ 第三階層へとたどり着いた。
ここは彼女の家。家族の家。実家。大切な場所だった所。
父と母と貧しくも楽しく暮らしたわが家。)
「ここは……誰かの部屋?」
「まぁ見てください、ご主人様。このタンスほこりだらけですよっ」
パピコさんは、タンスの上をスーと指で擦ってほこりまみれの指を僕に向けてまたプンスカ怒っている。
勝手に人のタンスの上なんて調べていいのかな…。
(部屋は埃っぽく少々埃臭い。
だが掃除をあまりしない家のごく一般的な程度でそこまで不潔で悲惨な状況と言うわけでもない。
棚の上やずっと放置していた置物の周りが埃で白くなっている程度だ。)
「もしかして…パピコさんって潔癖?」
「いっいえ……べつにそこまでではありませんけど…。汚いのよりは綺麗なのがいいです」
「確かに…」
僕も昔はよくヨナに掃除の心得的なことをたたきこまれてたなぁ…。
ヨナも綺麗なの好きだったし…それに掃除すること自体が好きだったからな…。
『もうっいい加減にしてよっ!!』
「!?」
急に女の人の怒鳴り声が聞こえた。
『そんなに怒鳴ることないだろう!』
次に男の人の怒鳴り声が聞こえた。あれ確かこの声は……。
「はっは〜ん……これは夫婦喧嘩ですね」
パピコさんは何か閃いた的ななんか意地悪そうな顔で言っている。夫婦喧嘩でなんであんなにも楽しそうなんだろう…。
「覗き見行ってみましょう♪」
「えぇ……」
強引にパピコさんに連れられて、ある部屋の前に立ち聞き耳をたてる。
『なぁシレーナにはやっぱり友達を作らせてあげたほうがいい。でもきっと、この村じゃ友達は作れないだろう……。だから村を出て新しい場所へ引っ越さないか?』
『何言ってるのっ!?友達なんて人必要無いわ。人なんて、いつかは裏切るんだら、友達なんていらないわよ!あの子は、勉強だけしてればいいのっ!』
『どうしたんだ、最近のお前はなんか変だそ?家事もまともにしないし、シレーナには勉強、勉強って……。昔は村のみんなと、少しでもいいから仲良くなりたいって言ってたじゃないか』
『そんなの昔の話よ。人は絶対裏切る……。貴方だって本当は、もう私を裏切って他の女の人と浮気してるんでしょ!』
『何を言ってるんだ。そんなわけないだろう?』
『ウソよっ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘……!!』
『おい、落ち着けって!』
「………」
あれはシレーナのお父さんとお母さんだ…。
…でもどうしてなんだろう?あの二人はあんなにも仲良さそうでラブラブだったのに……。
「………あの人。少々様子がおかしいですね」
「え?」
夫婦喧嘩を覗き見しだしてからずっと黙っていたパピコさんが不意に真剣な顔つきで言った。
おかしいと言えば確かにいろいろおかしいけど……一体何が?
「あの、シレーナさんのお母様でしたっけ?あの人…極度に人間不信になってます」
「あっ確かに…」
前見たときはもっと明るくて積極的で気さくそうな感じったけど、今は誰にでも牙を向ける猛獣みたいな感じだ……。なにかあったのかな?
「シレーナのお母さんがどうかしたの?」
「これはおそらく……いえでもまさか…」
「……?」
「すみません、ご主人様。まだ私の中で推測のいきを出ないのです。ですから、確信が持てるまで待っていただけません?」
「え……あっうん。わかったよ」
「ありがとうございまーす!」
何故だかすっごく嬉しそうに言ってる……。僕にはパピコさんの考えてることが読めないな…。パピコさん。難しい人。
次の階層への扉が開いたから僕たちは次へと進むことにした。…シレーナのお母さんこの先どうなっちゃうんだろう。大丈夫かな?
(この時少年と謎の生命体は気づいていなかったが実は彼女も見ていたのだ。
毎晩毎晩。父と母が言い争っている姿を。そしてこの時も。)
[お父さんとお母さん。また…喧嘩してる。
やっぱり内容は私の事…。
なんで…どうして…あんなに仲良かったのに…。
神様。お父さんとお母さんを仲直りさせてください……。
もう二人が喧嘩している姿を見るのは…聞くのはやだよぉ……]
(彼女は神に願う。だが…神はその願いを叶えない。新たに試練を与えるだけ。)
- Re: シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.8 )
- 日時: 2014/03/23 12:26
- 名前: 姫凛 (ID: gf8XCp7W)
-第四階層-
(少年と謎の生命体はプリンセシナ 第四階層へたどり着いた。
この記憶は彼女にとってもっとも辛く苦しい記憶の欠片。
愛する人には絶対に見られたくなかった……。)
「ここは…?」
「テーマパークですね。デパートの屋上とかにある」
「てーまぱーく…?でぱーと…?」
都会の方にはそんなのがあるんだ。すごいなぁ…。
テーマパークと言うところには公園みたいに、沢山の遊具があって沢山の子供たちがキャッキャッと遊んでいる。
こんな楽しそうな所に来たって事はシレーナのお父さんとお母さん、仲直りしたんだな、きっと。じゃないとこんなとこ来ないよね。
パピコさんと一緒にシレーナ親子を探していると…
「あっいた。あれでも……」
沢山のお店が並んで椅子やテーブルが沢山置いてある食事処……パピコんがフードパークって言うところらしい。
そこで何故かしんみりとした空気で楽しくなさそうにオレンジジュースを飲んでるシレーナと挙動不審でイライラしてる感じのお母さんがいた。
『ねぇ、シレーナ』
『なに?お母さん』
『もしお父さんとお母さんが別々に暮らすことになったら、シレーナはどっちと暮らしたい?』
『………』
[お母さんなんでこんな事聞くんだろ…。
私、試されているのかな?…なにを?
お母さんもお父さんも大好きだよ。どちらか片方をだけを選ぶなんて無理だよ。
……でもしいて言うなら]
えっ!?これってまさか…!
『……お父さん』
『……そう。シレーナ、あなたもお母さんを裏切るのね……』
[お母さん…悲しそう。
ごめん。ごめんなさい…。
だってだって私…昔のお母さんに戻ってほしくて…。それで]
寂しそうに苦しそうな表情で言うお母さんを見てるとなぜか胸が苦しくなってくる…。
記憶の場面が変わってまたシレーナ家に移る。
ここは玄関?ちょっと待って!じゃあやっぱり……。
今まさにきっと起こるであろう事を止めようとした僕を無言でパピコさんは止める。そして
「これは過去に起きた記憶の再現。今貴方様が関与したところで未来は変わりません」
「くそうっ」
パピコさんが言うことはもっともで正しいことなんだって、わかってるけど、頭ではわかっているけども!心じゃわからないよ……。
『じゃ、行きますね』
『あぁ……あっちでも元気でな』
『えぇ』
『お母さん……?』
『シレーナ!?どうして!起きて来たら駄目だと言っただろう?』
『ぅ……』
『いいのよ』
『しかし……まだ十歳の子供にこんな光景みせるのは……』
『よく聞いてシレーナ』
『な…に?』
『お母さん。このお家を出て行くことになったの』
『え……?な…んで』
『ふふっそれは……あなたのせいよ』
『おいっ!』
『ぇ…』
『あなたがお母さんを裏切るからよ。村の人たちがあなたをいじめるのもぜ〜んぶ、あなたが悪い子だからなのよ』
『やめろ!この子には関係のないことだろう!』
『ふふふっあはははっ』
『私の…せい。私が……悪い子だから…』
『シレーナ!シレーナいいか、よく聞きなさい。お前は悪い子なんかじゃない。お母さんはお前のせいで出て行くんじゃないんだ、いいね』
『ぁ…ぁ……ぁ』
[やっぱり…やっぱり…
私のせいなんだ…
あんな事言ったから…
ごめんなさい…ごめんなさい…
なんでもするから、捨てないで…
お父さんを捨てないであげて!お願いっやめてーーー!!]
『あはははっ、それじゃあごきげんよう。もう会う事なんてないでしょうけど!あはははっ』
ヒドイ……自分の子供なのに。どうしてあんなにヒドイことが平気な顔で言えるんだ!
「やはり……」
「パピコさん?」
「あの人。デスピル病にかかっています」
「えっ!まさかじゃあ!?」
「はい。きっと急におかしくなっていったのも、すべてはデスピル病のせいで心が壊れていったのが原因かと」
「デスピル病……」
「早く次の階層へ行きましょう。なにか善からぬ事が起こるような気がします」
「……うんっ。行こう!」
新たに解った真実。シレーナのお母さんはデスピル病患者だったんだ。
だから挙動不審だったり言動がおかしかったりしたんだ。
デスピル病…なんて恐ろしい病なんだ。かかったその人だけじゃなくて周りにいる人にまで不幸し絶望させ闇に落とすなんて……許せない。絶対に。
(彼女の心は壊れ欠けている。粉々に崩れるまであと少し…。
少年は彼女の心を守ることが出来るのか——?)